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2話 誰だ?

 僕はそのラブレターを3回見た。そして思う。

 どうしろって言うんだ!!!

 どうやらクラスに僕の事が好きな女子がいるらしい。でもその子は自分の名前は明かさないという。

 で、僕はどうしたらいい?

 ちょっと遠くから見てるって?

 僕は、誰がラブレターの送り主なのか、気になってしかたがないだろう。

 わがままかって? わがままそのものだよ!


 きっと送り主は、女子から想われて悪い気はしないだろう、と考えたのだろうが、ラブレターなんてものもらえば色気も出てくる。

 初めての彼女ができるのかな? もしくは残念だけどお付き合いできないという事になるのかもしれない。

 それは僕が決めていいことのはずだったのに。

 この女の子は、自分だけが言いたいことを言ってスッキリして、僕がモヤモヤする事なんて考えていない。


「誰なのか突き止めてやる」

 僕はかたく決心した。


 クラスの扉の前に立つ。息をすっと吸い、吐く。

 ここは大事な場面だ。

 ラブレターの送り主は僕のリアクションが気になっているはずだ。

 僕が昨日までと同じ様に入ってくるのか、それともなんらかの動揺を見せるのか、その様子を食い入るように見てるはず。

 そんな女子を探せばいい。


 だが、そのチャンスが最大のものになっているのは今日だ。

 今日を逃せば送り主は日一日と落ち着きを取り戻していくことだろう。

 そうなった時に、微妙なリアクションを見分けるのは難しい。

 故に今日この瞬間は大事なものになる。


「よし!」

 僕は軽く気合の声をもらすと、取っ手に手をかけそれをスライドさせた。


 見る。視る。観る。

 探る。


 クラスの女子たちの表情を観察する。

 僕はクラスの前方向の扉から入ったため、女子の表情を見ることができた。


 まず目をやるのは、クラスで一番かわいいとされている女子が所属する4人グループ。華やかな彼女たちはきゃはは! と賑やかに何事か盛り上がっている。

 残念ながら彼女たちの中に僕の入室を気にしている者はいないようだ。

 まあ、彼女らとでは住む世界がさすがに違う気もしていたので、付き合えたとしてもうまくはいかなかっただろう。

 そんな風に自分を慰めておく。


 次に視線をやるのは仲良しふたり組女子。

 演劇部に所属する二人は、一冊の本を頭を突き合わせて読んでいる。

 僕の入室に興味すら示さない。


 次の女子、次の女子と目を移していく。

 だが僕の存在に注意を払う女子は・・・いない。


 一応クラスのぼっち女子の事もチェックしておく。

 この子は腕を枕に机に突っ伏している。あいかわらず暗いなあ。

 ラブレターの送り主は、自分には友達がいると書いている。だがフェイクの可能性もあった・・・が、どうやら彼女でもなさそうだ。


 愕然とした。

 僕の事を気に留めてくれる女子は一人もいなかった!!

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