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アリシアの次なる目標

ジョナサンとフィルが中韓帝国の話に夢中になっている間に、食欲を満足させたアリシアは、一度、応接室に戻った。

「皆様、そろそろ、お茶にいたしましょう。」

アリシアの言葉と同時にグレタが軽食を並べ始めた。

モチロン、先ほどアリシアが一足先に完食したオムライスも準備されている。

「このオムレツは、チョウさんと、ハンさんにお持ちいただいたお米を包んでおります。こちらの赤いトマトのソースをかけてお召し上がりください。」

アリシアに言われた通り、オムライスにケチャップをかける面々。

「いなくなったと思ったら、アリは、新しい料理を開発してたんな。」

フィルは、そう言いながらオムライスにを頬張った。

「うわ~~~、何だコレ?!ウマイ!!!」

フィルはオムライスを掻き込んだ。

フィルの反応に、ジョナサンもオムライスを頬張り、目を見開いた。

「また、コレは・・・。」

そう言って、ジョナサンはアリシアに笑いかけた。

「アリは、また美味しい料理を開発したんだね。」

アリシアの表情が少し曇った。

「今でも美味しいのですが、もっと美味しくなると思いますの。ハンさんも、チョウさんも、是非、召し上がって感想を教えてくださいませ。」

チョウとハンも、進められて、オムライスを口に入れた。驚いた顔をしてチョウが言った。

「米を料理にするなんて、珍しい事ですネ。」

「ええ、中韓帝国では、パンのかわりがお米だと聞いておりますわ。でも、こんな風にお料理しても美味しいと思いますの。」

ハンも驚いたように言った。

「コレは、お嬢様が、考えられた料理アルますか?」

「わたくしが、考えたと言うより夢でみたお料理でございますわ。」

「夢でみた料理とは、お嬢様は、おもしろい事考えるですネ。」

「アリが夢でみた料理はどれもウマイんだぞ。」

フィルが得意そうに胸を張って言った。


アリシアは、お米の事を思い出した。

「もし、可能であれば、次回から、稲穂か玄米のまま、お米を持ってきてきただけませんでしょうか?」

「精米しないと、米はおいしくないですアルネ。」

ハンが言った。

「実は、色々、と考えているのですわ。」

「どんな事か、聞かせて欲しいアルです。」

「籾殻を農作業に使えないか研究したいと思いますし、あとは、米ぬかを使って、美容の研究もしたいと思っておりますの。」

アリシアの説明に、二人の商人の目の色が変わった。

「お嬢様は、廃棄している籾殻を購入したいですアルか?」

「はい。色々研究してみて、有用だと思えたら大量に購入したいと思いますわ。でも、まずは、個人的に研究しますので、稲穂で購入できればと思っておりますわ。」

稲作も目論んでいることは、秘密にしておく。

チョウとハンは、顔を見合わせて、頷きあった。

ハンがアリシアに向いて言った。

「今、売ってる米は、もう精米したアルですネ。この秋に収穫された米からなら、稲穂のままで売ることができるアルですネ。」

「まぁ、ありがとうございます。助かりますわ。」

アリシアの表情が明るくなった。

「実は、ちょっと、お願いがアルですネ。」

チョウが歯切れ悪く切り出した。

「何でしょう?わたくしが何かお手伝いできることがありましたら宜しいのですけど。」

「お嬢様の研究を、ワタシ達にも、共有してもらいたいアルです。棄ててしまう籾殻やぬかを売る方法があるなら、是非、知りたいアルネ」

アリシアは、眉間にシワを寄せた。

「困りましたわね。今の研究は、将来、わたくしが始める商売の礎になるはずのものなのですの。だから、おいそれとは、わたくしの研究成果を開示する事はできませんわ。」

アリシアの返事に、その場は、何とも言えない空気が漂った。しかし、突然、アリシアがハッとした。

「その、大変厚かましいと思うのですが、お二人に投資していただき、共同研究と、できないでしょうか?」

「投資ってなんだ?」

フィルが、聞いた。

「お二人に、研究費用を出していただくのです。わたくし達が研究して、その成果をお二人に共有する、と言う事です。モチロン、事業計画書を作成して、出資するか否かは、決めていただいてよろしいですわ。」

チョウと、ハンは頷きあった。

「ならば、そうしますアル。」

「助かります。研究にかかる費用の見積りと、研究の説明資料は次回までに準備いたします。次回、資料をご覧になられてから、投資を決めていただいてよろしいですわ。」

ソレを聞いたハンとチョウは、頷きあった。

「ワタシ達、それで問題ないですネ。次に来られるのは、数ヶ月先になるですヨ。」

大まかな、約束をした後、二人は帰って行った。


ハンとチョウに、投資してもらうならば、と、アリシアは、株式会社を設立しようかと思った。

でも、この世界に株式会社は存在していないようだった。

「ねえ、グレタ、もし、わたくしが開発したモノを売るとしたら、売り上げの管理や、販売や開発はどんな団体がすることになるのかしら?」

グレタは少し考えてから言った。

「商会でしょうか?」

『おぉ、商会と言いますのね。』

アリシアは、商会を立ち上げる事にした。

《デパートに行くことにした》位の軽いノリで、アリシアは商会の設立を決めた。

商会の設立は、アリシアの中では決定事項である。

間違いなく、悪役令嬢アリシアよりも、今のアリシアのワガママの方が、スケールがでかい。

「どうやって立ち上げたら良いかしら?」

アリシアからの問いに、グレタは

『えっ?商会をたちあげるんですか?本気ですか?』と小さな令嬢を見て思った。

アリシアの真意が分からず、さすがのグレタも一瞬たじろいだが、すぐに平静を取り戻した。

「セバスチャン様にご相談されるのが良いと思います。」

「では、明日、セバスチャンに会いに行きます。」

アリシアは、そう言うと、セバスチャンに見せるアリシアの商会についてのプレゼン資料を作りだした。

アリシアがノートに、商会の説明資料を書き出したのを見て、グレタはアリシアが本気で商会を立ち上げようとしている事に気付き、頭痛がし始めた。


商会の名前は『夢の翼』を意味するAile (エール) du(デュ) rêve(レーヴ)にした。

夢の国とか、妖精の隠れ家とか、虹の翼とか、色々と考えたが、夢の翼が一番しっくりする気がした。

商会は、アリシアの夢の一歩だ。

アリシアとしては、商会の稼ぎを、領民の教育にすべてつぎ込みたいと考えていた。

学校を設立し、もっと上の会社に行きたい学生を応援する奨学金、一部の優秀な学生の留学費用。

さらに余裕があれば、お金がなくて、やりたい事に挑戦できない人への融資の費用にもしたい。

頑張れば、どこまでも羽ばたける翼を、アリシアは、領民達に与えたいと考えている。

そう考えている時に、チョウとハンには、やっぱり投資ではなく、出資をしてもらおうとアリシアは、思った。

アリシアは、商会をアリシアの資産を増やすのではなく、領民の教育や事業の資金を捻出するモノにしたい。

でも、商人の二人は利益を優先したいだろう。

アリシアの夢に、外国人の二人を巻き込むのは違うと思った。

だから、ある程度、商会が軌道にのった時点で、商人の二人にはお金を返して、アリシアは、アリシアの夢の実現を目指そうと考えた。

まずは、米ぬかがなくても作れるコスメ的なモノを作ろう。

今すぐ手に入るのは、お米のとぎ汁と、卵やハチミツのパックだろうか・・・。

次回、チョウとハンが来るまで色々とコスメの試作をしてみなければいけない。

そして、米ぬかが手に入ったら、結果が出るまでに時間がかかる籾殻は置いておいて、石鹸や化粧水、乳液など、いろいろコスメを作って見ようと思うアリシアであった。

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