12話 大喧嘩
「え?」
信じられないといった目でミイは私の事を見つめた。
私の部屋で、ミイとテーブルの前にペタンと座って私たちは話していた。
「反対って言ったの。は・ん・た・い! 私はこの恋は応援できないよ」
「なん・・で?」
「だってリコ君普通の男の子じゃん。私はさ、ミイにはもっとおしゃれとかして、自信持ってもらってさ。それで顔もよくて性格もよくて頼りがいもあって、そんな人と付き合って欲しいんだ」
「何を言ってるの?」
ミイの目が不可思議なものを見る色に変わる。
「夢があるの。いつか私たち二人とも、お互いに結婚するじゃん? 素敵な旦那さまと家族で海外旅行とか行ってさ、子どももいるの。きっと楽しいよ! 行き先はヨーロッパ系がいいな。ああ楽しみ。とっても」
そして私は言う。
「だからリコ君じゃなあ・・・ちょっと役不足」
ミイの表情が変わったが、私は話をやめない。
「そーだなあ。生徒会長のカトウさんみたいな人がいいと思う。どう? いいと思わない? ミイならあのレベルいけるって」
ミイの肩は震え顔がうつむいていた。その表情は思いつめているように、暗い。
私はその様子を見ても、夢見がちな表情を浮かべてしゃべり続けていた。
「私も早く素敵な人見つけなきゃって今回の事で思ったんだ。私たちってそっち方面ぜんぜんだったもんね。くだらない男はいくらでも来るくせにさ、これだってのがなかったのよね」
ミイの手が強く、強く握られている。
「私はそんな感じだけどさ、ミイはそもそも、みんなからちゃんと認められてないからねえ。だからってリコ君はないわー。ぜんぜんミイには釣り合わないよ。見てたら普通の子だってわかるじゃん。だってさ・・・」
その時だった。
「勝手な事言わないで!!!」
ミイが唐突に叫んだ。
「リコ君はいい子だよ。私はリコ君のいい所をたくさん知ってるもの。ユーコなんて最近までリコ君? 誰? とか言ってたじゃない。何にもわかってない。わかるはずない。リコ君の悪口言わないで」
そして、
「もうユーコと話したくない。金輪際話しかけないで」
そう言ってミイは部屋を飛び出して行く。
「ミイ・・・??」
私はそれを呆然と見守ることしかできずにいた。