表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/19

13話 噂話

 あの日からミイは私と目も合わせてくれない。

 そしていつも通りの、ひとりぼっちで机に腕をまくらにして、他人を拒絶するスタイルをとっている。

 今までは私がいた。

 どんなに孤独な子と周りから見られようと、本当はあの子は一人なんかじゃない。

 でも今は・・・


 どうする気なのミイ。

 ひとりぼっちになっちゃうよ。


 そんなある日に聞いたのだ、その話を。

「ねーねー、ユーコ。私すごいものを見ちゃった。ツキシマさんわかる? ほらあの子」

 そう言ってミイの事を指で示す。

「今日さ、あの子が、リコ君ってわかるかなー? あー、まどろっこしい。まだ来てない男子なんだけど、その子の下駄箱の中に手紙を入れてたんだ。

 あれラブレターだよ! 大人しそうにしてるのにやるよねー。てか、いまどき下駄箱にラブレターって! ベタなことするよねー。マジウケるんだけど」


 私は顔色を失って、ミイの方を見る。

 今までこっそりとくれていた、アイコンタクトがなくなってから数日がたっていた。

 ミイ・・・あなた・・・


「今の話だけど誰か他の人にした?」

「え? してないけど」

「じゃあ誰にもしないで!」

「なんで?」

「なんでも!!」


 私は友人に険しい顔で約束をさせた。友人は不思議な顔をしながら、わかったと、一応うなずいてくれる。


 なんとかしなきゃ。私のせいかもしれない。

 たった一人の友達を失ったと思って、やけになっているのかもしれない。

 そんな状態でどんな手紙を書いたというのだろう。

 悪い想像しか浮かばない。

 とにかく冷静に、冷静に。


 私は普段どおりに振舞おうとした。もう一人友人が加わり、立ち話に興じていると、後ろでドアがスライドする音がする。私にラブレターの話をした友人がそちらを見て、ニヤッとした。

 リコ君が来たのだろう。

 あわててドアと彼女の直線状に体を動かし、彼女の視線をさえぎる。

 彼女が不満そうに私の顔を見る。

「見ない見ない。あんまり下世話な事に関わるのは、えーと、そう、淑女のたしなみに反するよっ!」

「なんだそれー、淑女って!」

 彼女が笑い声を上げる。

 もう一人の友人も、

「なになに? おもしろそうな話? 聞かせてよ」

 と興味を示してしまう。

「なーんでもないからー!!」


 そうやって一日をごまかしごまかし終えた。

 それが次の日意外な展開を見せていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ