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13 王家大集合

 王宮に着くと待ち構えていたようにセオドア王子様が現れ、両親と挨拶を交わす。


「今日は一段と可愛いね。ピンクのドレスがすごく似合っているよ」


「ありがとうございます…」


 サラリと褒めてくださいますけれど、貴方の笑顔の方がずっと美しいですから!

 今日は盛装をされているようで、白を基調とした姿は髪と瞳の美しさを際立たせている。見慣れているはずの城のメイドまでセオドア王子様を見てウットリと頬を染めているじゃないですか!

 …大体女よりも美しいってどういうことなの? 私、完全に引き立て役ですよね?

 …まぁお飾りの婚約者ですし、悔しくなんかないですけれどね?


「さあ、両陛下がお待ちだ。参りましょうか婚約者殿?」


 …ウインクして、エスコートしてくれますけど、私よりも両親の方が嬉しそうなのは何故でしょうか? 私は粗相をしないように精いっぱいなのに皆さんゆとりがありますわね。


「緊張してドレスの裾踏んでコケるなよー」


 ヒソヒソと頭の上からフェイが小馬鹿にした調子で絡んでくるが、今は憎まれ口すらも気になりません。ああ、本当に私は大丈夫でしょうか…?


 玉座の前に進み、礼儀作法にのっとり正式なカーテシーをする。うん、上手くできたわ!今のところマナーに問題ないわよね?

 ドキドキしながらうつ向いていると「面をあげなさい」と声がした。

 玉座には国王様、セオドア王子様の義母にあたる第2王妃様と第2王子のリアム様が勢ぞろいしているのが見えた。


 国王様の後ろに控えているのは宰相様だろうか?あまり公の場に現れない方と伺っているので私も見るのは初めてだ。随分とお若いようにも見えるが…。

 しかも顔が上半分ほども隠れる仮面を付けているため、表情すら読み取ることが出来ない。何だかジロジロと全身を眺められているようで不快感すら感じる。知らない方のはずだけれど…?

 つい宰相様に気を取られていたが、隣のセオドア様に促され、慌てて国王陛下にご挨拶をする。

 危ない…ボーっとしている場合じゃないわ。

 その後は国王様の威厳に緊張しながらも何とか質疑応答を終えることが出来た。

 良かった…あとは退出するのみだと気が緩みかけたところで第2王妃様からチクリと嫌味を言われることとなった。


「アメリアさんってグレイソン公爵に似ず、とても儚げな方ね。ご両親の容姿を全くお持ちじゃないなんて。素朴な容姿で羨ましいわ… でも王妃というのは国の象徴なのだから、もっと王子の隣に並ぶのに相応しい装いをされた方が良いのではないかしら?

…まあ、地味な方があまり派手な装いをするのも服に着られてしまって難しいかしらね?オホホ…」


 羽扇で優雅に口元を隠しているが、ものすごい悪意を感じる。


「そうですね、お母様」そこにリアム王子まで同意するのが腹立たしい。


「オホホ…リアムには分かっているようね?さすがは私の最愛の王子だわ。まあ、王位継承するのに相応しい人物には、それに相応しいお相手が見つかるもの。今のセオドア王子はまだ子供ですし、見極めるのは難しいかもしれませんわね… オホホ」


「…はい。お言葉を頂きありがとうございました…」


 隣で抗議の声を上げそうなセオドア様の手をコッソリと握り、自分は大丈夫だと伝えます …少し驚いた表情をなさっていますが、私の気持ちは伝わったようです。

 こんな些細なことで言い返すほど幼くありませんし、気分を害している場合ではありませんから。

 勿論、ニッコリと笑顔で退出してやりました!

 儚げ…って地味ってことが言いたいんですよね? 素朴って田舎臭いってことですよね? ええ!自分でもわかっていますとも!


 確かに王妃様はスタイルも素晴らしく、華やかな方ですが、婚約の場で言うことでしょうか? 全く礼儀を欠いた行為だと思います。

 …まあ、ここで怒ったら相手の思うつぼですし、お父様お母様のお立場もありません。

 何よりセオドア様のことを貶めるようなあの言い方には非常にムカつきますがどうせお飾りの婚約者ですから、ここは堪えることにします。


「気分を害させてしまってごめんね? 義母は何というか… 自分の物差しでしか物事を測ることのできない人だから…」


 申し訳なさそうにセオドア様がこちらを見ますが、セオドア様のせいではありません。


「お気になさらないでください。私は実際、地味ですし、王妃様の仰ることも理解できますから」


「そんなことは無い!アメリアはとても綺麗じゃないか!自分のことをそんな風に貶めるのはやめてくれ!」


 セオドア様の予想外の強い反論に驚きます。

 私が気にしていると思って、心配して下さったのですね?やはりお優しい…。


「ありがとうございます、セオドア様」


微笑み返すと、セオドア様は真っ赤な顔をされ私を見つめました。その瞳は私を射貫くような熱を帯びていて、見つめられていると私は何故かドキドキしてきました。


「アメリア…君は本当に…」セオドア様が何か言いかけ、握った手に力が籠ります。美しいお顔がだんだん近づいてきて、その唇が頬に触れる直前、「オッホン!ゴホンゴホン」と父の咳払いが聞こえました。


 …そういえば両親が後ろにいたのでした。すっかり忘れていましたが。


「…王子さん、少し魔力に乱れがあったぜ?こんな色気のないお嬢ちゃん相手でも興奮しちゃったか?」


 …そういえばフェイもいました。頭の上に乗っていたのですっかり忘れていましたが。

 私たちはそのまま、王宮を辞去することにしました。


 セオドア様が帰り間際に

「お披露目の舞踏会には私がドレスを贈るから、それを着て欲しい」と言われました。


 お披露目の時には、正式な婚約者としてセオドア様をイメージした赤いドレスを着用しなければいけません。

 どんなデザインが良いのか迷っていましたが、『絶対にアメリアに似合うドレスを贈るからね』と言われ、母が二つ返事で了承してしまいました。

 お礼を言い、馬車に乗り込むと私は一日の疲れが出たようでぐったりと座り込んでしまいます。やはり緊張していたのかしら?

 そんな私を尻目に私に父も母も大はしゃぎでした。中でも一番はしゃいでいたのが

「帰ったら晩飯~!今日のデザートはなんだろうな~」と歌うフェイだったことは言うまでもありません。

 …言いたいことはありますが、疲れました。

 今日は、ゆっくり休みたいと思います。


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