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アリシアが、スカイランタンを飛ばせば、・・・(1)

今日も遅くなってしまいました。

楽しみに読んでくださっていり皆様、本当にごめんなさい。

昨日、就寝直前まで準備をして、どうにか授業ができる程度に目処がたったため、当初の予定通り、アリシアは、本日、スカイランタンを飛ばす。

最初に、アリシアが作ったスカイランタンを部屋の中で飛ばした後、ジョナサンとフィル、二人にも手作りのスカイランタンを作ってもらうつもりである。最後に外で、二人が作ったスカイランタンを飛ばしてもらうと言う流れだ。

ジョナサンとフィルが喜び歓声をあげる所を想像し、アリシアは、心の中で一人ニヤニヤしていた。


本日のジョナサンは、アリシアと勉強を始めてから、一番テンションがあがっていた。

だって、まさか、人間が空を飛べるなんて、そんな夢みたいな事があるなんて、ジョナサンは今も半信半疑ではある。

人間が空を飛べる、そう言ったのが、他の誰かなら、ジョナサンだって本気にはしなかった。

でも、言ったのは、幼いながらも、博識で、これまでジョナサンとフィルに勉強を教えてきたアリシアなのだ。

そんな、人が飛べる未知の世界に心踊り、テンションの高いジョナサンの隣をフィルはいつも通りの通常運転で歩いていた。


やってきた二人の前にアリシアは、ロウソクを差し出した。

「お二人とも、このロウソクを飛ばすことはできまして?」

「アリ、ロウソクは飛ばないぞ。」

フィルがキョトンとして言った。

「ロウソクが飛ばなければ、人間は永遠に飛びませんわよ。」

アリシアは、フィルを困ったような様子で見た。

「今日は、ロウソクを飛ばすの?」

「そうですわ。」

アリシアは、胸を張って答えた。

ジョナサンは、ロウソクを飛ばすと聞いて、少しがっかりした様子だったが、それでも、すぐに気を取り直し、きいた。

「アリ、ロウソクはどうやって飛ばすの?」

「コレですわ。」

アリシアは、用意していたスカイランタンを並べた。

「何だコレ?」

アリシアは、答えた。

「スカイランタンですわ。本来は、夜空に浮かべるのですが、風で飛んでいるわけではないと、証明するために、今は、部屋で飛ばしますわ。ひとまず、一番大きなランタンから始めましょう。」

アリシアは、一番大きなランタンを手にした。

「グレタ、リタ、手伝っつくださいませ。」

アリシアは、グレタとリタを振り返った。

リタがランタンの上を持ち、グレタはロウソクに火をつけ、ランタンの中の空気を温め始めた。

「こんなんで飛ぶのかよ?」

フィルが半信半疑でアリシアに聞いた。

「実験結果が出るまでのお楽しみですわ。」

アリシアは、ニッコリと笑った。


ロウソクで空気が温まり、だんだんと、ランタンの上の方が空気で膨らんできた。

グレタは、手にもっていた燭台のロウソクから、ランタンにくくりつけていたロウソクに火をつけた。

リタは、ランタンから手を離した。

少しずつ、ランタンが天井に向かって上がっていった。

「うわ~、すげぇ!!!本当にロウソクが飛んだ!!」

フィルは、いつも通り、歓声を上げた。

ジョナサンは何が起こったか分からず、うわずった声をあげた。

「えっ!?これは何がおこってるの?」

アリシアは紐を引いて、ランタンを回収して、ロウソクの火を消してから答えた。

「理由は簡単ですわ。空気は、温めると軽くなるのですのよ。」

「どう言うこと?」

ジョナサンは、意味が分からず、アリシアを見つめた。

「では、別の実験をいたしましょう。グレタ、燭台ごとロウソクを持ってきてくださいませ。」

「お嬢様、こちらでございます。」

グレタがアリシアの前にロウソクを置いた。

アリシアは、ハンカチを火のついていないロウソクにかざした。

ロウソクにかざされたハンカチは、ひらりとも動きはしなかった。

「グレタ、ロウソクに火をつけてください。」

グレタは、ロウソクに火をつけた。

アリシアは、再びハンカチをロウソクにかざした。

ロウソクにかざされたハンカチは、フワリフワリと揺らめいた。

「アリがハンカチをゆらしてるのか?」

フィルは言った。

「そんな、ことはしておりません。フィルがハンカチをロウソクにかざしても揺れますわよ。ほら、フィルも持ってみて下さいませ。」

フィルは、アリシアから渡されたハンカチをロウソクにかざした。

やっぱり、ハンカチは、フワリ、フワリと揺らめいた。

アリシアは、ロウソクの火をけした。すると、ハンカチは動かなくなった。

「え、・・・なんで?」

ジョナサンは、キツネにつままれたような顔をした。

「火で空気が温められただけですわ。空気も他の物質のように温めたら膨張し、密度が低く軽くなるのですわ。まわりの空気より軽くなった結果、暖かい空気が上昇するのです。」

アリシアがどや顔で説明したが、流石のジョナサンも、科学が発達していない、この世界に生きているため、アリシアの謂わんとすることがきちんと理解できなかった。

ジョナサンとフィルが全然、授業についてこられてないのを見て、アリシアは、戸惑った。

しかし、スカイランタンを二人に作ってもらうつもりのアリシアには悩む時間はあまりない。

「《膨張》については、次までにまた実験を考えておきますわ。申し訳ありませんが、お二人とも、わたくしに時間を下さいませ。」

アリシアは、ひとまず、別の実験をすることで、二人に《膨張》の理解を深めてもらおうと思った。

「うん、じゃあ、これは次までのアリへの宿題だね。」

ひとまず、ジョナサンが納得してくれた。

ジョナサンが納得してくれれば、フィルは黙って従う。

アリシアは、ホッとした。

そして、残りの二つのランタンを見せ、二人に聞いた。

「それでは、この残りの二つのランタンでも、ロウソクは飛ぶかしら?」

まぁまぁ飛ぶ中のランタン、ほとんど浮かばない小のランタン、というのが正解だ。

「大きさが、違うけど同じランタンなんだろ?だったら飛ぶんじゃないか?」

フィルが興味なさそうに答えた。

ジョナサンは考えながら答えた。

「アリが、そんな事を聞くって事は飛ばないランタンがあるのかな?」

『やっぱりジョナサンは賢いですわ』

アリシアは、鋭いジョナサンに感心した。

「相変わらずジョンは鋭いですわね。それでは、早速実験をしてみしょう。」

グレタとリタに手伝ってもらい、アリシアは、残り二つのランタンも飛ばしてみた。

結果は、言わずもがなであるが、フィルは不思議そうに言った。

「大きさが、違ったら、同じランタンでも浮かばないんだな。変なの~。」

一方のジョナサンは、ハッとした。

「これは、さっきのボーチョーと関係ある?」

「多少は関係ありますが、全てを一度に理解するのは無理ですわ。だから、今日は、二つだけ覚えて下さいませ。一つ目は、温めた空気は膨張し、上昇していく事。二つ目は、ランタンの大きさによって、ロウソクが飛んだり飛ばなかったりする事。」

う~ん、と考えていたフィルがひらめいて叫んだ。

「あ~、じゃあさ、アリ、めちゃくちゃ大きなランタンを作れば、人は飛べるのか?」

アリシアは、目を見開いて、フィルを見つめた。

それから、ゆっくり笑顔になった。

「その通りですわ、フィル。私は、丈夫な布の袋を作って、ランタンのように温めた空気を入れて、人が乗れる籠をぶら下げたら、良いと思いますの」

アリシアは、ジョナサンとフィルの前で絵を熱気球の絵を描いてみた。

そして、熱気球の隣に、飛行船の絵も描いた。

「最初に作るとしたら、スカイランタンと似た形のコチラだと思いますが、研究が進めば、もっと沢山の人が乗れる、こんな船型のも作りたいですわね。」

フィルは、驚いた表情のまま、アリシアと、アリシアの絵をかわるがわる見つめた。

ジョナサンは、本日、この邸に来た時以上のテンションで鼻息荒くアリシアに近寄った。

「いつ?ねえ、いつ作るの?ねえ、僕はいつ乗れるの!?」

アリシアは、苦笑いを浮かべて言った。

「ジョン、残念ですがすぐには無理ですわ。でも、そのうち私たち3人でつくりましょう。」

「それは、いつなの?!」

ジョナサンの鼻息は荒いままだった。

「早くとも、家庭教師の先生がいらしてからですわ。だって、ジョン、ジョンだってロウソク1本で人間をのせるほど大きな布袋に詰め込む空気を温めたりできると、思っておりませんでしょう?」

アリシアが言った。

ジョナサンは、ガックリと肩を落とした。

しかし、アリシアの言う通りだった。

アリシアが準備したスカイランタンの空気をだって簡単には温まらなかった。

ジョナサンが、はー、と大きなため息をついた時、誰かの声が聞こえた。

「我が手伝ってやろう」

その瞬間、アリシアの部屋の天井がピカーッと光った。

次の瞬間的、そこに現れたのは、ギリシャ神話に出てくるような、翼のはえたサンダルをはいて、杖を携えたイケメンであった。

イケメンは、宙に浮かんでいたが、ゆっくり降りてきて床に足をつけた。

アリシアは、イケメンを見ながら呟いた。

「ヘルメース・・・?」

「ヘルメースとは誰ぞ?我は、発明、商業、医学、勉学、錬金術、交通、天文学、旅人・・・の神、マークリアぞ。」

『司っている項目が、多いですわ』

アリシアは、フンと鼻を鳴らした。

アリシアの様子にもお構いなしに、マークリアと名乗った神様が続けた。

「面白い事を考える童子がいると聞き、数日前より見て、おったが、ほんに面白い事を考える。空を飛ぶ装置をこさえようとするとはのう。」

そう言うとマークリアは、アリシアの描いた熱気球と、飛行船を目を輝かせてみいった。

最初に動いたのは、グレタだった。グレタはアリシアを庇うように前に出て、マークリアを見つめた。

リタも、慌ててジョナサンとフィルの前に出て、うわずった声を出した。

「く、曲者、曲者です。」

マークリアがチッと舌打ちをした瞬間、リタが喉をかきむしりながら、倒れこんだ。

アリシアは、リタが苦しそうに倒れたのを見て、ハッとした。そして、グレタの前に出て、マークリアに向かって、渾身のカーテシーを決めた。

「誠に申し訳ございませんでした。不躾にも当家の使用人が、大変失礼いたしました。わたくしが使用人にかわって謝罪いたします。わたくしに免じ、ここはご容赦頂けませんでしょうか。どうか、どうか、お願いいたします。」

「ほおー」

マークリアは、幼いアリシアが使用人達を庇い、謝罪した事に感心した。

「童子の気概に免じ、お前を赦免してやるわ。主に感謝せい。」

マークリアがそう言うと、先ほどまで苦しそうにもがいていたリタが、ゼーゼーと呼吸を繰り返し始めたのを見て、アリシアは、マークリアにお礼を伝えた。

「わたくしの願いをお聞き届けくださり、本当にありがとうございます。寛大なご対応、感謝いたします。」

それから、アリシアは、グレタに、向かって言った。

「グレタ、応接室にお茶の準備をしてくださいませ。お客様をおもてなしせねばなりません。」

「承知いたしました。」

グレタが、アリシアに向かって一礼をして、お茶の準備のため部屋を出ようとしたその瞬間、極度の緊張とやりきった解放感からか、緊張の糸が切れ、アリシアが倒れた。

「お嬢様!?」

リタが叫び声をあげ、グレタが振り返った時、アリシアはいにも床に叩きつけられそうになっていたが、マークリアがアリシアを魔法で中に浮かせた。

アリシアは宙に浮かんだまま、グレタの方までフヨフヨと流れてきた。

グレタは慌ててアリシアを抱き止めた。

そして、グレタはアリシアをリタに渡して言った。

「リタ、お嬢様をお願い。それから、ジョナサン、誰かに、応接室にお茶の準備をするよう頼んでくれるかしら?」

「えっ、グレタはどうするの?」

リタはアリシアを抱き抱えながら聞いた。

「私は、お嬢様のかわりに、お客様のお相手をします。」

そう言うと、グレタはマークリアに向き直った。

「お客様、主が不調にて立ち会えぬため、不肖ながら私がお相手をいたします。応接室に、お茶の準備をいたしますので、どうぞこちらへ、お出でくださいませ。」

グレタに誘われ、マークリアは部屋を後にした。

グレタがマークリアと部屋を出ていったのを見て、ジョナサンは、慌てて部屋を飛び出した。

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