74.剣より素手派
「よーし皆席に着け」
全員席に着いてるのに席に着けと言う。先生あるあるだね。一々ムカつくんだよなぁ~~
「今日の日程を言うぞ。やる教科順に体育、数学、歴史、魔法学で学食の後に昼休みからの体育、数学だ。以上、体育の準備をするように」
先生の日程確認が終わったら移動。正直に言おう。ダル……。言っちゃダメですか。知らんな
「今日す……ラートさん。行きませんか?」
俺の事を今日助といい掛けるのはカイアしかいないので振り返らずに教科書を取りに行く。ちなみに教科書等は全て学校に放置
「おう。教科書取りに行ってくる」
「あ。ゆっくりでいいですよ」
入学してからはずっとこんな感じ。マジで新妻感がヤバイ。嫁に貰っていいですか?っと考えてる内に全て揃ったので振り返ってカイアにGOサインを出す
「んじゃ行……どちら様?」
そこには女子……っと言うよりかは取り巻き……っと言うよりかは友達?が複数名いた。死にたい奴から前に出ろ
「あ。こちら……」
「あ~~……いい。覚える気、ないから」
正直女子の名前を覚えても使う機会がない気がする。前世でも一回はあっても二回は無かったし。一方女子達は知ってたかのような表情だ。何でや!と思ってると右にいた短い栗色の髪をしたパッと見、陸上部の女子が話始める
「知ってるよ。カイア様が言ってたもの」
様?え?様?いつからこの学校はカースト制度が出来た?俺また底辺になるよ?
「様付けはやめて下さいって!」
「いいじゃないカイア様!」
通称ね理解した。取り合えず俺一人で体育館的な所へ行くか。女子って会話がうるさいし。つかあの声のボリュームって静かにできないの?キレるよ?
「んじゃ。失礼するよ」
「あ………うん」
なぜかカイアが名残惜しそうにしてたがまぁいい。向かうとするか
「これより剣術の授業を始める」
剣術かよ……。苦手なんだよ剣術は。基本的に俺の主兵装って銃だし?剣術やるにしても二刀流だし?一応、説明しとくと二刀流と言っても長剣を二本持つやつじゃなくて脇差しもしくは短刀と打ち刀もしくは太刀を使うやつね。俺の場合は軍刀だけど。ちなみに流派によっては脇差しもしくは短刀と脇差しもしくは短刀とか脇差しもしくは短刀を逆手に持って打ち刀もしくは太刀とかもあるらしい
「……ではこれから二人一組に分け、決着が着くまで戦ってもらう」
聞いてないよ!聞き流してたけど……
「戦闘についてだが短剣のみでもいいし、剣でもいい。模擬剣であれば好きにして構わない」
勝てる!勝てるぞ!遠距離武器も使いたい……。と言う訳で男子と同じチームになりました。お互い自己紹介から始めるけど聞き流してたせいで誰だか分からん。今回の装備は二刀流&懐に短剣一本だ。いざと言う時に使いたい
。始まりの合図はもう出たので始まっている。今は睨めっこしてるので俺から動こうかな。まずは長剣で直接攻撃。この攻撃ではお互いに膠着し合うのが目的。案の定、受けられて十字で重なっている。ここで短剣を使う。左手に握られている短剣で相手の胸元を切りつける。首でもいいんだけど何かの弾みで殺しかねないので胸元にした
「イタ!」
悲鳴と共に相手の体勢が崩れた。模擬剣とは言え痛いものは痛い。後は長剣を相手の頭の天辺付近まで持ち上げて相手の降伏を待つ。ここまでの時間は僅か十四秒。意外と弱かった。全員が終わるまで休憩でもするか。ヨークは大丈夫かな?珍兵器を開発してないといいんだけど……。あぁ!将棋がしたい!戦地で戦いたい!腕が鈍るぞオラ!
「全員集合!」
終わった様だな
「今回、男子で一番上手かったのはラート!女子で一番上手かったのはアレスだ!」
あ。一番上手かったのね。よかった。剣術はどうも苦手だよ。そう言えばスキルに剣術があったけど全然使ってねぇ。今度、ギルドで更新しなければ……
「よって!この二人で次の授業の道具の準備と片付けをどちらがするかを決めて貰う!勿論、負けた方が準備及び片付けだ!」
は?いや、先生?ハラスメントって知ってます?全員平等だから大丈夫とか思ってないよね?
「ラート!絶対勝てよ!」
「そうだ!」
「負けたら許さないかんな!」
どんだけ準備と片付けをしたくないんだよ……。しゃーない。殺りますか。大人しく前へ出る。アレスと思わしき女子も出てくる。今更なんだけど大学生って女子なの?
「頑張れ!」
「負けないで!」
「大丈夫だ!」
もはや誰を応援してるのかよくわからない状態で開始する。まずは先程と同じく十字で膠着させようとする。…が相手が先に動いた。狙われている箇所は足。回避方法は色々あるがヨークに教わったやつをやろう。タイミングがかなりシビアだけど成功すると大ダメージを与えられるヨーク秘伝の技。そろそろいいかな?
「よい……しょ!」
軽い掛け声と共に足を上げる。何をするかと言うと剣を『踏む』のだ。そうすれば戦闘不能にはならなくとも武器を奪える。そして、この防御は失敗する事なくしっかりと長剣を踏んづけ床に固定した
「……な!チッ!」
舌打ちをした後、アレスは立て掛けてある長剣を取り、また再突撃。ありかよ!あれ!今度は長剣を横にし、腹に刺そうとする。下手したら死ぬぞこれ!止めろよ先生!ストップが掛からないならもういい!こうなったらヨークに教えてもらった技をやってやる。構えてる武器を全て下ろし、腹に刺さろうとする長剣を左に四分の一回転しながら持っていた長剣をアレスの首まで上げる。実戦であればとっくのとうに首はない。最後に抵抗されないように左手に持つ短剣を肩と首の真ん中にいつでも刺せる様にする。この状態では動いたら長剣で首チョンパだし、回避出来ても短剣で追撃される。つまり『詰み』だ。ただし、異世界でしか出来ないけど
「降伏しろ」
「ヒッ!こ、降伏!降伏!」
そんなに怖いかこれ。ちなみに男子側では大歓声が出てたがうるさかったため、そのまま教室へと戻った
※実際に友人と検証し出来た技を書いております。ちなみにヨークさんに教えてもらった異世界でしか出来なさそうな技は一発で意外と簡単に成功しています。あと絶対にマネしないで下さい




