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成り損ない勇者の異世界銃奏乱舞  作者: ディンキー
第五章
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第三十一話 召喚状、礼儀作法の練習と皆の気持ち

今回は少しアダルトな部分がありますのでご注意ください。

「それで、封筒に入っていた手紙は何だったんですか? どうせ召喚状と思いますけど」

「……ご明察の通りです」


 買い物袋を大量に抱えて帰ってきたリース達に鎮痛作用のある紫色の薬草を塗りたくった湿布を貼ってもらい、もらった封筒を開けてみるとリースの言う通り明日、皇帝陛下に謁見させるから城に来いと簡潔に書かれた召喚状だった。


「全く……ヨシヒサも変わった所に目をつけられましたね。よりにもよって大陸随一の実力を持つと言われる諜報機関になんて。もう少し行動や発言には注意した方がいいですよ」

「……面目ない」


 実はルミナさんが帰った後、しばらくして皆が帰ってきたのだがメルダが部屋に入るなり鼻をぴくぴくと動かしてしばらく部屋中を歩きまわった後、旦那様からメスの匂いがします。の一言で俺が部屋に娼婦でも連れ込んだんじゃないのかと疑われ、ギルドの人が来たと言っても信じてもらえ無かった。結局、ルミナさんに関することを全て自白することでお仕置きは回避できた。それでもエレノアの補足説明がなければや色々大変なことになっていた気がするが。


「それで、何時城へ来るように書いていましたか?色々やらないといけませんし」

「えーとだな……明後日の昼前だと。城から馬車を出すから荷物は貴重品だけでいいらしい」


 因みにナタリアは城に帰っている。本人はヨシヒサのところへ行きたいとゴネたが皇族がそんなにホイホイと外に出て良い訳もなく皇族教師軍団により遅れていた大量のレッスン課題を半泣きでこなしている。


「ふむ、明後日ですか……服装の方で注意点などは書いていましたか?」

「服装? "なるべく清潔で粗野でない服装"って書いてるな」


 清潔で粗野でない服装ねぇ……何時も通りいいか。丁度新品にするし。


「別に俺は何時も通りでいいだろ? 礼服なんぞ持ってないし」

「そうですね。あ、でもまるちかむめいさいというのはやめてくださいね? 柄的に汚いと思われても仕方がありませんから」


 やはり駄目だそうです……まぁ、今着てるコンバットシャツとパンツと同じ色のオリーブドラブで統一するつもりだし良いか。個人的には黒が好きなんだけどね。


「それじゃあ私達はどうするの? 生憎私も礼服のたぐいは持ってないわよ?」

「それに関しては大丈夫です。私達はヨシヒサがくれたミスロカネアーマーを着れば問題ありません」


 確かにミスロカネで出来たドレスアーマーは見栄えは良いし問題無いだろうけど……と言うかドレスアーマーの名前、ミスロカネアーマーにしたんだ……変に捻らない分シンプルで悪くない。


「じゃあ、服装の問題はこれで解決だな。明日はどうする? また買い物か?」

「いえ、ヨシヒサは明日、私がみっちりと礼儀作法について指導します」


 えっ、指導って何? ちょっ、リースさん目が怖い! 怖いよ!


「そうだねー、ヨシヒサさんって形はしっかりしてるんだけど細部がちょっとねー」

「えっちょ……それならラシエルもだろ?」


 ここでさっきから黙っていたアリシアが余計な一言出す。そして俺とと同じ一般人のはずのラシエルに視線を移すが視線に気がついたラシエルはにっこり笑顔でとどめを刺してきた。


「ごめんなさいヨシヒサ。私、アステリアの王城にいる時に必修で礼儀作法、ダンスまで全部叩きこまれているの」

「そ、そんな……す、救いはないんですか!?」

「ありませんよヨシヒサ。さぁ覚悟を決めてください……私がみっちりと扱いて誰が見ても恥ずかしくない素敵な殿方にしてあげます。大丈夫、安心してください? 泣いたり笑ったりは出来るようにしておきますから」


「メルダはまだ未熟なので私の方で仕込ませて頂きます。良いですねメルダ」

「はいエレノアさん。よろしくお願いします」


 そんなこんなでヨシヒサ&メルダ大改造計画(命名:リース)は幕を開けた。


「ヨシヒサ! ナイフとフォークを使うときは音を立てさせてはいけません!」

「ワインなどは香りを楽しみつつ少しずつ飲むのです! エールのように一気に流し込んではいけません!」


 練習自体はその日の晩に始まった。最初は基本的な食事のマナーからということで開始したのだが、やはり慣れないためか一般人と同じ食べ方をしてしまいその都度厳しいリースの厳しい指導が入る。一方ラシエルやアリシアはミスロカネアーマーの手入れをしたり自分達が指導を受けていたことを思い出し愚痴を言い合ったりと楽しそうにしている。


「メルダ、礼の姿勢はもう少し低くですよ。そうそういい感じですね。それから城に入ったら基本的に無表情でいるように。下手に表情を表に出すと皇族関係は不明ですが、変な趣味を持つ貴族などに因縁をつけられたり絡まれる場合がありますからね」

「はい」


 そして食事の練習が終わると次はダンス。これはリースがホテルに掛け合い、今日の使用予定のない上階のホールを使用することになった。無論安くない使用料が発生するのだがそこは安心。ヨシヒサが自ら全額負担を申し出た。虚ろな目で。


「いいですね。はいそこでターン! ヨシヒサがリードしなければならないのですから力強く、そして華麗に!」

「し、死ぬ……マジで死ぬ……!」


 4時間強をノンストップで行われ深夜まで続いたダンスレッスンもリースの『まぁまぁ良いでしょう。ですが明日はもう少し難しい別の曲で行きましょう』の言葉で終了となった。因みにホールの使用料は4時間で金貨3枚。


 次の日もリースの地獄の指導は続き、後日ヨシヒサ本人は『これなら親父の同僚の人に扱かれた時のほうが天国』と語っている。


「……まぁ、これで問題はないでしょう。少なくとも何処の国のダンスパーティーや食事会、謁見に出しても恥ずかしくはないですね。ヨシヒサ、よく頑張り、耐えましたね。合格です」

「よっ……よっしゃああああああ!」


 すっかり時刻は深夜になり部屋に帰るとメルダのメイドとしての仕込みも最後となっていた。


「メルダ、ワインのボトルはゆっくりと傾けグラスと接触させないように。そして必要以上に空気に触れ得させ酸化させないように焦らず素早く丁寧に」

「はい」


 何時もの笑顔を消し能面のように無表情になったメルダがワインのボトルを両手に抱えグラスに触れさせないように丁寧に多すぎず少なすぎずの微妙な量を注いでいく。さすが元貴族に仕えていたメイドのエレノア指導の賜物というべきか。


「出来ましたエレノアさん」

「ふむ……良いでしょう。合格です。よくやりましたねこれであなたも一流のメイドです。ですが油断せず常に研鑽を続けなさい」

「ありがとうございます!」


 メルダも合格をもらえたようで何よりだ。さて、俺からお祝いにプレゼントをあげよう。


 ヨシヒサがインベントリからある物を取り出しメルダに渡す。


「メルダ、お疲れ様。そしておめでとう。お祝いにこれをあげよう」

「これって……本当によろしいんですか!?」


 俺がメルダにプレゼントとして渡したのは真新しいカチューシャと黒のメイド服だ。前々からコッソリ『創造』スキルで作っていたのが今朝になってようやく完成したのだ。おかげで寝不足だが、メルダの笑顔が見れるなら俺はどんな努力だって惜しまない!


「ああ、よく頑張ったな。まぁ、なんだその……ちょうどいい機会だったし……」

「ありがとうございます旦那様!」


 おっとと……感極まったのか泣きながら抱きついてきたメルダの頭を撫でながらほっこりしているとメルダの後ろに居たリース達が円になってヒソヒソ話をしてうんうんと頷いている。また何か企んでいるのか?


「ヨ、ヨシヒサ! ちょっといいですか!」

「な、なんだ?」


 真っ赤になったリースが俺へ急に近づき抱きついていたメルダに耳打ちをして離す。何事かと視線をラシエル達の方に向けると皆揃って耳まで真っ赤かにしている。しかも俺の方を潤んだ目で見つめてくるし……。


「そ、そのですね……私達ですね、話し合った結果……本当はナタリアもいる時にしたかったのですが……今日にしようということになりまして……その……」

「えっ、いやなに? 一体何をするつも――むぐっ!? ぐっ……ぶはぁ!えっえっ?」


 俯いて真っ赤になりながらゴニョゴニョ言っていたリースがいきなりキスをしてきたのだ。頭が熱くなり熱暴走しそうになる。


「その……私を含め皆ヨシヒサ、あなたのことが……す、好き……なのです」


 リースのこの一言で混乱で熱暴走を起こしかけていた頭がすぅっと冷え、皆の顔を見ると全員が縦に頷く。本当は怖かったんだよね……自分の気持に素直になってリースやラシエル達の想いに応えたら何か変わっちゃうんじゃないかって。でもそんなことはなさそうだ。今更ながら気がついたんだ、この娘たちはそんなんじゃ変わらないぐらい強いんだって。だから彼女達の気持ちに俺も不器用だが応えたいと思う。


「その……なんだ……。お、俺も皆のことがだ、好きだ! こんな俺でも良ければよろしくお願いします!」


 しまった……言葉が変な感じになった……自分の気持ちに素直になった瞬間、こんな言葉しか思い浮かばなかった。もう少し国語の勉強しとくべきだったか……。


「「「「「はい! 喜んで!」」」」」


 ヨシヒサが答えると決壊したように泣きながらヨシヒサに抱きつき一人ずつ改めて告白をしてヨシヒサがそれに答えキスをするということを繰り返す。そして次第に告白から愛の伝え合い合戦へ発展していった。


「それでヨシヒサ……し、しましょうか……皆、心の準備も出来ていますし」


 若干落ち着いたのかと思っていたリースがいつの間にか服を脱いで薄紫色の下着姿になってベッドへ引っ張ってくる。告白をしてその日の晩にベッドインとか早すぎない!?


「な、なぁリース。流石に告白をしてその日の晩にっていうのは早いと思うが……というか婚姻前の女性が婚前交渉というのはマズイ気が」

「そんなの関係ありません! 私はもっとヨシヒサと愛を確かめ合いたいのです!」


 何時になく強気なリースに圧倒され、為す術もなくベッドに転がされる。そして更にいつの間にか下着姿になったラシエルやアリシア、エレノア、メルダがベッドに上がってくる。どうやら腹を決めるしかないようだ。俺だって年頃の男だ!やるときはやってやる!


「分かった。皆が満足するまで存分に相手をしよう。か、かかってこい!」

「はい♪ 大好きですよヨシヒサ!」


 馬乗りになったリースが壁のスイッチを操作して明かりの光量を減らすとブラを外しのしかかりヨシヒサに長く濃厚なキスをし始めた。彼女達とヨシヒサの熱い夜は深まってゆく。



 後日この日の夜のことを覗き見していたにカリナにキスの味を聞かれるヨシヒサ。


「えっ、キスの味ですか? 思い出すだけでも恥ずかしいですけど……皆甘かったですね。はは……恥ずかしいなこれ」

 大変遅れてしまい申し訳ありません……就職関連の準備やらなんやらでドタバタしていて中々書くことが出来ませんでした……。あと最後の方は書いてる本人も若干気恥ずかしかったです。それに戦闘回を書きたいです……。


 そして累計PV数10万突破!ほんとうに感激です!多くの人に本作品を読んでいただきありがとうございます!これからもよろしくお願い致します!

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