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姫神様襲来のカウントダウン始まる

ミネアテは、今すぐにも、アリシアに会いに行こうとした。

しかし、ヴィーニアが眠るアリシアを見せたため、いったんは、断念した。

「アレは、本当に寝ているのですか?まるで」

サラスティティーの言葉を遮って、ヴィーニアが言った。

「そうじゃ、寝ておる。どうやら、妾の神気にあたりすぎたようじゃ。」

「まぁ、神気にあたりすぎたなんて、どれほどの時間一緒にすごしたんですか?」

サラスティティーが驚いた。

「それがじゃの、つい、あの童に煽られて、神力を放ってしまった。」

「姉様、いったい何をなさっているんです!?神力は、決して人に放ってよいものではありませんよ

。」

サラスティティーはあきれたように、ヴィーニアを見た。

神力こそ、天変地異が起こる原因であった。

ミネアテが機織り娘の件で、国を湖の底に沈めたのも神力であった。

「神力を受けたのに、なぜ生きている!?」

ミネアテは、神力を受けてもいきているアリシアを食い入るように見つめた。

「それは、マークリアの加護と、守りのお陰じゃろうの。」

「あの男の加護が、そんなに強力なわけがなかろう。」

ヴィーニアの言葉に、ミネアテがバカにするように言った。

「確かに、1人分ならのう。じゃが、2人分ならどうじゃ?あの童には、確かに2人分の加護と守りがかかっておる。」

「1人の人間に、一神から授けることができる加護は、一つじゃ。あの男、此度はどのようなペテンをはたらいた!?」

ミネアテは、イライラした様子で、吐き出した。

ヴィーニアは、イヤイヤ、と首を振った。

「あの童は、ぶっそうな番犬を飼っておってな、」

「番犬とは何じゃ?」

ミネアテは、眉間にシワを寄せてきいた。

「そうさの、童にならなかった魂とでもいうたら良いか。」

「ならば、普段、童として生活をしているのは、誰なのです。」

サラスティティーは、目を見開いて、ヴィーニアを見た。

ヴィーニアは、鼻をならした。

「フン、本来なら消えてなくなるはずだったモノよ。それをマークリアはご丁寧に番犬ともども、加護と守りをかけよった。」

「さすが兄様。相変わらず器用貧乏でございますわねえ。」

サラスティティーが可笑しそうに笑った。

ヴィーニアは悩ましげに言った。

「じゃが、あの番犬は、なかなか肝が座っておっての。妾と10分以上は睨みあっておった。」

「姉様、10分も神力を人間に浴びせたのですか?」

サラスティティーが、ヴィーニアを信じられないモノを見るような目で見た。 

「その、本当に肝の座った童じゃったんじゃ。」

ヴィーニアは、シュンとした様子で言った。

ヴィーニアは、サラスティティーとミネアテに白い目で見られて、ますます落ち込んだ。

そんなこんなで、姫神様達の女子会はお開きとなった。

で、結局、姫神様達は、アリシアの目が覚めたらすぐに、アリシアに会いに行く事にした。

それまでに、サラスティティーは水差しを、ミネアテは蜘蛛の準備をする事になった。


サラスティティーは、水や川の神であるが、文字を作って、神話を書き留めた学芸の神でもある。

また、川や雨の恵みから豊穣の神としての一面も持っており、富も司っていた。

マークリアと被るほど、色々な事を司る器用貧乏そうな姫神のサラスティティーにかかれば、水差しなど簡単にできるかと思ったが、意外にも難航した。

サラスティティーが作った水差しから最初に水のように溢れてきたのは、砂金であった。

サラスティティーは、溢れる砂金に、はーっと、盛大なため息をついた。

しかし、実際、砂金が出る水差しがあれば、金策問題が一気に片付くため、絶対にアリシアは、喜ぶ。

アリシアが砂金がわく水差しの話を聞けば、

「ぜひ、そのまま賜りたく」

と言っただろう。

しかし、それを知らないサラスティティーは、時に頭を乱暴にかきむしり、時に大きな大きなため息をつきながら、水差しの調整を繰り返し、微炭酸がわきでる水差しを完成させた。


ミネアテも蜘蛛の準備を始めた。

神殿のまわりに生息している蜘蛛の中でも、特に大人しい蜘蛛達が、ミネアテによって神殿の広間に集められた。

そうして、ミネアテは、蜘蛛達に言った。

「主らの中に、下界に行きたいモノはおらぬか?」

蜘蛛達はポカンとしてミネアテを見た。

『姫神様、それは、強制ですか?私達はここでのんびり織物を織り続けたいです。』

集められた蜘蛛の中の一匹が恐る恐るミネアテに言った。

「強制ではないが、行く先は、貴族の邸ゆえ、そう危ないこともなかろう。」

ミネアテの言葉をきいた蜘蛛達は、蜘蛛の子を散らすように逃げて言った。

蜘蛛の子が逃げていくのを見て、ミネアテは、思い出した。

蜘蛛達の母親である始祖蜘蛛は、権力者(王侯貴族)によって殺されたのだ。

そんな危険そうな場所に、大人しい蜘蛛が行きたがるはずがない。

ミネアテが、はーっと、大きなため息をついた時、広間にいた青い美しい一匹の蜘蛛がミネアテに声をかけた。

『姫神様、私が下界にまいります。』

ミネアテは驚いた。なぜなら、その青い蜘蛛は布など織らず、毎日、ミネアテの神殿の書庫や、宝物庫に入っては、己の関心を惹くモノを探していたからだ。

「主は、機織りが好かぬじゃろ?必要なのは、丈夫な布を織れる蜘蛛じゃ。」

『確かに私は、機織りが好きではありません。でも、布を織れないわけではございません。始祖蜘蛛(お母様)に私は、機織りの筋が良いと誉められたこともございます。』

ならば試しにと、この青い蜘蛛に機織りをさせてみれば、確かに美しい布を織り上げた。

「なぜ、好きでもない機織りをするために、下界に下りたい?」

ミネアテは、気になっていた事を青い蜘蛛に聞きました。

『私は天界の暮らしに、実は、飽いているのです。生をうけてから、最初の数十年は、機織りをしました。機織りに飽いてから、姫神様の書庫や宝物庫にこもって今日まで過ごしておりましたが、それにも飽いてしまいました。でも、下界へ行けば、私が、まだ見たこともない経験ができるのでは、と思ったのです。』

ミネアテは、青い蜘蛛の言い分にも一利あると思ったが、一度下界に行けば、嫌でも、アリシアの熱気球作りが終わるまでは天界に戻れない。

ミネアテには、気ままな青い蜘蛛が、我慢して下界の暮らしを続けられるのか判断がつかなかった。

そこで、ミネアテは、青い蜘蛛に眠っているアリシアと、ギュンター邸の様子、そして、領の様子を見せた。

「あそこが、お主が暮らす予定の場所じゃ。そして、眠る童が作る熱気球とやらに必要な布を、お主が作る事になる。」

青い蜘蛛は、初めて見る下界の様子を食い入るように見ていた。

しかし、眠るアリシアの側にいるのは、きっと退屈だろうと、青い蜘蛛の決心がゆらいだ。

『姫神様、私は、あの娘の側にいなければ、ならないのですか?』

青い蜘蛛が、貴が進まない様子で、ミネアテに聞いた。

「どうじゃろうのう?お主が望めば、女童のそばにいる、男童の側にいる許可が下りるやもしれぬが。」

ミネアテにそう言われた青い蜘蛛は、アリシアの側で自主勉強をしていたフィルとジョナサンを見た。

青い蜘蛛は、眠ってばかりのアリシアよりも、ジョナサと、フィルに関心を示した。

青い蜘蛛が見ていると、ジョナサンとフィルは、公爵邸の中だけでなく、街もウロウロしている。

二人の側ならば、天界から見ているよりも、興味深い事が色々ありそうだと、青い蜘蛛は思った。

『姫神様、やはり、私が下界に参ります。』

「そうか、行ってくれるか?」

『はい。早く行きたいと思います。』

「すぐには行かぬ。あの童が目覚めてからだ。」

アリシアが目覚めると聞き、青い蜘蛛は、少し安心した。

目覚めたアリシアの側なら、ジョナサンとフィルの側にいるのと変わらないくらい興味深いかもしれない。

青い蜘蛛は、ワクワクした様子で言った。

『そうですか。ならば、下界に下りられる日を楽しみにしております。』

「下界に下りるお主には、褒美を与えよう。お主は何を望む?」

ミネアテに望みを聞かれた青い蜘蛛は答えた。

『人間にしてください。下界は、蜘蛛の姿では入れぬ場所もございましょう。』

ミネアテは、青い蜘蛛に、宝物庫の中にあった腕輪を与えた。

その腕輪をつければ、だれでも望む姿に変わる事ができる《変わり身の腕輪》だ。

腕輪をつけた青い蜘蛛は、青い色の髪をした美しい少女に変身した。

「この腕輪の取り外しは、主にしかできぬ。己自身につけることも、他者につけるのであってもな。」

ミネアテは、青い蜘蛛に言った。

ちなみに、この腕輪は神物のため、腕輪をつけたモノは、悪事に関わることもできない。

青い蜘蛛は、アリシアと愉快なお友達軍団に入団するだけだ。だから、悪事とは無縁のはずだ。

うん、多分、無縁のはず・・・。

憂慮すべきは、アリシアの|道徳観や常識が、京子さんに影響を受けている事だ。

現代日本人であった京子さんの考え方は、グランディス帝国の常識にあわない事がある。

京子さんの存在は、残念ながら、アリシア以上の起爆剤(イレギュラー)になるのだ。

願わくば、腕輪をはめた青い蜘蛛が悪事に加担せずに、天界に戻れる事を祈るばかりだ。


一方のアリシアは、京子さんと入れ替わった後、久しぶりにしばらく死んだように寝て過ごし、家族や使用人、友達から、大変、心配された。

神様の神気に触れたためか、京子さんが体を使ったためか、それとも日頃の疲れが出たのか、その全てか分からないが、数日間は、意識が戻る事はなかった。

・・・まぁ、おそらく正解は、京子さんがアリシアの体で、ヴィーニアとにらみ合い神力を浴びたせいであろう。

さて、アリシアが寝ている間に、京子さんが会いに来た。

あのできたばかりの化粧水をセクシー美女(ヴィーニア)が持って帰った事、あと2つ化粧水を準備すれば、機織り蜘蛛と、炭酸水のわく水差しが貰える事、ついでに、加護ももらえるらしい事を教えてもらった。

だけど、この時、京子さんがアリシアに教えてくれなかった重要事項がある。

それは、アリシアが目覚めるタイミングを、今か今かと待つ姫神様達の存在と、

アリシアが目覚めれば、すぐに彼女達が会いに来ると言う、恐ろしい事実であった。

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