41.車の現地調達は可能
今回の豆知識
『戦艦三笠は秋月型駆逐艦よりも3m地味に小さい』
~翌日~
想像より何日も早く技術者が見つかったため今日、ツイを連れて帰る事にした。…のだが、ヨークが急に『車を作ります』って言い出したせいで絶賛遅れてる
「ヨークまだ?」
「まだです」
そういや燃料どうすんのだろ?
「燃料どうすん?」
「バッグに小型タンクがあるので間に合うと思います」
マジかよコ…待ってバッグでかくね?小型タンクって言っても全長50cmはあるぞ?見てる限りだと30cmくらいのバッグだったし。どうやって入れてんだよ
「凄い!師匠はご主人の元でこれ程素晴らしい物を作っていたのか!」
コイツはオーバー過ぎる
「『ご主人』は紛らわしいから別のにしろ」
「ではヒューラーでどうですか?」
「いいんじゃな…待ってそれドイツ語で『総統』って意味だぞ。なおさらやめろ」
「いいじゃないですか。ヒューラー」
「え?それで決まり?」
「ええ」
超嫌なんだけど…
「ご主人!出来ました!」
早!作りはじめてからまだ40分しか経ってないぞ。ちなみにパーツを用意したのは俺。ヨークは金属を加工出来ないしツイもだし
「乗って下さい。帰りますよ」
「やっぱり師匠は世界2!ですね」
「1は?」
「決まってるじゃないですか!ヒューラーですよ」
えぇ…。ないわ…
毎度お馴染みのこうして、技術者探しの幕は閉じたのであった。まぁ色々あった(例えばツイの予想を斜めにいく態度とか)けど楽しかったしいいよね。つかガチで楽しかった。野宿とか昔に戻った気分だったよ。昔は年下の初恋の相手とキャンプへ行っていっぱい遊んで…。結局、母親の死やその後の対応で告白出来なかったけど今頃は俺よりも素敵な男性と付き合ってるんだろうな。羨ましいこと。それなりに可愛いかったしクラスではそれが原因でケンカも起きたほどらしいし。今となっては俺が告白するのは相手に悪いと思うし
「そうなんですか」
「ふぇ!?」
「全部声に出てますよ」
マジで!?
「あとツイさんが寝てしまったので静かに。ご主人はその初恋の相手のどこがよかったんですか?」
恋バナ開始のコングが鳴った気がする
「俺は昔から弱くて幼稚園と小学校では『陰キャ』ってだけで虐められてて。けど彼女がずっと庇ってくれて。年下って言っても生まれた年は一緒でただ単に俺の方が早く生まれたから俺は年下って言ってるだけで実際は同学年だったんだけど。彼女にいつも『男の子でしょ?少しはやり返したらどうなの?』って言われて。けど母親を刺してからは彼女の親が俺に会わせないために引っ越して。んで会えなくなって虐めは『陰キャ』が消えて代わりに『殺人者』って言われて虐められて。先生も対応してくれない。そんな小学校生活を送ったよ。彼女がいないから毎日、寂しい時間が流れた。いつもなら登校前に家に来て待ってくれて放課後も遊びに来てくれた。けどあの日からはもう全部がなくなったんだ」
「いい人ですね。恋に落ちるのも当然だと思います。けど話を聞く限りその子もご主人の事を好きだったんではないでしょうか?」
「いや、こんなクズを好きになる人なんていないだろ。ヨークの方こそさぞかしモテたんでしょ?」
「えぇ。しかし僕はご主人の言っていた『シスコン』とやらなのでラシアの事しか考えませんでしたね。そもそもラシア以外とは会いも喋りもしなかったですし」
へぇー。意外。コイツなら色んな女を股に掛けてそうだけど
「ちなみに中学校の時は入学早々、事件を起こしたため『虐められっ子』と言うよりは『虐めっ子』だったよ」
「凄いところで幸運ですね。羨ましい限りです」
「そうか?」
「ええ」
「「フフ」」
ヨークっていいやつだな。前世にもいたらよかったのに…
「そしたら仲良くな…って……遊………ん……で……………スゥ」
「寝ましたね。お疲れ様です。ご主人…いえ、今日助君」
[次回]42.ヨークの過去
はい。どんどん紛らわしくなってきましたよ。ちなみにこの作品の設定のほとんどは僕の過去を引き継いでます。親は殺してませんよ?虐めの詳細と学校の対応は本当です。そのせいで小さい頃から『学校=腐った人の集まり』と言う認識でした。まぁ…そのお陰で今の友人達がいるんですけどね(笑)てな訳で虐められていたら先生ではなく教育委員会へ通報しましょう。ダメだったら警察。そろそろこの小説も最終回が近いですよ。前の宣言は嘘に近いです




