打ち上げ。
「いやー、なかなか面白かったな。いい線いってたぜ。」
呆然とする俺達にSランクが声をかけてきた。
「盾の少年。メイン武器を投げるのは良かったけど、その後の攻撃方法がないだろ?
もっと色々な技を磨くといいぜ。
ゲームを模しているけど、ここはARで現実だ。
職業に縛られなくても、威力は落ちるけど出来るんだぜ。」
Sランクは爽やかに笑いながら、俺に手をさしのべてきた。
「他のメンツも職業に縛られすぎだな。
長剣とは言わなくても、近づかれたときのために短剣や無手の技は使えた方がいいぞ。」
俺を立たせ、体についた埃を落としながらアドバイスをしてくれる。
「戦術の組み立てはなかなか良かったな。並みの相手くらいなら勝てるだろうな。」
「それって、認めたってことですか?」
俺が問いかけると…。
「ん?そうだな、まだまだ荒い面も多いが、将来性は十分だな。認めるよ。」
「やった!」
「ただ、俺を越える化け物はまだまだ居るからな。
SSSなんて、ありゃチートクラスだぜ。
お互いに精進しような!」
「決着がつきました!アイランドに新たな新星が誕生しました!
皆様惜しみ無い拍手を!」
周囲から歓声と拍手が沸き起こり健闘を讃えられている中、ポーンという音と共にトレード画面が表示された。
「ほれ、こいつもやるよ。俺は使わないものだからな。」
トレード画面に表示された物をを見て、俺は驚きの声を上げた。
「なっ!?いいんですか!?こんなの貰っちゃって!」
「構わん構わん、その代わりココまで来いよ。
あと、ギルドで既望がなかったらウチで待ってるぜ。」
ニヤリと笑ってSランクは次の対戦へと向かっていった。
「悔しいー!全然歯が立たなかった!」
ステージを降りて皆の所へ向かうと、桜夜が荒れていた。
そんな桜夜を美月が慰めている。
「仕方ないよ、私達はまだDだもん。これからだよ。」
「うー…次回があったら、コッチが泣かせてやるんだから!」
そんな意気込みを見せる皆に近づくと雅人が俺に気づいた。
「あぁ、来たか。なにか話していたようだけど、何してたんだ?」
「アイテム貰ったのと、ギルドへの勧誘を受けてた。」
「へぇ、そこに入るのか?」
「いや、まだまだ見て回りたいし…足手まといにしかならないからな。
入るかどうかは、先々で決めるよ。」
「そうか、じゃあいつものところに行くか。」
「おう!」
広場から徒歩数分、そこにいつも打ち上げを開いている酒場がある。
「親父!エールだ!」
「今日も来たのかガキども。だから、子供に飲ませるエールは無いって言ってるだろうが。」
「くそう、早く大人にになりてぇなぁ…。
じゃあイツモノで!」
親父が手早くドリンクを作りながら、俺達に問いかけてくる。
「んで?Sランクに一泡吹かせたんだって?
なかなかやるじゃないか。」
「流石に耳が早いな、でも一瞬で負けたから遊ばれただけだよ。」
「いやいや、一瞬とはいえ本気を出させたんだ。
中々やるじゃないか。」
「そうかなぁ…。」
出来上がったドリンクを受け取り、空いているテーブルに腰掛け、皆で乾杯をする。
一口飲んだ瞬間、桜夜が愚痴り出した。
「もー、あんなの反則だよ!何をされたかもわからないウチに全員が攻撃を食らってHP0にされたんだよ?
耐えられた後まで考えていたのに、何もできなかったじゃん!」
「凄かったよなぁ、何のスキル使ったのかもわからないうちに俺なんて切り刻まれてたからな。」
さっき切られた箇所を俺は手で擦りながら、愚痴に付き合う。
「確か…あの人が一回転した瞬間にスキルが発動して切られていたな。
3回攻撃のスキルだったと思うぞ。」
俺から離れていた雅人からは、何をしたのか見えていたようだ。
「そっちは範囲攻撃じゃないかな?角度が決まっているのか、全周囲かはわからないけど…。」
そうして皆で話していると、桜夜が机に突っ伏した。
「うー、凌馬じゃないけどネットでもっと勉強しないとダメだ…。
指示出しをするのは、私か美月が立ち位置的にしないといけないのに…。」
「相変わらず、ジュースで酔っぱらうなよな。」
「雰囲気に飲まれてるんじゃないかな?」
周囲は中世の酒場を模して作られている。
ちなみに桜夜が飲んでいるのはジンジャーエールだ。
「そういや、アイテム貰ったって言ってたな。何を貰ったんだ?」
グビリとコーラを飲みながら雅人が問いかけてきた。
「いや、雰囲気的に受けとるべきと思ったけど…、本当に使っていいのかわからないんだよね…。
後から勧誘されたり、何か言われるかもだし…。」
そう言いながら、アイテムボックスから目当てのものを探し出す。
「コイツなんだけど…。」
「ングッ!ゲホゲホッ!こ…こんなのポンとくれたのか?」
俺は一冊の書物を机に置いた。
その表紙には『桜華流剣術指南書』と書かれていた。
「あの人の性格から、本当にくれただけだと思うんだけどね…。」
竹を割ったような性格と言うんだろうか?
「それは俺も思ったけどな…、どうしたもんか…。」
目の前に置かれた一冊の指南書。
使うにしろ使わないにしろ、俺にはとても重い代物だった。
ここで凌馬君のお話は一旦切ります。
切った理由?
特にございません。
プロットだの設定を考えたのとか無いもん!
いつか、続きを書くかもしれないし、第三者として出るかもしれないし…
通りすがりの一人として出ることもあるかも?
ほんと、こんな感じでいいのかね?この作家は…。
あ、作家じゃなかったわ。