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アリシアは、ケチャップに餓えている(1)

アップに失敗してしまいました。

そのため、6月9日の投稿はありません。

次回は6月10日0時の予定です。

運動着騒動の後、アリシアが目覚めたのは、翌々日の朝であった。

アリシアは、空腹を感じ目を覚ました。

『ケチャップのかかったオムライスが食べたいですわ。』

目覚めたアリシアの頭に一番に浮かんだ事である。

丸1日半眠っていたアリシアは、京子さんがケチャップをかけたオムライスを食べている夢を見た。


ケチャップは、材料さえあれば作れるらしい。

ただ、スパイスがこの邸にあるのか分からなかった。

そして、お米!お米はアリシアが生まれてから一度も見たことない。

一度だけ、ジョナサンに牛や馬に飼料と何を食べさせているか聞いたら、草だと言われた。

『お米ではありませんでしたわ。』

アリシアは、ガッカリした。

でも、この帝国は広い。だから、どこかにはお米が存在しているとアリシアは、思っていた。

もう少し自由に動ける身分と、身体であればよかったのだが、今のアリシアには、どちらも手が届きそうにない。

『わたくし、絶対に諦めませんわ。』

しかし、アリシアは、今、空腹だ。

オムライスに思いを馳せていたアリシアのお腹が、信じられないほど、盛大に鳴った。

グーーー

「うっううう、お腹が空きました。」

アリシアは、お腹が空き過ぎて、身体を《く》の字に曲げた。

ひとまず、食べる事ができないオムライスは、今はお預けだ。

アリシアは、決してただでは起き上がらない。

いや、今はお腹が空き過ぎて起き上がれないが正しいが・・・

とにかく、アリシアは、代案を考えた。

ひとまず、ケチャップは、無理だ。いや、すぐには無理だに、訂正する。

でも、トマトソースなら、難しくない。

トマトソースと、マヨネーズで、ハンバーガーならいけるのでは?と、アリシアは、思った。

ハンバーガーなら、ポテトは必須だ。

やっぱり、ポテトにも、ケチャップをかけたい。

ダメだ、無理だと思うとよけいにケチャップが欲しくなる。


ケチャップの呪縛から逃れられず、ベッドの上でのたうち回るアリシアの元に、ようやくグレタがやってきた。

コンコン。

グレタは、アリシアが起きているのを見て、安堵の表情を浮かべた。

「お嬢様、気がつかれたんですね。」

そして、次の瞬間的、怒った顔をして、アリシアに詰めよった。

「本当に、本当に、心配したんですから。目が覚めて良かった。」

それから、アリシアをそっと抱き締めた。

そう、アリシアは、倒れたあとに眠りだすと何があっても目を覚まさない。

耳元で大きな音をたてても、どんなに揺すっても、絶対に目覚めない。

その様子はさながら、昏睡状態の病人のようだった。

血の気のない青白い顔色で、静かに眠り続けるアリシアの姿は、邸で働く使用人達、公爵夫妻、そして、アリシアのお友達(と言う名のお世話係)を心配させた。

意識のないアリシアは、どれほど皆が心配しているかは、全く理解してないのだが・・・


アリシアは、グレタに手伝ってもらい、身支度をしてから食堂に行った。

食事にやって来たアリシアを見て、両親は踊り出さんばかりに喜んだ。

そして、両親に体調を心配されながら、アリシアは、味のしないパン粥をだまってのみこんだ。

多分、パン粥にも味はあったかもしれない。

でも、アリシアの気分は、トマトソースとマヨネーズのハンバーガーとサクサクのフライドポテトだったのだ。

そんな、高カロリーで、塩分多可なご飯を希望していたアリシアの舌からすると、あっさり、優しい味のパン粥など、味がしないも同然だった。

とは言え、アリシアを過度に心配する両親の手前、パン粥は食べたくないとは言えなかった。

そもそも、アリシアの辞書の『残す』の欄に《ご飯を残す》は載ってないのだ。

アリシアは、両親の気遣わしげな視線に居心地の悪さを感じながら、味のしないパン粥を何度も喉につまらせそうになりながら、何とか完食した。

5食抜いたアリシアの胃は、小さくなっていたようで、パン粥は少量だったがお腹は、満腹になった。


部屋に戻ったアリシアは、お腹が一杯だったので、少し休憩しようと思っていたのに、テーブルの上に見慣れない箱が置いてあることに気付いた。

「ねえ、グレタ、この箱は何が入っているの?」

「その箱は昨晩、届きました。シャノン様からです。」

アリシアはハッとして、すぐにテーブルへ近寄った。

アリシアの様子に、グレタは苦笑した。

アリシアは、着飾ることに関心がない。だから、これが、ドレスの箱ならば、中身の確認もせず、グレタが片付けるまで何日でも放置するのだ。

アリシアは、はやる気持ちを抑えて、ゆっくり箱を開けた。

中身はやっぱり、運動着だった。

アリシアは、珍しくニコニコ顔になり、さっそく鏡の前でガーデンを身体にあててみた。

長さはふくらはぎくらいまでありそうだった。

さすが、有能なシャノンは、スカート、シャツ、ズボン、全て長さを2種類ずつ用意してくれていた。

スカートは、アリシアの希望通り、膝上15センチほどの長さと、普段着ている、ふくらはぎから、くるぶし位の長さのドレスと同じ長さの2種類だった。

そして、シャツは、半袖と、長袖、パンツは、足首とふくらはぎまでの2種類だった。

さっそく試着をしてみたが、サイズはどれも丁度良かった。

今日の午後は、この長袖のシャツに、長めの巻きスカート風のズボンで過ごすことにした。


昼食も味のしないパン粥だったためアリシアはますます、ハンバーガーとポテトを渇望した。

どうしても、ハンバーガーとポテトが食べたいアリシアは、お友達と厨房に乗り込み、ジャンクフードをこの邸に布教することにした。

ジョナサンとフィルが目を輝かせてジャンクフードを頬張る姿を想像して嬉しくなった。

アリシアは、当初の予定通り運動着に着替えて、二人をまっていた。

ちなみに、厨房に入るので、エプロンドレスからエプロンを外して運動着の上から着けた。

厨房に乗り込む準備は播但である。


ジョナサンとフィルは、いつも通りにやってきた。

アリシアの目が覚めているのをみた二人はとても喜んでくれた。

アリシアが眠りつづけていた間も、ジョナサンとフィルは、アリシアの所に来ていた。

アリシアが倒れた午後、初めて死体のように眠るアリシアを見たフィルは、悲鳴を上げて、ベッドにかけよった。

「アリ!?アリ!?なあ、どうしたんだよ。」

フィルが声をかけても、アリシアはピクリともしない。

「何だよ、コレ・・・」

フィルは二人を部屋に入れてくれたグレタに向いて、力なく聞いた。

ジョナサンは、眠るアリシアのかおの前で手を振ってみた。

アリシアはやはり、ピクリともしなかった。

ジョナサンは、続けてアリシアの鼻の前に手をかざした。

アリシアが息をしていることに気付き、ジョナサンは安堵の表情を浮かべた。

「フィル、大丈夫。アリは、ただ眠ってるだけだ。」

「眠ってるだけって、こんなの、だって・・・」

グレタは、悲しそうな笑みを浮かべた。

「お嬢様は、ときどき、こうなるんです。」

「それは、アリの病気のせいですか?」

ジョナサンは冷静な表情でグレタに聞いた。

「そうです。」

グレタは頷いてから、続けた。

「お医者様は、お嬢様が本来、生活するために必要な力を全て消費してしまうと眠ってしまうのではないかと、言われておりました。」

「どういう事なんだ?」

意味が理解できず、ポカンとした表情を浮かべた。

「そうですね。例えば、50メートルを全力疾走するとつかれますよね?」

「そうだな。」

「でも、同じ距離を歩いてもそんなに疲れませんよね?」

ジョナサンは、グレタの謂わんとする事が分かった。

「そう言うことですか。」

まだ、フィルは理解できずにいた。

「だから、どういう事だよ!?」

「アリが、僕らと過ごしたり、この邸で生活することは、歩くのと一緒だけど、アリが不馴れな事をするのは、全力で走るのと一緒ってことだよ。」

「少々走っても倒れたりしねえよ。」

「少々ならね。だけど、フィルだって、家からこの邸まで全力疾走したら疲れるだろ?」

フィルは、しばらく考え込んでから答えた。

「やったことないけど、多分、ここまで全力疾走は無理だ。絶対に途中でバテる。」

「アリにとって、普段と違う事をするのは、長い距離を全力疾走するのと一緒なんだよ。で、アリはフィルと違って体力もないだろ?」

フィルは、アリシアが走っている姿を思い出した。

たった50メートルを走り終わっただけなのに、アリシアは息が上がり、苦しそうにゼーゼーと呼吸を繰り返していた。

「確かに。」

「だからだよ。アリには普通に生活するだけの体力しかないんだ。アリはその体力をうまくやりくりしながら一日を過ごしているのに、時々、それに失敗してしまうんだと思うよ。」

「でも、疲れて寝てるにしても、こんな・・・」

フィルは、アリシアを見つめて、何とも言えない表情を浮かべた。

ジョナサンは、言葉を慎重に選んで、言った。

「疲れて寝てるんじゃないと思う。・・・だぶん、だけど、重い病気の人がなる、意識がない状態と同じなんじゃないかな。」

フィルは、アリシアの状況を理解して真っ青になった。

「アリは今、生きるために頑張ってるんだよ。」

ジョナサンは、アリを心配そうに見つめた。

「だって、それってアリが、もう・・・」

フィルは、手の色が変わるほど拳を強く強く握り締めた。

そんなフィルをよそに、ジョナサンは、眠るアリシアの頭をそっとなでた。

「アリ、待ってるから、早く戻っておいで。」

フィルは、握り締めていた拳から力を抜き、手を開いた。

「アリは、寝てるときまで頑張ってんだな。」

フィルは、いつも通りテーブルについた。

そして、アリシアが作った計算問題を取り出し、ジョナサンに差し出した。

「オレもアリに負けないように頑張るからさ、だから、ジョン兄、見てくれよ。」

ジョナサンは、フィルの隣に座り、アリシアのかわりに勉強を教え始めた。

そうして、二人はアリシアが眠っていた数日、眠るアリシアの側で自主勉強を行っていた。

今日も、アリシアの側で自主勉強をする予定であったが、アリシアが起きているのを見て、二人は、歓声をあげて、アリシアをバグした。

アリシアは、ジョナサンとフィルに、もみくちゃにされながら、皆に、凄く凄く、本当に凄く、心配をかけてしまったと、反省した。

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