表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
成り損ない勇者の異世界銃奏乱舞  作者: ディンキー
第四章
23/38

第二十二話 メンバーの服装と装備、別れと旅立ち

 お待たせしました新章です。これが今年最後の投稿となります。

 それではお楽しみください。

 城門の近くで一頭の黒い馬に繋がれた俺謹製の馬車の荷台に野営用のテントや骨組み、500発程度の弾薬とマガジンを入れた箱、ちょっとサイズの大きい兵器……FGM―148ジャベリン対戦車ミサイルやカールグスタフM4無反動砲とその砲弾などを収めたケースや自然分解するボトルに入ったミネラルウォーターの箱にドライフルーツ、野営で使う薪、スコップ、真水が入った大樽、緩衝材に包まれた各種ポーションの入った箱を馬車にどんどん載せていく。


 なぜ俺のインベントリとかを使わないのかって?理由は簡単、偽装だ。


 この世界で旅というのは一ヶ月から下手すをれば年単位でするのが常識だ。移動手段が馬車や徒歩しかない時代で道が整備されているわけでもなければ街灯もないため夜は安全のために移動はしない。天気が大荒れなら土砂崩れ、嵐などで道や川が寸断されて数日から数ヶ月間動けなくなることもしばしばある。


 そんな過酷な旅をするのに水もなければ食料すら載せていない馬車なんて怪しすぎる。検問の車内検査に引っかかると問答無用で領軍に拘束され魔眼石による検査が行われる。問題なければ口頭注意のみで開放されるが少しでも不審な点があれば即牢屋行きだそうだ。


「ヨシヒサ!そちらの準備は大丈夫ですか!」


 身支度を終えたリース、ラシエル、アリシア、エレノア、メルダちゃんが来たようだ。


「おう、こっちの荷物は全部積み込んだ……ぞ……」


 振り返り五人の服装を見てつい固まってしまった。そりゃもう凄く似合っているからだ。


 リース、ラシエル、アリシアは俺がコッソリ高級娼館に行こうとしてバレた際に機嫌直しにあげたベージュの長スボン、黒の長袖Tシャツの上に革鎧とチェストリグ、ベージュの俺と同じベイツM-6アサルトブーツを履いて腰には剣や救出作戦の後返してもらえなかった銃を下げている。


 ラシエルの鎧は魔力で自身に纏わせることが出来るというなんともファンタジーな能力を持っているらしい。リースの鎧は俺のインベントリで肥やしになっているが。


 エレノアとメルダちゃんは黒のメイド服を着ている。腰にはマガジンポーチを装着したリボン風ベルトをして腰には銃がある。


 なぜ銃を彼女達が持っているのかというと、簡単に言えば気に入ってしまったそうなのだ。理由は教えてくれなかったが事件解決の後、返してもらおうとお願いしたのだがリースとアリシアが断固拒否したところにラシエルやエレノア、メルダちゃんが参加したところで交渉は諦めた。


 リースとアリシアはHK416A5とHK417を、ラシエルは俺とお揃いが良いとゴネてSCAR―Lで我慢してもらっている。メルダちゃんは体格的にアサルトライフルやカービンはきついのでコンパクトなPDR―Cにしてもらった。


 エレノアは俺がリストを見せた瞬間にAK‐12に食いつき、ストックが折り畳みでそこそこコンパクトかつ耐久性や拡張性が高いなどを教えると即決した。一様エルフの特技である遠距離狙撃を活用するべく強力な338ラプアマグナム弾を使うASW338を使ってもらう。


 無論全員の銃はアクセサリーなどカスタムされている。特にラシエルとエレノアの注文の多さにかなり疲れた。


 エレノアとメルダちゃんの二人は他にも俺の身辺警護もするらしいのでミスリル製の小型ダガーを太腿のガーターベルトに装備してるらしい。今度覗かせてもらおうかな?


 サイドアームは要望があれば検討はするが各人共に剣やら槍やら持っているので多分要らないと思う。


 全員から感想を求められ取り敢えず当たり障りのないように持ち得るボキャブラリーを駆使して褒める。これに失敗するとファッションとはなんたるかを長々と言われる。具体的には各人から40分ほどずつ。


「ほれ、荷物を乗せるからこっちに頂戴」

「はい、ヨシヒサ。その……服とか靴とか銃とか色々くれてありがとう」

「気にすんな」


 若干顔を赤らめモジモジしながらお礼を述べるラシエルにキュンと来たのは内緒だ。


 チクショウ可愛いじゃねえか!


 王都の掘り出し物市場で購入した色違いのスポーツバッグを受け取り座席の下に収納する。


「……よし、これで全部かな」


 すべての荷物の積載が完了したところで馬車の荷台を降りると目の前にはバレスト団長、国王陛下、王妃様に王女様方、それに20人ぐらいの勇者達も集まっていた。お、イケメンの影山くんとマッチョゴリラ発見!


「ヨシヒサ君、娘を……リースをどうかよろしく頼む!」

「ヨシヒサ!ここ数日間、俺がお前に教えたことを忘れるなよ!いいな!」

「ヨシヒサさん……私は何時もあなたの無事を神殿でお祈りしています。どうかご無事でまたお会いいたしましょう。……偶に手紙くださいね?」

「ヨシヒサさん、リースはああ見えて人を支えるのが上手なの。だからもし不安になったり心が折れそうになったら存分に頼ってあげてくださいね?リース、ヨシヒサくんは将来あなたの夫となる人です。この旅を通してしっかり彼を守り支えてあげるのですよ。私が教えたことをしっかり守り彼のハートをしっかり掴みなさい」

「お姉様、少し寂しくなりますけれどご無事をお祈り申し上げます。帰ったら盛大なパーティーを開きましょうね!ヨシヒサさん!どうか姉をよろしくお願いします!」

「リース、あなたは私の大事な……世界に誇れる妹です。そしてアステリア王国の王女としての誇りを忘れず世界を見てくるのです。後手紙も忘れずに。ヨシヒサさん、妹は少し抜けているところはありますけどいい子です。それは姉である私が保証します。どうか末永くよろしくお願いします」


 国王陛下、バレスト団長、巫女のエリナさん、王妃様、王女様方から言葉をもらう。


「はっ!俺は全身全霊をかけてリース、そしてパーティーのメンバーを守り通し、バレスと団長に教わった事を生かして必ず無事にこの王都に帰ってます!」

「は……いっ……お父様、お母様、コーナ、ムリム姉様……えぐっ……私、リース・フォン・アステリアは必ず無事にヨシヒサのハートを掴みこの王都に帰ってきます……っ!」


 みんなから言葉をもらい俺は踵を合せ背筋を伸ばし気をつけの姿勢で答える。さっき言ったことに嘘偽りはない。必ず旅を終えたらこの王都に戻ってくる、心にそう決めたから。


 リースは泣きかけだが言葉には強い意志が宿っている。何故結婚することが決まっているのかは謎だが。


 そして俺達は馬車へ乗り込み御者席に座るエレノアが鞭を打ちゆっくりと馬車は走り出す。


「ヨシヒサ!少し寂しくなるが頑張れよ!ラシエルもな!」

「村井くん!ラシエルちゃん!また会おうね!」


 ここ数日で仲良くなった勇者達の声を背に馬車は王城の城門をくぐり王都の外へ向かう。少々、影山と取り巻きの男共の視線が気になるが、放置でいいだろう。余計なことをするようなら太腿に大穴開けてやるし。


 はぁ……今から待ちに待った旅が始まると思うとドキドキが止まらない!



 と言っても勇者達と彼らパーティーアトラスが再び再開するのはそんなに遠くないのだが。




 前に王都に帰る際に審査待ちの列で弁当を売っていたお姉さんの店に寄ってお弁当を何種類かを大量に買い込んだ。その際にまた店員にならないかと誘われてリース達が不機嫌になったのはまた別の話。


 第一城壁の城門をくぐり王都から出てはや3時間、辺りは平原と林檎の木が沢山植わっている。天気もよく風もほどほどで今すぐ横になって昼寝をしたいぐらいだ。


 俺が知恵を絞って作った馬車の乗り心地は良く、未舗装の道を走行していても振動らしい振動も殆ど感じず馬車の荷台にいる各々は好きなことをしている。


 ラシエルとリースは今夜どっちが俺の右側で添い寝をする権利をかけてチェスに興じている。アリシアはボウイナイフで木を削って結界用の杭を作っている。


 エレノアとメルダちゃん……もといメルダはエレノアに馬車の操縦の仕方を教えてもらっている最中だ。


 かくいう俺は座席に寝っ転がって空をぼーっと見つめているだけなのだが。


 今俺達が目指しているのは大陸東部の帝国、ファムデル帝国を目指している。当初は北のドワーフの国を目指そうと思っていたが直で向かうのは現在は無理だそうで何故なら大陸を縦断できる街道が通っている大陸中央部の大森林地帯は今現在、強力な魔獣が出没していて騎士団や軍が進入を規制している。


 という訳で東側か西側に迂回する必要が出て、美味しい食べ物が多いと聞く東のファムデル帝国からエルフの国を経由してドワーフの国へ至る行程に決まった。


 途中、城塞商業都市ギルノディアに立ち寄りドルネのおっさんの店に立ち寄りドレスアーマーなどを受け取るつもりだ。


 予定ではギルノディア到着は23日後だ。

 

 フフフ……ドレスアーマーか……楽しみだ!


 この時ヨシヒサは気がついていないが遥か雲の上……神世界では女神カリナは書類に埋もれながらヨシヒサに更なる力と技能を授けようとヨシヒサを気に入った他の神々と共に腹黒い顔をしているのであった。

 メリークリスマス!……まぁ、これを投稿しているときは既に終わっているわけですが、みなさんはどんな風に今年のクリスマスをお過ごしになられましたか?作者は久し振りに家族と共に過ごしました。


 さて、新章に入ったわけですが、前書きの通り今回が恐らく今年最後の投稿となります。書き始めて早一ヶ月と少し……ここまでお付き合い下さり本当にありがとうございます。来年も成り損ない勇者の異世界銃奏乱舞とヨシヒサくん、パーティーアトラスの面々をよろしくお願いします。それでは良いお年を!


 毎度多数の閲覧・ブックマークなど本当にありがとうございます。感想などもいただきほんとうに感謝です。感想・誤字脱字・要望等があれば感想に書いていただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ