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ヤバイ!!

コンサートからあっという間に四日が経った。UNLUKEYのコンサートの余韻がまだ冷めなくて、パンフレットを眺めては、コンサートのことを思い出しちゃってる。夏子からアルバムを何枚か借りて、MDに入れたんだ。

私はMDの再生ボタンを押すと、目を閉じる。

やっぱりいい曲だな。それに健吾君て聞く耳あるよね。いい曲って言い切っちゃうんだもん。これって凄いことだよね。私、いい曲はいい曲って言い切ること出来ないよ。

ゆったりとした気持ちで、曲を聴いていると、部屋のノック音がした。

私は返事すると、ドアが開いた。

「あ、健吾君! どうしたの?」

私、慌ててMDの停止ボタンを押してしまう。

「あ、いや、ちょっと…」

なんか、健吾君の顔赤いよ。どうしたんだろ? 気になっちゃうよ。

「曲聴いてたんだ?」

「うん…」

私、返事だけするとうつむいてしまう。

「あのさ…江海ちゃんのそばにいたいんだけど…いいかな?」

二人の間に少しの沈黙が流れた後に、健吾君がさっきより顔を赤くして言うから、ビックリしてしまう私。

「全然いいよ」

「ありがとう」

そう言うと、健吾君はソファに座る。

ドックン、ドックン…。

私の鼓動、とても大きい。

健吾君と二人きりだから? 私のそばにいたいって言ったから? だから、こんなに鼓動が大きいの?

私が来たところは北海道じゃないけど、健吾君と北海道に行ってみたいな。別に二人でじゃなくてもいいから、北海道に行ってみたいな。嘘ついてるけど少しは構わない。

「江海ちゃんの好きな奴ってオレだよな?」

突然の健吾君の質問に、私ってば心臓が飛び出そうになってる。鼓動の音量もさっきより大きくなってるよ。それに、今日は健吾君にビックリさせられること多いよ。

「そ、そうだけど…」

健吾君はどう思ってるんだろう…?

「そっか…」

納得したような表情の健吾君。

もしかして、期待しちゃってもいいってことなの? そうだよね? そういうことにしてもいいよね?

「オレも…好きかな…?」

「え…?」

「あの噂の流れてから江海ちゃんのこと少し気になってさ」

「健吾君…」

「仲良くしような」

ニコッと笑う健吾君。

でも、この笑顔を見られるのはあと二ヶ月半。この二ヶ月半の間にやりたいことはたくさんある。中でも一番やりたいは、告白。健吾君は気付いてるけど、ちゃんと自分の口から、「好きです」って言いたい。あの時は、田崎さんが勝手に言っただけだもん。健吾君は、私の気持ち疑ってないみたいだしね。

…オレも好き…かな…?…

これって徐々に好きになってることだよね? そう思うだけで嬉しくなってくる。

「江海ちゃん、そろそろ下行こうぜ! 晩飯の時間だしな」

「そうだね」

私と健吾君は部屋に出ると、おしゃべりしながら廊下を歩く。そして、階段までくるとよそ見をしていた私は、階段を踏み外しちゃって下に落ちていく。

え…? 私、下に落ちていく…。どうなってるの…?

わけわかんなくて、目の前の物がグルグル回って全然わからなくて、ただ単に落ちていく。

「江海ちゃん!」

健吾君の声が遠くに聞こえてるけど…ヤバイ!! このままじゃ、ケガしちゃうよ。ホント、ヤバイ!!


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