三流映画監督の俺ですが、映画の撮影中に密室殺人事件が起きてしまった。
※「なろうラジオ大賞3」の参加作品の為、合計1000文字しかありませんご了承ください。使用キーワード『映画』『密室』
俺は震えていた。
さっきまで生きていた役者の男が目の前に倒れている。
ピクリともしない。
演技にしては動かなすぎる。
転がっているナイフを拾う。
刃を指で押してみる。
ピクリともしない。
本物だ。
「何がどうなってる? このナイフは誰が持ち込んだ物なんだ?」
俺は倒れている人物を表に返し、頬を叩くがピクリとも反応しない。
「本当に死んでるのか?」
この状況にビビっている主演俳優が離れた場所から俺に確認するが――
「ああ、死んでる。息をしてない」
完全に死体だ。
「ちょっとウソでしょ」
主演女優の方が、主演俳優より度胸がある様子でこっちに来る。
巽 悠衣。
俺みたいな三流監督の映画に出てくれるワケのない超一流女優。
もちろん俺などがオファーを出せるハズがない。
信じられないことに、向こうから出演料激安で逆オファーがあったのだ。
なんという幸運と思ったが、必ずコインには裏があるということか。
俺の人生は裏返しばかりだ。
「ぃ、いやーーっ、彼、本当に心臓が止まっているわ!」
迫真の演技だが過剰だ。
だいぶ前にカメラは止めている。
今は演技する必要はない。
「ど、どうするんだ? というか事故か? この部屋はアイツ1人しかいなかったんだし」
主演俳優の癖なのか、スクリーンの向こう側の観客に説明するかのようなセリフを吐く。
そうか事故か。
それなら何とかなる?
監督の責任はどれ位なのか。
俺がなんとか落ち着きを取り戻し掛けた時、新たな「待った」の声がかかる。
「いえ。これは立派な密室殺人事件です」
「何!?」
誰だ、と見るとそこには名子役の下野少年がいた。
「どういうコト? 下野くん」
「ほら、これを見てください」
悠衣の質問に応えるように下野少年が持ってきたものを見せる。
それは凶器となってしまったナイフと同じ見た目、刃が引っ込む小道具のナイフだった。
得意気にメガネをクイっとする下野少年。
「誰かがきっと、事前にナイフを本物に入れ替えたんですよ」
「ということはコレって、……事故じゃない。殺人事件てことね」
謎解きで盛り上がる二人の横で、ピクッと動く男の死体。
いつの間にかゾンビメイクが施されている。
実は死体役の俳優は、心臓を数秒止められるという貴重な特技を持った男。
この後はゾンビが役者を襲いまくるという撮影プラン。
当然、役者陣には知らせていない。
これまでの一部始終は全てカメラに収めている。
「いやー、迫真の画が撮れました」
人はこんな事ばかりする俺を三流映画監督と呼ぶ。
お読みくださりありがとうございましたッっ。
m(_ _)m
……なんとなく某有名映画「カメラを止めるな」に似てるなって思った方!
私も思いました(汗)
書きあがってから気づくという始末……。
もしパクリ判定アウトなら削除するかも。
ご指摘お待ちしております(大汗)
三流映画監督の息子の話もあります。(ジャンルは現実世界恋愛)
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「現役スーパーアイドルの義姉と義妹が毎日俺を殴ってくる(あと不良も)」
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