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バレた私の気持ち

人魚の世界に来て、あっという間に一週間がたった。やっと人間の世界に慣れてきたとこ。健吾君と出逢った時よりも仲良くなってる。勿論、渚と夏子とも仲良くやってるよ。

だけど…私、もっと健吾君のことが知りたいって思う気持ちが強くなっちゃってる。同じ家に住んでいるのに、もっともっと健吾君のことが知りたい――。



「江海、最近、ニヤけ顔になってること多いけどなんかあった?」

渚が首をかしげて聞いてくる。

「な、なんでもないよぉ」

なぁんて、ごまかしモ―ド入っている。

そう、健吾君が好きだってことまだ渚と夏子には言っていない。だって、言ったら冷やかされそうなんだもん。

「私もニヤけ顔になってるの、気になってたんだよね。江海、もしかして…」

夏子ってばドキドキさせるようなこと言う。

「な、何…?」

ドギマギ状態の私。

「健吾のこと…」

「夏子ってば早く言ってよ!」

「…好きなの…?」

ボソッと小さな声で聞いた。

当たってるけど…なんか言いづらい…。

「どうなの?!」

渚まで興味津々に身を乗り出してくる。

「…好き…だよ…」

私は消えてしまいそうな声で、白状してしまう。

「あ、やっぱり? なんとなくそう思ってたんだよね」

夏子はイジワルっぽい笑顔で言った。

「そっか、そっか」

「渚、何一人で納得してんのよ〜?」

「べ――っつに…」

「健吾のことでニヤけてたわけだ。健吾、カッコいいもんねぇ…」

「もう、二人共イジワルなんだから!」

でも、知ってもらったほうが良かったかも。友達だし、何かあった時に相談のってもらいやすいもんね。

チラッ。

健吾君のほうを見る。

健吾君、笑顔で友達の磯部君と楽しそうに話している。

この二人、とても仲いいの。小学校の頃からの仲良しなんだって。

学校では遠くからでもいいんだ。家では話せるしね。私、内気な性格でもないのに、遠くから見られて喜んでる。

ムニュ。

私のほっぺたを夏子がつねる。

「いった―い! 夏子、何するのよ―?!」

「だって、健吾に見とれてて嬉しそうなんだもん」

「少しくらたいいじゃない」

「そういえば、一つ言っとくけど、隣のクラスの田崎海夏って子がいるんだけど、その人健吾のこと好きって噂。でね、健吾のこと好きになる女子にイジワルするんだよ」

渚が思い出したように言った。

…田崎海夏…。

わかる。私の…恋のライバル…だってこと…。苦しくて息が出来ない。

「江海、何、深刻な顔してんのよ?」

「そんなに深刻になることないって、ねっ?」

二人共、私のことなぐさめてるのがよくわかる。だけど、私にはそんななぐさめは通用しない。


深刻になることない。そんなことわかってるよ。だけど、ダメなの。ライバルがいるっていう事実は消せない。ライバルだなんて思ってもみなかった。

はぁ…。

今にも泣き出してしまいそうな気持ち。

健吾君も田崎さんのこと好きなの? 何も教えてくれない健吾君。私に教えてくれないってことわかってる。わかってるつもりだけど、この不安な気持ち、押さえられないよ。


「江海…?」

「うん…」

「放課後、ケ―キ食べに行こうよ」

「ありがとう」




翌日、私は健吾君と一緒に行きたくなくて、「一人でいく」って言ったんだ。健吾君とは毎日一緒に学校に行ってたから、変な感じだよ。

片想いは辛いけど頑張るって、昨日ケ―キ屋さんから帰る時に、決心したよ。

そして、ブルーな気分のまま学校ついた私は、教室の扉を開けた瞬間、みんなが私のほうを見てきた。

な、なんだろ…? 私の顔に何かついてる? 髪型もちゃんとセットしたし、制服もちゃんと着てる。一体、何が起きたの…?

そして、渚と夏子が飛んで来たの。

「江海っ! バレちゃったのよっ!」

「な、何が…?」

私、訳がわからなくてパニックになってしまう。

そしたら、夏子が一言こう言ったんだ。

「江海が健吾が好きだってことバレたのよ!」

夏子は私の制服の袖を引っ張る。

!!

私の顔が赤くなっていくのがよくわかる。

な、なんで…みんな知ってんのよっっ!! と―してぇぇ――――?!!!

「もしかして…二人共…」

「言ってない! 言ってない!」

「そんなこと言うワケないじゃない」

二人共否定している。

…ということは、もしかして田崎さんなの?

「江海、健吾と毎日学校に来てたでしょ? 田崎さんが見てて、健吾のこと好きじゃないかって…」

渚が慌てて言ってる。

やっぱり…そうだったんだ…。どんな人がわからないけど、どうしてなの?

まっずいな…。始めのうちは生き方がわかんないから一緒に行ってて、それで家が一緒だから行ってただけなのに…。

私が困り果ててると、

「山岡さん、おはよう」

隣のクラスから田崎さんが私に挨拶してくる。

「お、おはよう…」

私の声、とてもこわばってる。

この人が田崎さん…?

スタイル抜群で、色が白くて、髪も天然の茶色が入ってて、凄く美人なの。

女の私から見ても綺麗だなって思ってしまう。

「あなたも健吾のこと好きなの? 絶対にあなたにだけは負けないわ」

田崎さんはイジワルな顔で言う。

「私はそんなつもりじゃ…」

「じゃあ、どういうつもり? あなたが健吾のこと好きだってこと見ててわかるわよ」

「……」

言葉が出ない私。

「貝本…」

みんなが健吾君の名字を呼ぶ声が聞こえる。

私達二人が振り向くと、健吾君が立ってた。

もしかして、さっきの話聞かれてた?!

「健吾、おはよう」

田崎さんってば、私の前でわざと健吾君と仲良いっていうのを見せつけるように挨拶した。

「おはよう…」

健吾は何がなんだかわからないような表情で、田崎さんに挨拶する。

「じゃあ、私教室戻るわね」

そう言うと、田崎さんさっさと自分の教室に戻っていっちゃった。

私、どうしようも出来なくて、その場に立ち尽くしてしまう。

「江海…」

渚と夏子が心配してくれてるのがわかる。

健吾君に私の気持ちバレたよ。私ってば…なんてことを…。みんなに噂になるなんて…、それによりによって、田崎さんに知られてしまうなんて…思ってもみなかったよ…。


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