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29 リアム第2王子の苦悩

僕の名前はリアム・ジョエル・オールヴァンズ。


オールヴァンズ王国の第2王子として生まれて、この間12歳の誕生日を迎えました。

僕は少し、苦手なものが多いみたいでよく叱られます。

勉強も、剣術も苦手で、野菜もピーマンが食べられません。

セオドアお兄様のように何でも出来るわけじゃないから、いつも「セオドア第1王子様は素晴らしいお方なのに…」とか「ご兄弟でも出来が違うものですな」とか言われて、益々兄に近づくことが出来なくなってしまいました。


最近の兄様は会えば話しかけてはくれますが、以前はもっと冷たい雰囲気で周りを寄せ付けない方でした。

いつ頃からかはわかりませんが、兄様は笑顔でいることが多くなりました。そのため、以前から高かった兄様の人気はすさまじく、貴族からの縁談も降るように来たと聞いています。より取り見取りですが兄は縁談の令嬢には興味を示しませんでした。


 兄様は全てを兼ね備えていらっしゃる王子様と言われていましたが、婚約者として選んだ公爵令嬢は、僕の目から見ても平凡で普通の女性でした。

 真っ白い髪に金色の瞳は、たしかにあまり見たことはありませんが、人目を惹くほどの美しさという程のことはないと思えます。


「セオドア様はご自分が全てを兼ね備えているから、女性の外見や魔力には拘らず権力を求めたのではないか」と貴族達から悪口を言われていても平然としていたので、そうか、兄はこの国を継ぐためにグレイソン公爵家の権力が欲しくて政略結婚をしようとしているんだと納得したぐらいです。


 お母様も同意見な様で、「あんな外見すら磨けない令嬢と結婚するなんて、王位に相応しくないわ」と何度もお父様に進言なさっていました。


 お父様…オールヴァンズ国王は、ダリア王妃様と結婚していました。その時に生まれたのがセオドア第1王子…僕の兄様です。

 ダリア王妃が亡くなったとき、国王はすごく悲しまれ、二度と結婚しないと言っていたそうです。それなのに、半年後には突然気が変わって、僕の母であるオリバレス第2王妃と婚姻をしたのだから人の気持ちなんて変わりやすいのかなとも思います。


 僕が生まれて、しばらくはお父様もお兄様もすごく可愛がってくれました。

でも、お母様から「セオドア王子は自分が王位に就くために、貴女を毒殺するかもしれないわ」と傍に寄せ付けないように言われ、それからはほとんど会うことが出来なくなりました。

 お父様も「お前は勉強が苦手なようだね。もう少しセオドアの様に努力しなさい」と僕を叱ります。兄様はきっと何でも持って生まれてきているから、努力なんてしていないのに、僕ばかりが叱られます。

メイドたちも、「好き嫌いばかりしていてはお兄様の補佐はできませんよ」とすっかり兄様がこの国を継いだような口ぶりです。

僕は誰からも必要とされていない気持ちになりました。


 兄様と例の公爵令嬢とのお披露目の日が来た時も僕は内心不貞腐れていました。

 あんな、見栄えの悪い令嬢が義姉になるなんて恥ずかしいと思ったからです。

 ところが、ドレスで登場した彼女は炎の精霊の様に美しく、会場の注目を一気にさらってしまいました。まさか、別人では…? そう思いましたが、母が悔し気に「随分と化けたわね…」と言っていたので本人なのでしょう。

 女は化粧やドレス一つであんなに変わることができるのかと衝撃を受けました。

 大して話もしていないので性格は判りませんが、外見だけは変われると勉強になりました。


 そんなある日、王宮へ来る兄様の婚約者の姿を見ました。

 舞踏会でお披露目されてから、彼女は毎日王宮へ来ては王妃教育を受けていると聞きました。

 それ自体は構わないのですが、公爵令嬢が王宮へ到着した途端、兄様が出迎えに門のところまで出てこられたのには驚きました。

 王族が出迎えをするのは大抵が各国の要職に就く人物か、他国の王族だけだからです。


 …もしくは、余程大切な人なのか…。


 その時、心の奥にモヤモヤした思いが湧きました。…嫉妬なのでしょうか?

 奥から見つめる僕には気が付かず、二人は王宮図書館へと消えていきました。

 …あんな兄様の笑顔を僕は見たことがありませんでした。

 あんなに無防備に笑う兄の笑顔を、あんな女が独り占めしているのかと思うと気持ちがムカムカして吐き気までしてきました。

 自分では説明することの出来ないムカつきに、その日は食事をすることが出来ませんでした。

 毎日彼女は王宮へやってきます。そして、毎日兄も迎えに出てきます。

 それを確認するたびに、僕の胸の中に憎しみが湧くのを感じました。

 見なければ良いことは分かっているのですが、確認せずにはいられない…。そんな悪循環に陥っていた時に事件は起こりました。


 偶然、例の公爵令嬢が早めに王宮に到着したのです。僕はそれを見つけ、何故かチャンスだと思いました。

 そして、彼女に「お兄様は少し遅くなりますから、僕が王宮図書館までお送りしましょう」と手を伸ばしました。

 彼女…アメリア嬢はしばらく思案したのち「ありがとうございます。よろしくお願いします」と言って、僕の手を取り笑いかけてきました。

 兄ではなく、僕自身に笑いかけてくれたのです。


 その後は何を話したのか殆ど覚えていません。少しフワフワした気持ちだったからしどろもどろに「僕はセオドアお兄様の様に何でも出来る王子じゃないから…」とかなんとか言った覚えはあります。

 それに対してアメリア嬢が「リアム様には貴方にしかない魅力があるではないですか」と言ったことも。

 そこで、僕の幸せな時間は終わりを告げました。兄が慌てて現れると、「遅くなってごめんね、アメリア。…リアム私の婚約者のお相手をありがとう」と言って、彼女を連れ去ってしまったのです。


 もう少し、彼女と話したかった…。僕は悔やみました。

 せめて、アメリア嬢の感じてくれた僕にしかない…セオドア兄様には無い魅力だけでも聞いておきたかったのに。


続きは明日更新します。中途半端ですみません。

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