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王国からの説明とステータス

 4月18日 記述の変更と追加。

「ようこそロービン王国へ、勇者様方」


 エフィドスのいる白い空間から去った俺を待ち受けていたのは、エフィドスの言った通り、俺達を召還したこの国の魔導士たちだった。


 話しかけてきたのは、魔導士の中でも一際豪華な服をきた金髪碧眼の美少女。その容姿は、この学校の二大女神と比べても、勝るとも劣らない。


「なっ! ここはどこだ! 何でさっきまで教室にいたのに、俺たちはこんなとこにいるんだよ!?」


 そう叫んだのはこのクラスの不良的存在、後藤郷司ごとうごうじである。

 そして後藤以外のクラスメイトも、やはり何が何だか分からないといった困惑の表情を浮かべていた。


 まあ例外というのはいるもので、片桐や茂信、他にも容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能といったチートスペックを持つこのクラスのリーダー、工藤幸田くどうこうた。そんな工藤と仲がいい茶髪の美少女、白浜芽衣しらはまめい。他にはいつもクラスでライトノベルを読みふけっているオタクの小野寺信二おのでらしんじなどが、そこまで動じていないように見えた。ちなみに小野寺は「ふふふ」と少し笑っている。


 だが、そいつらも大袈裟に動じていないだけで、少なからず平時の表情と違いが見える。全員の反応を見るに、エフィドスが言った通り、干渉をされたのは俺だけみたいだな。


「落ち着いて、後藤君。きっとこの人が説明してくれるよ」


 そう後藤に声をかけたのは、二大女神の片割れ、白浜芽依。

 おっとりとした仕草と優しく温厚な性格を持ち合わせ、おまけに成績も良く美少女というハイスペックの持ち主。片桐が影で支えたくなるタイプなら、白浜は保護欲を掻き立てられ守ってあげたくなるタイプ、といったところだろうか。


「お、おう。白浜がそういうなら」


 あの後藤ですら、白浜の前ではおとなしくなる。もし声を掛けたのが工藤とかならば、喧嘩になっていたかもしれないから、ナイスプレーだ。


「とりあえず説明を聞こう。色々考えるのはそれからでいいと思う」


 工藤がそう言ってみんなが頷いた。

 俺はおおよその事情は知っているが、ここで俺だけ首を振っては怪しまれるだろうし、他のクラスメイトは知らないのだから俺は空気をよんで頷き話を聞いた。


「改めまして、ようこそ勇者様方。私はロービン王国第一王女、マリア・ロービンといいます」


 マリアと名乗った王女様は、頭を下げてから挨拶を始めた。


「あの、ここはどこなんですか? ロービン王国なんて聞いたことありませんが」


 工藤がマリア王女に手をあげて質問する。


「知らなくとも無理はありません。ここはあなた方がいる世界とはまた違う世界なのですから」


 エフィドスの言う通りだな。まあ普通こんなこと言われたら「何言ってんのこの人?」とか言われそうなことだが。


「い、異世界ってことですか? ここは」


「はい、私達が召喚魔法にてあなた方をお呼びしました」


「そうですか……どうして、僕達を召喚したんですか?」


「順を追って説明しますね」


 マリア王女はそう言ってから説明を始める。


 内容は簡単にまとめると。


 曰く、勇者様、つまり俺達は、神の助力の元行われた召喚術で、この世界に呼ばれたとのこと。

 曰く、勇者様には、この世界で人々を苦しめている魔の者を討伐してほしいとのこと。

 曰く、勇者様は召喚された時、神の加護を受けており、特別な力があるとのこと。

 曰く、この召喚は神の助力の元行われたため、送還することも出来ないとのこと。

 曰く、勇者様がここにいる間は衣食住を保証し、訓練もさせるとのこと。


 まあ送還出来ない辺りでまた一悶着あったが、そこは工藤や白浜のファインプレーで皆落ち着いた。


「私達人類は、このままでは魔の者達に滅ぼされてしまいます。どうか私達をお救いください!」


 マリア王女はそう言って深々と頭を下げる。

 それを見た工藤は……。


「……僕は、手伝いたいと思います。この世界の人達が苦しんでいるのは事実なんだ。それを知って、放って置くなんて僕にはできない。……みんなはどうするんだ?」


 工藤がそう言ったことで周りのクラスメイトも「そうだな……」や「工藤君がそう言うなら……」とか受ける方向へ話が進んでいた。


 そこで茂信が、マリア王女に一つの質問をする。


「あの、俺達には本当に力があるんですか? それを確認する方法は?」


「はい、みなさん頭の中で『ステータス』と念じてください」


 そう言われてクラスメイト全員が念じる。

 するとステータスが書かれていると思われるボードが目の前に、というより目のすぐ側に張り付いたように見える。


 これもエフィドスのところで説明された通りだな。

 ちなみに他者のステータスは、鑑定のスキルを使わないと、自分には見えない。


 =========


 種族:神の眷属(人間)

 名前:ライ・カザマ(ライ・カザマ)

 性別:両性(男性)

 Lv:?(1)

 HP:99999(400)

 MP:99999(400)

 STR:9999(100)

 GRD:9999(90)

 AGI:9999(150)

 DEX:9999(120)

 INT:9999(105)

 MPR:9999(90)


 スキル


 神の眷属

 上位神の加護超極小

 ダンジョンマスター

(鑑定)

(幻惑)

(言語理解)


 称号


 上位神の加護超極小を受けし者

 エフィドスの眷属

 暗殺者

 ダンジョンマスター

 異界より召喚されし者

(異界より召喚されし者)


 =========


 これが俺のステータスだ。

 ステータスは、見かけ上は99999と9999が上限だが、それは表示だけで、実際のステータスはもっと高い。成長が止まっているわけではなく、表示できず見えないだけだ。


 ちなみに()内の数値は俺のスキル偽装された数値だ。


 俺の偽装スキルよりレベルが低い鑑定スキルなら、偽装された数値や文字しか見えない。


 まあ俺のステータスに偽装スキルは示されてないが、基本的に俺は、神の眷属と上位神の加護超極小でほとんどのスキルを手に入れている状態だ。

 もし神の眷属や上位神の加護超極小などで省略されていなかったら、俺のステータスには百を優に超えるスキルが示されていただろう。


 ちなみに神の眷属となった影響で性別が両性になっているが今はあまり関係ない。


 王国は俺達勇者の力を早く把握したいのだろう。


 今も王国の鑑定スキル持ちの人間が、俺達のステータスを片っ端から鑑定していっている。

 ちなみに俺も同じことが出来るので、工藤君のステータスを見てみた。


 =========


 種族:人間

 名前:コウタ・クドウ

 性別:男性

 Lv:1

 HP:1000

 MP:500

 STR:150

 GRD:150

 AGI:150

 GEX:150

 INT:150

 MPR:150


 スキル


 勇者

 鑑定

 言語理解


 称号


 勇者

 異界より召喚されし者


 =========


 わお、凄いね勇者様。

 ちなみに俺の()内の数値はエフィドスと会っていなかった場合の俺のステータスだ。称号、暗殺者と、表示されてはいないがスキルの、暗殺術、戦闘術、短刀術、は偽装してあるが。


 それを見ればいかにこいつがチートなのかが良く分かる。

 ちなみに、スキル、勇者も、神の眷属や上位神の加護超極小と同様で一つのスキルにいくつものスキルの効果が入っているスキルだ。

 確かスキル、勇者の内容は、光魔法、聖剣技、自動回復、カリスマ、聖剣召喚、限界突破、成長補正小、だ。


 後勇者は全員、言語理解と鑑定はデフォルトで持っていた。


 おお、工藤を鑑定した王国の人間も目を丸くしてるよ。


「自分のステータスを確認できましたか?本来ならばレベル1ではHP50程度、MPは20程度ですね。後スキルは特殊な技能を示しています。ステータスの内容は後で兵士に報告してください」


 マリア王女がそう言うとクラスメイトが色めきたつ。

 まあ年頃の高校生がチート能力を手に入れたらはしゃぎもするよな。


 後、ステータスを報告制にしたのは、反乱分子を今の内に見分けるためだろう。

 王国側はステータスの内容を既に、鑑定で知っているのだから。


 そう思っていると、茂信が声をかけてくる。


「雷、お前はこの話、どう思う?」


 この話、とは恐らく、魔の者がどうちゃらこうちゃらという話だろう。

 俺はエフィドスから大まかな世界情勢は聞いているので大体は分かるが、今それを言っても何で知っているんだとなるし、それに王女の話は全部が全部嘘ではない。まあ全部が全部本当でもないが。


 だから俺は無難に返す。


「今のところじゃ判断はつけられないかな。まあ勇者が強い力を持っているってのは本当らしいけど」


「何でそう思うんだ?」


「鑑定から分かる考察だよ。普通の一般兵だとレベルがそこそこ空いてるのに俺達とそうステータス変わらないだろ。それにレアそうなスキルも俺達は持っている。だからだよ」


 ちなみに俺のレアスキルなるものは幻惑だろう。

 まあ、神の眷属や上位神の加護超極小で幻惑は使えるので省略されているが。


「なるほどなぁ」


 俺達がそういう話をしているとマリア王女が再び話始める。


「これが勇者様達のお力です。それに勇者様達はまだレベル1。これからもっと強くなります。そのお力で私達を救ってほしいのです。どうかお願いします!」


 再び勇者に頭を下げるマリア王女。


 さっきの工藤の演説に加えステータスのこともあってのことか、受けようという雰囲気になっている。


「皆……僕達には力がある。そして苦しんでいる人たちがいるんだ。困惑するのは分かる。でもこの人たちだって必死なんだ。……僕は戦う。でも僕だけじゃ限界があると思うんだ。どうか皆も僕と一緒に戦ってくれないか?」


 再び工藤が皆に向けて演説をした。

 それを聞いたクラスメイトはスキル、カリスマの影響もあってか、工藤に従おうとしている。

 あの後藤ですら「どうせ帰れねぇんなら、やってやるか」とやる気だ。


「そ、それでは勇者様方は私達に協力してくれるんですか!?」


「もちろんで「ちょっと待とうか」」


 だが俺は工藤の返事に割り込み声をかけた。


「……何だい、風間君」


 工藤は声に不満の色を滲ませ、俺に非難の目を向けるが、知ったことではない。元々こう言われることは分かっていたので、俺は予定通りに動く。


「確かに王女様の言う通り、俺たちには勇者としての力もあるんだろう。魔と戦える力もあるんだろう」


 俺はそう言った後、言葉を続けた。


「――だが、俺はその依頼は受けない」


 俺の発言を聞いたクラスメイトはざわつく。

 そしてすぐ側にいる工藤も俺に声をかけてくる。


「何でだい? 苦しんでいる人がいて、僕達にはそれを救う力があるじゃないか」


 俺は工藤に言葉を返す。


「まあ、それが落とし物を探して、とか簡単なことなら別だがな。だが簡潔に言えば、この国の連中は俺たちに戦争してこい、と言っているんだぜ」


 俺がそう返すと工藤は顔を強張らせた。

 こいつも殺し合いをさせられるかもしれないというのを感じたのだろう。俺は更に言葉を紡ぐ。


「まあ、俺達には力はあるんだろう。それに訓練もして、強くもしてくれるんだろう。だがそれでも俺達が殺されることがないとは限らないだろ? それなのに、何で見ず知らずの国のために、命をかけなければならないんだ?」


「そ、それは」


 工藤はその質問に答えられない。

 事をそこまで重くとらえていなかったのだろう。それを聞いたクラスメイトとさっきまでのムードはすっかりなくなり、物事を深刻にとらえ始めた。


 俺は少し顔色が悪くなっているマリア王女に視線を向ける。


「まあ、召喚してしまったものは仕方ない。俺はあんたらを責める気はない。だが、それとこれとは話が別だ。俺は自由にやらせてもらうよ」


「ま、待ってください、勇者様! お引き受けしなくても、王城でこの世界やこの国での勇者様の待遇について説明を!」


「結構だ。俺はこの世界でマイホームを築いてのんびり過ごすことにするから。……じゃあな」


 俺はそう言うとスキルを発動させ、この部屋に炎が燃え盛る幻覚を全員に見せる。

 それと同時に他のクラスメイトは「何だよこれ!」や「ほ、炎!」と、驚きの声を漏らし、動揺の渦に放り込まれた。


 俺はここで転移のスキルを発動させる。

 転移する場所はエフィドスに指定されたダンジョン建設予定地。


 そして俺が転移する直前、誰かが俺の手首を掴んだ。


「なっ!」


 突然のことで驚愕の声が出る。だが、転移は止まらない。

 俺は、俺とその人物と共に、その場所へ転移したのだった。

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