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アリシアが、スカイランタンを飛ばせば、・・・(2)

今日も、遅くなってしまいました。待っていた皆さん、ごめんなさい。

明日、明後日くらいには、通常の更新に戻す予定です。


そして、本当ならば消えてしまう予定のアリシアに、私が思いの外愛着を持ってしまい、消滅させる事ができませんでした。

ストーリーとタイトルがかわるかもしれません。悪しからず

「私は、あの人と死んだはずたわ。」

京子は、何もない、だだっ広い場所にいる事に気づいた。

「ようやく目覚めたか。」

京子の目の前には、ギリシャ神話にでてきそうな姿の男が立っていた。

「どちら様ですか?」

ずいぶんと、日本語が上手な御仁だと思いながら、京子が聞いた。

「我は、マークリア、神だ。」

京子さんの顔が、ゴキブリを見た時のようにひきつった。

京子さんは、良い歳して中二病な輩には嫌悪感を持っていた。なんなら、虫酸が走るほどだ。

「どちら様か存じませんが、どうぞお引き取りください。」

辺り一面にブリザードが吹き荒れそうな、冷たい声で京子さんが、マークリアを追い出そうとした。

京子さんの態度にも、どこ吹く風のマークリアが言った。

「それは無理だ。」

京子さんの声のトーンが下がった。

「はぁあああ?」

マークリアは、京子さんを無視して、続けた。

「悪いが、我は、この童子が気に入った。しかし、アレはもともと、お前が目覚めるまでの間の繋ぎだ。人形のような仮初めの存在よ。ヒトとして普通に生活するなど、どだい無理な話。故に、我がお前を起こしにきた。」

京子さんのあたまに、美しい顔立ちにも関わらず、いつも無表情な、どこか無機物を思わせる幼児の姿が浮かんだ。

「じゃあ、ここは、あの子の中なんですか?!」

とても信じられないと、いわんばかりに京子さんが叫んだ。

「そうだ。」

マークリアの返事を聞き、京子さんは、悲しそうに呟いた。

「じゃあ、やっぱり私は、あの時・・・」

今にも泣き出しそうな京子さんを慮る様子もなく、マークリアは言った。

「ああ。お前は死んだ。」

「死んだなら、そのままにしてくれたら良かったのに。いったい、コレは何なのよ。私は、こんなの望んでないわ。」

京子さんは、ヒステリックに叫んだ。

「仕方がなかろう。本来なら、お前は、あの時死ぬ予定ではなかったのだ。お前の伴侶が時間を稼ぎ、お前は逃げおおせるはずだったのだ。なぜ、戻った?」

「なぜって、そんなの当たり前じゃない。一人で、生き延びたくなかったからよ。」

京子さんは、悲しげに言った。

マークリアは理解できないとばかりにかぶりをふった。

「分からんな。人間とは、共食いしてでも生きたい生き物であろう?」

京子さんは、力なく呟いた。

「あの人がいない世界で、一人で生きるなんて嫌よ。」

京子さんは、亡くなる数分前まで、幸せだったのだ。でも、それは、旦那さんが亡くなるその瞬間まで、京子さんのために、体を張って京子さんを守ろうとしてくれたからだ。

京子さんは、自分の腕の中で、旦那さんが冷たくなっていくのを感じ、絶望とショックから、あの時、生きる事を放棄したのだ。

京子さんは、ぽつりと呟いた。

「何で、生まれ変わっちゃったんだか」

「それは、お前が望んだからだ。もし、生まれ変わったら、次は自分のために、死ぬ気で頑張りたいんだろ?」.

あぁ、そんな事、今際の際に思った気もする、と京子さんは思い出した。

でも、それは、こんな旦那さんがいない世界ではなく、アリシア=フォン=ギュンターとして生きるわけでもない。京子さんは、もう一度、自分(京子)として生き直したかったのだ。

こんなの、京子さんは、一度も望んでなかった。

「私が望んだのは、こんな生活じゃないわ。そもそも、あなた、あの子を気に入ったんじゃないの?何で私を起こしたがるのよ?」

「確かにこの童子は気に入った。でも、我は、この童子よりも、お前の記憶に関心があるからの。アレがいてもいなくとも、お前の記憶さえあれば、どちらでも良いのじゃ。それにのう、実は、お前が死んだ事で、本来死ぬべき人間が何人か生き残った。だから、まぁ、生まれ変わったのは、簡単に言えば、勇気ある行動への褒美のようなものだ。だが、元の地球では輪廻の輪を外れたゆえ、異世界で生まれ変わったらのだ。じゃからのう、諦めて、運命を受け入れよ。それとも、このまま、この体が朽ち果てるまでここにおるつもりか?あの童子が人並みの生活も送れぬのを優雅に眺めて。」

どこまでも無神経で、自分勝手なマークリアの言い分に京子さんは心底ウンザリした。

そして、京子さんは、不器用ながらも試行錯誤を重ねながら、日々を懸命に生きる小さな女の子を思い浮かべた。

「もし、私が目覚めたら、あの子はどうなるの?」

お前(アリシア)になる。」

「私は、どんな姿でも(京子)よ。」

マークリアは、鼻をならした。

「言い方を変えよう。お前に吸収される。アレが時折お前の記憶を覗いていたように、これからは、お前がアレの記録した記憶を覗くことになる。」

「それじゃあ、あの子がいなくなるのと同じじゃないの。」

「言うたであろう。アレはもともと、そう言う存在だ。お前が目覚めれば、お前に場所を譲り渡すのが、アレの勤めじゃ。」

京子さんは、いつまでも交わる事のない、平行線な会話に嫌気がさしていた。

そもそも、あの子を押し退けてまで、アリシア=フォン=ギュンターになりたいかと問われれば、全力で《否》と答える所存だ。

何よりも、不器用ながらも、いつも一生懸命に何かに夢中になっているアリシアは、娘のいない京子さんが可愛がっていた姪っ子を思い出させた。

そういえば、あの子もあまり愛想の良い子ではなかったと、姪っ子を思い出し、すぐに、京子さんは、思考をアリシアに戻した。

すでに、京子さんにとってアリシアは、いつ、どこで、どうなっても良いような存在ではなくなっていた。

「結論は、一つしかないわ。私はここにいる」

「何?」

マークリアの憮然とした様子に、京子さんは、一度、そこで話を切った。そして、マークリアを見て、いった。

「ねえ、あなた、神様なら、私とあの子の意識をつなげてちょうだい。それから、感覚も共有できるようにして。」

マークリアは、不思議そうに京子さんを見つめた。

「そんな事して、何になるのだ?」

マークリアが不思議そうに京子さんをみた。

「私があの子をサポートするわ。感覚と、意識を私と共有できるならば、この体はあの子をきちんと、主と認識すると思うの。」

「もしダメならどうする?」

「次の手を考えるわ。」

京子さんの答えに、マークリアは、面白い物でも見つけたかのように腹を抱えて笑いだした。

「ハハハハハハハハ。ますます面白い。よかろう、お前の言う通り、アレと、お前の意識をつなげて、感覚も共有してやろう。」

マークリアがそう言うなり、京子さんの視界がグルンと回り、その向こうにアリシアを見つけた。


アリシアは、その日、夢の中で京子さんに会った。

京子さんは、アリシアには馴染みのないブルネットで、濃い茶色の瞳をした、意思の強そうな女性だった。

京子さんは、アリシアを見かけて、声をかけた。

「あなたがアリシアちゃん?」

アリシアは、どうすべきか戸惑い、その場で固まった。

京子さんは、その場に膝をつき、アリシアと目線をあわせながら言った。

「そんなに、緊張しないで。取って食ったりしないから。」

「あ、あ、あの、あ、あの、申し訳ございませんでした。」

アリシアは、京子さんに土下座せんばかりの勢いで謝った。

京子さんは、初めて会ったアリシアに謝られて、驚いた。

「えっ、何で謝るのかしら?」

アリシアは、ションボリしながら答えた。

「だって、あの、わたくし、京子さんの記憶を勝手に見ていました。あの、だから、プライバシーの侵害と言うヤツだと思うんです。だから、その、本当にごめんなさい。申し訳ございません。」

京子さんは、アリシアの頭をなでた。

「気にしなくて大丈夫よ。それに、これからは、もっとお互いの考えや記憶を、お互いに見あう事になるわ。」

アリシアは、不思議そうに聞いた。

「わたくし、これからも、皆にあえるんでしょうか?」

「アリシアちゃんが言ってる意味が良くわからないわ。」

京子さんは、アリシアの意図が分からず、言った。

アリシアの美しい瞳から涙が溢れだした。

「いずれ、わたくしはいなくなって、京子さんに、変わらないといけなくなると、思っていました。」

京子さんは、居たたまれない気持ちでアリシアを抱き締めた。

いつか、自分が消滅するかもと思いながら生活を送り続ける恐怖はいかほどかと、アリシアの心境を思い、京子さんは胸を痛めた。

「私は、これからも、ここにいるわ。だから、あなたは、これからもアリシアとして生活しなさい。」

アリシアは、しゃくりあげながら言った。

「じゃあ、ヒック、わたくし、ヒック、これからも、ヒック、皆と、ヒック、一緒にいて、ヒック、良いですの?」

「もちろんよ。それから、あの胡散臭い神様が、私とあなたの意識をつなげてくれたわ。後、感覚も共有できるようにしてくれたの。」

京子さんは、続けてアリシアに優しく言った。

「あなたは、いつでも、私に会いにこられるし、私の記憶は何でも見られるようになったわ。これまでよりも笑えるし、怒れるし、多少のストレスでは倒れたりしなくなる。それから、これが一番重要だけど、困ったら、いつでも、私を頼りなさい。」

「本当に?」

アリシアは、驚いて涙が止まった。

「本当よ。これからは、私があなたの一番の味方になるわ。」

アリシアは、安心して、京子さんの肩に顔を押し付けながら、再び泣き出した。

なき続けるアリシアの頭をを京子さんは、優しくなで続けた。

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