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41 土の精霊誕生

恐怖の一夜が明けました。…良かった…私、生きています。

昨夜は、恐怖のあまり部屋に送ってもらうとそのままベッドに潜り込みました。

だって、500年前の精霊が未だにこの地に封印されて、苦しんでいるなんて私が精霊なら絶対に恨みます。ずっと苦しんで愛する人にも会えなくて…可哀そう…。


…そう考えると、少しでも早く封印を解いてあげなくては…とも思えます。

私がもしも愛する人に会えなくなったら…そう考えていると「難しい顔をしてどうしたの?」急にセオドア様が目の前に顔を近づけました。ギャーッ‼い、いつの間に⁈

動揺する私でしたが、セオドア様は「うん、ノックしたのだけれど返事が無かったから勝手に入ったんだよ」とサラッと答えます。

ビ、ビックリしました…。愛する人に会えなくなったらなんて考えているときにいきなり現れるんですもの。セオドア様って心臓に悪い…。

でもおかげで昨夜の恐怖は少し薄れた気がしますから、良しと致しましょう。


そうして私は、気を取り直して、昨夜の図書館で読んだ禁書や歴史の改ざんの裏にあった、精霊の封印の話を両親に伝えました。

さらに、王家の墓地で出会った精霊の御霊については、母も涙ぐみながら聞いてくれました。ただ、その精霊たちが封印されている土地の封印を解くためにお父様とお母様の魔力を私の【ホワイトコア】に注ぎ込み、お父様の地の属性の精霊と、お母様の水の属性の精霊を誕生させようというフェイの提案には難色を示しました。


「アメリアに危険が及ぶような行為は断固反対だ‼」と父が言えば、「そうねぇ…大体私たちは魔力暴走するほどの魔力はないものねぇ…」と母も言います。


やっぱり、これは実行するのは無理があるのではないでしょうか?

でもフェイは「問題ない」と言い張ります。


「アメリアの父ちゃんの魔力はそもそも、この国に元から存在した濃い魔力なんだよ。

だから後から無理やり持たされた【穢れ】よりは精霊に近い魔力だし、母ちゃんの魔力は後から無理やり持たされた【穢れ】だが、根本的に量が少ない。そのうえ、元々水の精霊が半身だったんだから、向こうで勝手にあんたのことを察知してアメリアのコアを経由して来る」


そんなに簡単なものでしょうか?


「前の2回みたいに強い【穢れ】の魔力暴走を受け止めるわけじゃないから、アメリアの負担も少ないし、今回は結構楽にできるんじゃないか?」


本当でしょうか?…でもフェイを信じてやってみるしか道はありません。


「お父様、お母様!さぁ…私に魔力を注入して下さいませ‼」


フェイからの言葉を伝え、気合を込めて叫ぶ娘にお二人はため息を付き、「やってみるしかない様だね」と頷かれました。


先ずはお父様の地の魔力から注入してみることになりました。

お父様が、私の前に座り、両肩を抱きます。その指先から、次第に熱い魔力の本流のような大きなうねりが流れ込んで来るのを感じました。


確かに前回のような破壊的な衝動は何も感じられません。ゆっくりと、私を労わる様にその魔力は私の胸の中を満たしていきました。

その時…「あ…これは…」と感じる強い力の塊が胸に集中し、一気に弾けました。

そして、私の手の中には琥珀色をした卵が光を放っていました。成功です!


「これが精霊の卵か…」 お父様もついに見ることが出来るようになったのですね⁈

やっと仲間外れだと嘆くことも無くなってアメリアも嬉しいです。


「お父様、さぁ生まれるまで油断してはいけません。この卵に一緒に触れていてください」と父の手を私の手の上の卵に被せました。


今回の卵もほのかに暖かいので、間を置かずに生まれてくれそうです。

どんな精霊が誕生するのでしょうか…?

じっと見続けていると、『ベキン』と大きな音がしました。

いよいよ土の精霊の誕生です。今回は早く生まれてくれて良かった…と思いましたが、そこから一向に生まれて来る気配がありません。

もしかしたら、ついうっかり力を籠めすぎて卵を割ってしまったのでしょうか?

慌てる私でしたが、お父様は落ち着き払って「大丈夫だよ」とほほ笑まれました。


お父様の言葉の通り、卵はゆっくりと割れ、中からトンガリ帽子をかぶった老人のような姿の精霊が現れました。

そして、私たちのことをおもむろに見回すと『エヘン』と咳をして殻から這い出してきたのです。


「俺は土の精霊グノーシスじゃ。お前さんたちが呼ぶから起きてしまったわい」と腰に手を当てて胸をそらしました。


お父様は「思っていたのと違う…」と少し嘆かれましたが、グノーシスの誕生で精霊を感知する力が高まったのか、突然立ち上がると「ああっ⁈ 私にも精霊のすがたが見える‼…風の精霊に…君はヒヨコ…かな?」と叫びました。


「おい!失礼だな…俺様が火の精霊フェイ様だ。アメリアを救ったのも俺様だぞ?」


「私は風の精霊ルーフィーよ!今まで見えていなかったの?ウフフ案外鈍いのね?」


 …ルーフィーは案外口が悪いですね…。お父様が、がっくり肩を落としていらっしゃいます。立ち直れますかね…?

 すると、それを聞いていたグノーシスが「ちょっと待て!」と乱入してきました。


「おい!フェニックスにシルフィード!久方ぶりだな。ところで、あんたたちはまさか人間に名前を付けられていやしないか?」


 フェイもルーフィーも頷きます。


「おいおいおい‼俺たち精霊がそんなに簡単に人間の言うなりになるなんて、精霊王様もお嘆きになるぞ」


どうやら土の精霊グノーシスは人間が嫌いな様でした。


「ところが、今回ばかりは精霊王様がそれをご所望なんだよなぁ」とフェイが答えます。


「それはどういうことだ⁈精霊王様はオールヴァンズに同胞を捕らわれてから、この国には一切近づくなと言っていたはずだ」


 グノーシスが言い返します。…そうだったのですね。

 確かにあんなことがあったら私だって近づいて欲しくはないです。


「この娘は精霊王様の加護を受け、この国に蔓延る【穢れ】を浄化する使命を持った娘だ… その証拠に、精霊王様の加護を与えられたイヤリングも持っている!見せてやれアメリア‼」


 …そんなに壮大な使命を持っている覚えはありませんが、私は耳に付けたイヤリングをグノーシスに見せました。


「あっ‼ …確かに、それは精霊王様の加護の証…失礼なことを言ってすまなかったな」


 いえいえ、そんな。…フェイに比べたら全然失礼ではありません。


「お詫びに、俺も協力するぜ‼ さぁ、契約の証の名前を俺にも与えてくれ‼」


 いきなり言われましても…。


「それでは、グースでは…どうでしょうか?」


 ああ、安直な名前しか出てこなくて本当にすみません。

 そう思いながらも、グノーシスの周りで土の壁が光の様に霧散するのを見ると安心しました。気に入っていただけたのですね?良かった。


「おう!俺は土の精霊グース!契約完了だ。これから世話になるぜ」


 これで3人目です。後残すは1人…。無事に誕生させることが出来るのでしょうか?


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