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21 ダリア王妃殺害の真相

「アメリアも知っている通り、私の母であるダリア第1王妃は私が3歳になったある日、突然何者かに殺害された」


セオドア様の言葉に私は深く頷きます。たしか、お部屋で毒を入れたお茶を飲まされて殺害されていたと聞きました。

その後、犯人は王妃様付きのメイド長で王宮内の宝物庫から金品を盗んでいたところを王妃様に目撃されたために、口封じしようとお茶に毒を盛ったと聞きました。

メイド長のエプロンのポケットから証拠の毒入りの小瓶が出てきたことが犯人としての決め手になったとも。

そう伝えると、セオドア様は頷き「確かにそうなんだ、公にはそれで処理されてしまった。」と呟きました。

公には…つまり不審な点があったということでしょうか?


「あのメイド長は母が嫁ぐ際に自分で選び、国から連れてきた人物で、心底信用していたんだよ。私のことも本当に可愛がってくれた」


懐かしそうに話すセオドア様の瞳にはここではない何かが見えているようです。

恐らくは過去の懐かしいお母様の笑顔が脳裏に浮かんでいるのでしょう。


「そんな人物が母を殺害するというのもおかしな話だし、第一彼女には死後、見るべき資産も残されていなかったんだ」


それでは宝物庫から盗んでいたとされる、金品はどこへ消えたのでしょう…?


「確かにその当時、宝物庫から金品が消えていると国王に報告があったことは間違いない。さらにメイド長も『自分が王妃を毒殺した』と繰り返しうわごとのように呟いていたという証言もある」


…ご本人の証言があるなら、それは犯人とされてしまっても無理はありませんね。


「ただ、彼女には数多くの物証があっただけで、動機の点が不審だと私は思うんだよ。金品を横領していたとされているけれど、誰もメイド長を宝物庫の傍で見た者はいないし、ましてや彼女は非常に慎ましい生活をしていた。金の流れも見つかっていない」


 それは不思議ですね。では、メイド長が宝物庫で横領していたとされる理由は何なのでしょう?

 そう聞く私にセオドア様は「証言があったからだよ」と仰いました。


「ブラインズ公爵が『メイド長が宝物庫から金品を持ち出す姿を見た』と証言したんだ。その当時から発言力の強かったブラインズ公爵家がそう言えば、それは大きな証拠となる」


 それだけで、メイド長は犯人にされてしまったというのですか?…ひどい…


「それに、当時から今の宰相ライオス・アーロ・テイラーが併せて証言したのも大きかった。」


 …宰相様はライオス様と仰るのですね。すみません、今知りました。


「ライオス宰相がメイド長の取り調べを行い、彼女の犯行だと証言した。その直後から、彼女は今までの犯行否定から、自分が王妃を毒殺したと証言を変えているんだよ」


 そんなことがあるのでしょうか? 嘘の告白をすれば、自分は殺されてしまうというのに。それではまるで、人の心を自在に操ることが出来るようではありませんか。

 そこまで考えると、私は気が付きました。先ほどの私の状態…隠しておきたいことまで全て話してしまいそうになったあれは…?

 セオドア様を見つめると彼も同じことを考えていたようで、頷かれました。


「そう、先ほどアメリアが体感した、記憶を読まれているような、全てを話してしまいそうになったあの状態…あれがメイド長にも使われていた可能性がある」


「あれこそが【人心掌握の秘術】だった可能性がね」


 セオドア様の言葉に、私は恐ろしくなりました。犯行をやっていない人物に罪を着せて、自白をさせてしまう秘術があるとすれば、犯人は何度でもそれを繰り返すでしょう。

 それに、宝物庫から消えていた金品も真犯人が着服してメイド長に罪を擦り付けていたとすれば恐ろしいことです…。

 でも、【人心掌握の秘術】などという魔術が本当に存在するのでしょうか?

 私はセオドア様に問いかけました。


「実は、私もうろ覚えなのだけれど、母であるダリア妃から生前聞いたことがあるんだよ」


 それも私にとっては驚きでした。ダリア妃が亡くなられたのはセオドア様が3歳頃のことですね?

 …幼児の驚異的な記憶力…。


「母の国には、古代の魔術がまだ根強く残っていたのだそうだ。その中でも【人心掌握の秘術】と【不老不死の秘術】は人類の脅威として禁術となり、王家にのみ口伝で伝わっていたと言っていた」


 ダリア王妃様の国に伝わっていた魔術でしたのね…それはオールヴァンズ王国に文献があるわけありませんね。

 でも【不老不死の秘術】なんて、さらに凄い話が出てきましたわ。

 それがあれば、いつまでも若く美しいままで、時を止められるし良いこと尽くめではないですか? なぜ王家の方々はそれを禁術とされたのでしょうか?


 私の浅はかな疑問にセオドア様は悲しそうなお顔をされました。


「いつまでも年を取らず、死ぬことも出来ないのは素晴らしいことではないよ。辛い記憶を抱えて孤独に自分だけが生き続けるのが本当に幸せだと思うかい?愛する人は死んでいくのを止めることが出来ないというのに…。

 …それに、この秘術を使えるようになるためには生贄が必要だと母は言っていた。

人間の命を使ったときのみ発動できる秘術だと。」


 人間の命…では、もしもライオス宰相様がその秘術を使えるとすれば、最低でも一人の命を生贄に秘術を会得されたということでしょうか?


「そういうことになるね。そして、その生贄に使われたのが母だったということではないかと私は思うんだよ」


 そんな‼私は絶望のあまり目の前が真っ暗になる感覚に陥りました。


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