番外編 精霊王の野望
※知らないうちに20万PV達成していましたので、ご恩返しに茶番回を投稿します。
精霊王の活躍がほとんど無い内に出番終了したため没扱いでしたが、宜しければお読みください。
「グース、今日のお茶菓子を運んで頂戴」
「ルーフィーは精霊王様をお席にご案内してくれる?」
アメリアの指示を受け、庭では精霊たちがいそいそと立ち働いている。
これからグレイソン家の庭でお茶会をするために精霊も全員手伝っているようだ。
「まあフェイったらつまみ食いしたでしょう?口の周りにクリームが付いているわよ」
なんと!フェニックスまでアメリアに口元を拭ってもらうなど…随分と甲斐甲斐しく世話を焼いてもらっているでは無いか…。少し羨ましいが、それを言えば威厳がなくなってしまう。
「お前たち、少しこちらの世界で気を抜き過ぎでは無いか?」
精霊王は精霊たちの姿に呆れたように苦言を呈した。
「でも、なあ?アメリアは俺達と契約しているし傍に居れば世界樹の魔力もあるし」
そうフェイが言えば『そうね、私たちは今、魔力的にもそれから心も満たされている感じだから…気が抜けるのも仕方ないですわね』とティアまで言う。
…精霊界では偉大なる四大精霊として栄華を誇っていた者たちが、こんなちんまりとしたヒヨコや小人のような姿のままで恥ずかしくないのだろうか?
「…小さいほうが、場所も取らないし、アメリアが可愛すぎるって言って抱きしめたりお菓子を食べさせてくれるもんな」
「そうそう、いい子いい子しながら膝枕してくれたりな」
フェニックスもグノーシスも随分と楽しそうなことを言う。
…ふむ、小さいとアメリアが構ってくれるのか…それは良いことを聞いたかもしれぬ。
精霊王は精霊の力を使い、幼い子供の姿へと自らを変えることにした。
「…あら?お茶の支度をしているうちに精霊王様はお帰りになったの?」
アメリアが、準備を終えて庭へ来るとキョロキョロと私を探しているようだ。
フフフ…そろそろ出ていくとするか‼
「アメリア!私はここにいるぞ」
そう言って木の陰から出ていくと全員吃驚した顔でこちらを見ている。
「…どこから入ってきたのボク?お家はどこ?」
アメリアは優しく声を掛けてくれるが私が精霊王だとは信じていない様子。
「だから私が精霊王だと言っておるだろう?こちらの世界では小さいほうが良いと言われたので幼子の姿を取ったまでよ」
胸を張って答えると、アメリアは精霊たちに本当かと尋ねていた。
…おのれ…精霊王たる私の言葉を疑うとは…。
「あれは間違いなく精霊王様だ。…まあ、お茶会が終わったら勝手に元に戻るから。今はアメリアが構ってやればいいんじゃないか?」
少しだけ呆れたようにフェイが言う。うむ…ちよっとその言い方は気に入らぬが、私を構うのだアメリア…。
そう思っていると、彼女が私をそっと抱き上げて椅子に座らせてくれた。
「精霊王様、今のお姿では少し、背が届きませんからね」
優しい微笑みで私だけを見つめてくれると…少しだけドキドキする。
その上、「お菓子はどれが食べたいですか?」とか「お茶は少し冷ましましょうか」と甲斐甲斐しく私の世話を焼いてくれるでは無いか⁈
…素晴らしい…四大精霊たちがちんまりした姿のままでいる理由が分かった気がする。
これならば、もしかしたら膝枕とかお口あーんとかも、おねだりしたらやってもらえるのではないだろうか?
お菓子を頬張りながら、私の心は期待で膨らんでいた。…それなのに…。
「こんにちは。今日は精霊王様がいらっしゃっていると聞いたから、急遽こちらに寄らせてもらったよ」
まさかのセオドア王子が現れたのだ。く…この邪魔者め…。
「今日はご公務があると伺っていますのに、大丈夫なのですか?」
「うん。何だか嫌な予感がして急遽、公務を切り上げてきたんだ…来て良かったよ」
セオドア王子は私の方を見ながら不満げに言う。
「それでは直ぐにセオドア様のお茶もご用意いたしますから」
準備の為にアメリアが屋敷へ入っていくとセオドアは私の傍へとやってきた。
「精霊王様ですよね?…アメリアの母性本能をくすぐって可愛がってもらおうとか、ちょっと卑怯じゃないですか?」
ニコニコしているが、コヤツの真っ黒な本性が透けて見えているわ。
「別に…そんなつもりでは無いぞ。小さいほうがこちらの世界では便利だと聞いたからこの姿でいるだけだ」
…内心の動揺は隠し、シレッと言ってみるも多分見透かされているのだろう。
「…そうですか。アメリアは私の婚約者であり、未来の王妃だということをお忘れなく」
そう私をけん制すると、「フェイ、ルーフィー二人とも精霊王様がアメリアに不埒な真似をしないように見張っていてくれるかな」と言い出した。
フッ…馬鹿め、四大精霊は私の味方だわ。お前ごときの言うことを聞くものか。
「ちゃんと見張っていてくれたら、王宮に来た時、シェフにスペシャルなケーキを焼いてもらって皆に振舞おうと思うのだけれど…どうかな?」
そうセオドア王子が言った瞬間、精霊たちが敬礼した。
「「判りました!お任せください‼」」
…いや…お前たち、私の味方じゃなかったのか?
「それじゃあ、私は次の公務に行くから後はよろしくね」
慌てて戻ってきたアメリアの頬にキスをすると奴は帰っていった。
…アメリアまで頬を赤らめて奴めの背中を見つめているでは無いか…うぬぬ…。
四大精霊は私を見つめると「精霊王様、セオドア王子にはかないませんから。諦めましょうよ…」とため息を吐いた。
…おのれ、セオドア王子め。
今日の所は負けたが、次こそは私が勝つからな‼と心に誓ったのだった。
本当の茶番回です。




