63.カーミーサーマー
「ただいま戻りました」
「おう。お帰………何それ」
ヨークの手には六挺の銃口の根元付近が丸っこい銃があった。見た目からして『M4』かな。…と推測してるが実はそれには問題ではない
「兵士から強だ…貰った銃火器です」
「うん。それは見れば分かる。問題なのはヨークの腰にセットされている細長い長方形の箱だよ。それC4だろ」
「知りませんけど爆発するみたいですね。説明書に一通り目を通しました」
もういいや。C4とか絶対アウトだと思うけど戦力にはなるので無いよりはマシ
「にしてもイムいないなぁ~。あと今何時?」
「そりゃそうですよ。森の中で隠れてる時点で見付かりはしませんよ。それよりイムさんは日本人ではないのですか?日本で探した方が早いですよね?あと今は11:00です」
「はい。忘れてました。粗方片付いたら日本へ向かいたいと思っております。あとありがとうございます」
完全に忘れてた。そういやイムって日本人だったね
「まぁ。今日は寝ようぜ」
勿論、布団なんて言う贅沢品はないので草で作った布団で寝る
「そうですね。ではお休み」
「お休み」
「起き…く……い」
う…………ん…………女性の…声?呼ばれてる?
「あ。やっと起きましたか」
「どちらふぁ~~~」
「話してる最中に欠伸は失礼ですよ。私は『エンドロ・カイア』と申します。気軽にカイアとお呼び下さい」
「OK。ところで何の用?ヨークを起こさずに俺の側まで来るとか一般人じゃないな」
ヨークの勘は異常でね。前にヨークの部屋へ侵入しようとドアを開けたら目の前にいたよ。ちなみにその後は説教を食らった
「はい。私は死と絶望の神だった者です」
「だった?何かしたん?」
「いえ何も。では折角ですので私がどうして死と絶望の神の座を下ろされたのかを説明しましょう。あれは二十一年前の事。私はある男性に恋をしました。名を『アリスタリシア』と言います。私は彼の事を『アリア』と読んでいました。彼は気に入ってはくれませんでしたが何回か呼ぶうちに認めてくれました」
それただ単に諦めただけだよね
「しかし、私は死と絶望の神。生物を殺す事で生きていける神なのですから当然、彼とは離れなくてはなりません。なんせ私の半径二m以内の生物は一回でも入ると寿命が段々と減っていきますから。ですが私は恋をした事により自分の使命を忘れて彼と暮らしていたのです。その結果、彼は三年後に死亡してしまいます。人間界での死因は病死。具体的には心臓嵒です。が、実際には呪い殺されています。私の周りにいたから。私は酷く悲しみました。涙が底は尽きぬと言わんばかりに涙が出てきました。そして私は禁忌を犯しました。神殺しの呪いです。具体的には言えませんが、この呪いを使用した事により法に触れ、裁判の対象になりました。幸い裁判の判決は降格刑となりました。って感じです」
うん。長い。途中、何回か欠伸をしたよ
「では暇も潰せた事ですし、さようなら」
何なんだよ…




