始めての侵入者
さてさて、それじゃあ侵入者のステータスを見てみよう。
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種族:人間
名前:アコアン
性別:男性
Lv:12
HP:103
MP:61
STR:27
GRD:26
AGI:21
GEX:22
INT:23
MPR:24
スキル
炎魔法
下位鑑定
称号
見習い冒険者
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種族:人間
名前:ファリナ
性別:女性
Lv:11
HP:82
MP:71
STR:19
GRD:20
AGI:22
DEX:21
INT:28
MPR:27
スキル
水魔法
雷魔法
下位鑑定
称号
見習い冒険者
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種族:猫人
名前:カーラ
Lv:9
HP:52
MP:22
STR:16
GRD:14
AGI:31
DEX:25
INT:17
MPR:15
スキル
空間把握
土魔法
鑑定
称号
見習い冒険者
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猫人
人間よりも平均的なステータスは低いが、AGIとDEXは高く、聴力も人間より優れている種族。
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見習い冒険者
ランク、G、Fの冒険者のことを指す。
このランクでいる間は冒険者でも見習い扱いされる。
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三人のステータスを見る限り一階層を突破できるかどうか、といったところだろう。
後、人間以外の知的生命体がいましたよ。猫人というらしい。
猫人にはちゃんと猫耳もついていて、ステータスを見るとAGIとDEXが高いな。
ちなみに冒険者三人の見た目は皮の防具で武器も粗悪な鉄製ということからこのダンジョンでやるにはきつそうだ。
「あれ?ここって荒れ果てた洞窟じゃなかったっけ?何か真新しい石造りになってるんだけど」
「本当だ、やっぱりここダンジョンになってる」
「報告通りだったね。それじゃあダンジョンの調査を始めましょう」
「ああ、正直出来たばかりのこんなひよっこダンジョン、このアコアン様にかかればどうってことないぜ」
俺達はその会話を聞いて少しいらっとする。
流石にレベル12の見習いに雑魚よばわりされたらいらつかないわけない。
「ちょっと苦しめようか」
「そうね、痛い目見てもらった方がいいでしょ」
玲奈も乗り気だ。
正直こいつらにはトラウマを植え付ける気で挑ませてもらうか。
こうして奥に進んできた見習い冒険者一同。
入ってから三分後くらいだろうか、ついに俺達が放ったモンスターと遭遇する。
「みんな戦闘態勢!敵だよ!」
「へぇ、どんな奴らかな。まぁ俺にかかりゃあ楽勝だけどな」
大口を叩くアコアン。
果たしてその余裕がいつまで続くかな。
「数は、六!全員がゴブリンだと思う」
「なっ、ゴブリンかよ。ちょっと面倒くさいな」
「まあ私の魔法で援護してあげるから」
そう話していると冒険者達の前方の曲がり角からゴブリンが飛び出してくる。
数はカーラの言った通り六。
だがカーラがそのゴブリンを鑑定すると、カーラが狼狽える。
ちなみにカーラが見たゴブリンのステータスがこれだ。
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種族:ゴブリン・ソルジャー
性別:男性
Lv:10
HP:200
MP:20
STR:30
GRD:30
AGI:30
DEX:10
INT:10
MPR:10
スキル
戦闘術小
称号
ダンジョンの魔物
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ちなみにスキル戦闘術小は、体術小、見切り小、不屈の精神小、気迫小、の統合スキルだ。
まあ、ほぼ自分と互角な魔物が六体も来たら驚くよね。
ちなみに俺のダンジョンの一から五階層の魔物は全員三体以上で動くように命令している。
「なっ!みんな逃げよう!正直やばい」
「どうしたんだ?たかがゴブリンなんだろう?」
「それが……」
そう話しているうちにゴブリンがもうすぐ側に来ている。
ファリナは狼狽えているカーラに向かって言葉をかける。
「来たわよ!アコアン、前衛頼むわよ!」
「任せろ!」
アコアンは迷いなくゴブリンに突っ込んでいく。
なぜならアコアンとファリナの下位鑑定では種族、名前、性別、称号しか見ることが出来ないのだ。
だからカーラの怯えの原因が何なのか、アコアン達は分からない。
まずアコアンは手に持っている剣で、ゴブリンに斬りかかる。
だがそんな大振りもいいとこの剣、戦闘術小を持っているゴブリン達が見きれないわけがない。
結果、アコアンの大振りはしゃがんで避けられ、カウンターのアッパーを顎にくらう。そしてそのまま……気絶した。
「はぁ!?嘘だろ!?」
俺は思わず叫んでしまった。
おいおい、いくら見習いだからってこんなものなのかよ。
「……あんな奴に俺の作ったダンジョン馬鹿にされたのかよ」
「大口叩くわりに全然大したことないじゃない」
俺達は二人とも呆れる。
正直こんな奴らじゃダンジョンのテストにすらなりゃしない。
「アコアン!」
「くそっ!くらえ、《サンダー》!」
ファリナは雷魔法をゴブリンに放つ。
サンダーは雷魔法の中でも最も基本的な魔法といわれている。
くらったゴブリンは膝をつくも、これだけでやられるほどやわではない。HPは30ほど減っていたが。
ファリナとカーラはアコアンを助けに行こうとするが、その行く手にゴブリンが立ちふさがる。
ちなみにアコアンのHPは半分ほど減っているが、死んではいない。気絶しているだけだ。
「アコアンを助けないと!」
「でもどうやって!」
二人はパニックになっている。
正直このままアコアンを見捨てないと全滅してしまうのだが、二人にはその選択肢はないようだ。
勝負は決まったな、と思った俺はテレビの電源を落とした。
「なんかテストにすらならなかったなぁ」
「まぁ見習いなんだからしょうがないんじゃないの?」
「そうだな。それじゃあ俺は温泉に行くぜ。ああ、楽しみだぁ」
「そんなに温泉楽しみなの?」
「ああ、一度しか入ったことないけど、あれは最高だったなぁ。まさか毎日温泉に入れるようになるとは夢にも思わなかった」
「……そんなに好きなの。それじゃあ先は譲ってあげるわ」
「おおサンキュ。じゃあな」
そう言って俺は家から出て温泉に向かった。