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22 ダリア王妃殺害の真相②

「そんな… なぜダリア王妃様が生贄になったなどと…」


ショックのあまり、言葉に詰まります。


「これもあくまでも仮定の話だけれど、母から何らかの方法で秘術のことを聞き出したライオス宰相は、生贄が必要なことと、母の口封じを同時に行えないかと考えたのだと思う。

そうすれば、この国で秘術について知る人物はいなくなるし、生贄としても利用できるからね。まさに一石二鳥だと思ったのではないかな」


…そうだとすれば、あまりに残酷です。

でも、確かにダリア王妃の命を生贄に【人心掌握の秘術】を会得していれば、メイド長の心を操り嘘の自白をさせることも可能になります。

 そうすると、ブラインズ公爵家の『宝物庫の傍でメイド長を見た』という証言はどういう事でしょうか?


「それも想像でしかないけれど、恐らくブラインズ公爵自体が金品を掠め取っていたのではないかと思うんだ。メイド長に罪を被せることが出来れば、自分のやったことは闇に葬り去れるからね」


ああ、なんて酷い。でも、確かにそう考えれば辻褄が合います。


「それに、母の死後、大分経ってから一人の薬師が投獄されたんだ。その男を取り調べた人物はグレイソン公爵…君の御父上だよ。」


父は、その当時は王宮の警備隊も取り仕切っておりましたから、責任者として話を聞いたのでしょう。そこでその薬師から『遅効性の毒を大金を積まれてある男に売った』と証言が取れたそうです。

その薬師は相当な小悪党で、沢山の詐欺的な行為はしていましたが、殺人などはしたことが無かったそうです。そのため、父が減刑を条件に毒を買い求めた人物の名前を吐かせました。


「その時に薬師が吐いた名前が『ブラインズ公爵』だったという訳さ」


それが本当なら、ブラインズ公爵が黒幕ではありませんか‼なぜ、罪に問われることもなく、今も大手を振っていられるのでしょうか

私の尤もな疑問に、セオドア様は益々悲しそうな顔をされました。

ああ… 裁けるなら、とっくに罪を認めさせていますわよね。


「グレイソン公爵は、薬師の証言が取れた後、国王にそのことを直訴したそうなんだけれど、数日後、薬師の遺体が市街地の裏路地で発見されたそうだ」


…口封じ…ですわね。


「そのため、証拠不十分となりブラインズ公爵は無罪放免。グレイソン公爵は薬師が王宮の警備をかいくぐって脱走した責を負わされ、王宮の警備隊を管轄する権利をはく奪された。…勿論その後を引き継いだのはブラインズ公爵家だ」


…どこの世界に王宮の魔術が施された警備をかいくぐれる民がいるというのです!

明らかに王宮側に手引きをした人間がいると判るではありませんか‼

憤慨しても、これは10年以上も昔の話なのです。今さら私にはどうしようもありません。


「グレイソン公爵はそれまでの王家への貢献が認められているからね。ブラインズ公爵としてもこれ以上はやりようがなかったから、諦めたんじゃないかな」


そうして、父を失脚させ、意見の信用を失わせたわけですわね。なんと卑劣なんでしょうか!


「ライオス宰相にとってはメイド長に殺人の罪を着せられればそれで良いし、ブラインズ公爵にとっても金品の盗難が隠せればメイド長一人の命など惜しくない。そのうえ、公爵は自分の娘を第2王妃に据えることにも成功した。宰相の企てだとしても、自分に旨味があった。それで、共謀して私の母を殺害した…というのが真相ではないかな…?」


確かに仮定の話ではありますが、あまりにも辻褄が合いすぎているではありませんか。そうすると、ライオス宰相様…いえ‼ ライオス宰相はほぼ間違いなく【人心掌握の秘術】を会得しているということでしょう。では、【不老不死の秘術】の方はどうなのでしょうか?


「宰相の付けている仮面の下の素顔を見たメイドたちがコッソリ噂していたのだけれど、若々しい男性だったそうだよ。彼が王家に仕えてから50年以上の時が流れているのに、20歳前後の美しい青年の姿だったとね」

 

…ああ、それでは【不老不死の秘術】も…。


「おそらく、あの時のメイド長の命を生贄にして、彼は【不老不死の秘術】も手に入れることに成功したのだろうと思う」


…あの王妃様殺害が、二つの事件を隠し闇に葬られていたなんて恐ろしいことです。

名誉を傷つけられ、罪を擦り付けられたメイド長も、子供の成長を見守ることも出来ず亡くなったダリア王妃様も…


「既に時間が経ちすぎて、私の母の死は闇に葬られてしまった。でも、もしもグレイソン公爵や夫人から、フェイの言っていた【人為的に植え付ける穢れ】の話が聞ければ、奴らの罪を暴くことが出来るかもしれない」


確かにそうです。もしも、母が穢れを植え付ける儀式について何か知っていれば、罪を暴き、メイド長の名誉を回復してあげることが出来るかもしれません。

そうすれば、ダリア王妃様も天国でうかばれることでしょう。

…そういえば、静かですが、フェイはどうしたのかしら…?

先ほどから一言も話さないフェイの姿キョロキョロと探します。


「プッ…白目を剥いて寝ているよ…」


セオドア様に指差され、馬車の床に落ちて眠っているフェイを見つけました。

いつの間にか私の頭から落ちて、それでも寝続けていたようです。


「フェイを見ていると平和でいいよね…」


どんなに周りが悩んでいても、フェイは自分の道を行くようですわね。

私は大きなため息をつきました。


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