第十二話 巨大市場、奴隷とエルフ
大変お待たせしました。
祝1万PV突破!&ユニーク2000突破!ありがとうございます!こんなに多くの方に読んでいただけるとは思っていなかったので驚きと感謝でいっぱいです!
それでは少し長いですが本編をどうぞー。
なんとか無事にギルドカードをもらった俺達はリースの先導のもと、市場に向かって歩く。
市場は都市の東側にあり、結構遠いのだが便利なことにこのギルノディアでは市内を巡回する乗合馬車が存在している。運賃も安く、全区間大銅貨1枚らしい。
乗合馬車に揺られること20分、目的地の市場前の停留所で降りた俺達三人はとんでもない数の人でごった返す市場に人の波をかき分けて進んでいく。
この市場はMAPで見ただけでも東京ドーム6個分ぐらいの広さがあり、扱う物のジャンルによってエリア分けされている。必要な物を扱うジャンルの集まるエリアに行けばいいので、この広い市場を延々と彷徨う必要はない。
とてつもなく混んでいたのは入口付近だけらしく、中はそんなに混んでいなかった。そしてまさにここは『市場』の名にに相応しく多種多様な物が売られている。スイカのようなサイズのキャベツだったり、人間の足ぐらいはあるナイトホーンラビットという動物の肉が店舗の天井から吊るされていたり、地球では見たことのない物がたくさんあった。
少し奥に行くと武具や鍋、フライパンといった金属系の品を扱う鍛冶屋だったり卸売業者の店舗が立ち並ぶエリアが広がっている。
「お、おい。リース?どこまで行くんだ?」
「まぁまぁ、何も聞かず付いて来てくださいヨシヒサ」
「お、おう……」
とにかくこの先は何があるのか少し楽しみだ。
実は元の世界にいた時は長期休みの時は親父やその同僚の人と一緒に海外に行くことが多かったから特に海軍基地の周りにある市場を覗いたり買い食いをするのが結構好きなのだ。
昔の思い出を振り返っているとリースの足が止まり、顔を上げるとそこには立派な門と警備兵と思われる軽鎧と槍や剣で武装した4人ほどの男たちが検問をしている。
「身分証をだしてください」
警備兵の男に身分証の提示を求められたので素直に作ったばかりのギルドカードを渡す。
「ふむ……問題ないようですね。ご協力ありがとうございます。では、進んでください」
「ありがとうございます」
警備兵の男はギルドカードを2回ほどチェックするとカードを返して道を開けてくれた。
てっきり、身体検査とか荷物検査すると思ってたんだけどなぁ……。
「ヨシヒサ!こっちですよ!」
「あぅぅぅぅ……」
相変わらず元気なリースと市場の入口で人の波に揉まれ人酔い寸前で青い顔になっているアリシアがふらふらしているがなんとか付いて来ている。
検問を越えて歩くこと20分、見た目的には上品な店が多い気がする。
人もそんなには多くなく、ゆったりとした時間が流れている……ここはなんだか落ち着く。
少しすると周りの店の雰囲気が少し変わり始めた。
検問を抜けて20分前後歩いたエリアはアンティーク系のショップや服を扱うショップが多かったのに対して今歩いているところは服は店によってマチマチなものの共通しているのは鎖で首や手や足を繋がれた様々な種族の男女が檻の中や店先にいることだ。
なんとなく想像はつくものの、一様リースにここはなんの商品を扱う店のエリアなのか聞いてみた。
「おいリース。まさかだとは思うがここのエリアで扱っている商品ってまさか」
「ええ、奴隷ですよ?ああ、ヨシヒサの世界には奴隷がいないんでしたね……。ここでは基本的に合法、つまり誘拐や犯罪などを起こして連れてこられた奴隷ではなく、自ら望んで奴隷になった方や借金、一部の身代金を払われなかった戦争捕虜しか扱っていませんし、基本的に同意書を書いたうえでなっていますので安心してください」
リースの説明を聞いたが、やはり元の世界の常識・・・奴隷は非人道的だという考えが頭をよぎる。
いかんな……ここは異世界、元の世界とでは考え方も見方も違う事を理解しないと。
「わかった。他に知っておく必要があることはあるか?」
「そうですね、奴隷と契約した主人は奴隷に対して最低限の賃金と衣・食・住を保証しなければいけません。これを破り、奴隷ギルド等からの再三の勧告を無視した場合は強制執行として所有奴隷と全財産の没収、悪質な場合は自身も奴隷に落とされます。ただ、奴隷によっては賃金の受け取りは拒否し一生その主人に仕える奴隷もいます。あと、一定額のお金を奴隷ギルドに納めその奴隷が望めば婚姻が可能となったり、一部権利等が返還されたりします」
「なるほど……結構奴隷のことも大切に考えられているんだな」
元の世界でよく読んでいた小説とは違い、この世界の奴隷はかなり大切にされているようだ。まぁ、大事な労働力だからなのだろうが。
「それからもう一つ、先ほど言った奴隷ギルドに納めるお金ですが、大体平均で金貨20枚から40枚になります。また、奴隷自身も賃金を貯めて自らを買い戻すことも可能ですが、奴隷の全財産や権利は主人の所有として扱われるので貯まる直前で没収したりと一部では非道な扱いを受けているようです。これも発覚次第、領軍や奴隷ギルドの警備員が差し向けられ、拘束されます。これは貴族・市民は関係無く適用されます。他に質問はあります?」
「いや、十分だ。つまり、奴隷の扱いは慎重かつ大切にってことだな」
「そうですね。それが一番かと」
「うにゃぁ……ヨシヒサさんはどんな奴隷を買うつもりなのですかぁ~?」
未だに足取りがはっきりしないアリシアに水を飲ませながら考える。どんな奴隷が欲しいか……。
やはりここはファンタジーらしくエルフ?いや、亜人族と呼ばれている犬耳族や猫耳族や狐耳族?夢が膨らむ!
エルフ……っていうのは可能なのか?」
取り敢えず聞いてみよう。
「エルフですか……それは少し難しいかもしれません。ヨシヒサも知ってるかとは思いますが、エルフは妖精族に分類され、種族的特徴から長命で数も少なくそして美男美女なので市場に出回る数はそう多くないのです。ここならもしかしたらがあるかとは思いますが、どうしてもエルフを望むのならダークエルフというのもあります。殆どの特徴はエルフと同じですが、数は圧倒的にダークエルフのほうが多いですね」
「いや、それでもできればエルフがいい。頼めるか?」
可能性があるなら挑んでみようじゃないか。巨乳おっとり美女エルフカモン!
「うう……ヨシヒサさんがとっても元気になって輝いています……少し複雑です……」
いやだってエルフだよエルフ! 美形揃いと言われるエルフだよ!? テンションが上がらないのはおかしい!
エルフをよく扱っている店をリースが知っているらしく、先程と同じく先導されて5分ぐらい歩く。目的の店はどっしりした木造の3階建ての店で看板には首輪と腕輪のマークに『アラキエル奴隷商店』と描かれてれている。
リースが扉を開けると中から60代後半の白い髭を生やしたダンディなオーナーらしき人が出てきた。・
「いらっしゃいませ。ようこそ当奴隷商店へ。お求めはどのような奴隷でございましょうか?」
早速注文を聞いてくるオーナーにリースは手早く条件をつけて注文する。
「私達が求めているのはエルフの奴隷。条件は女。メイドと同じ仕事ができ、健康で戦闘などができること、薬品調合などが出来て、主の秘密を守り忠実なこと。以上です」
「ふむ……エルフでございますか……。お客様は幸運でございましたね。その条件に合うエルフは丁度一人だけ入荷しております。どうぞこちらへ」
オーナーの案内の元、俺達は店の奥へ入る。内装は比較的落ち着いていて、息苦しさは全く無い。
「この部屋で待ち下さい。ご所望の奴隷を連れてまいりますのでそれまでお寛ぎ下さいませ」
フカフカのソファーに座り、出されたお茶を飲みながら太もものホルスターに納めているいるHK45をいじくっているとドアが開く。
「こちらがご所望の奴隷でございます。契約をするまではお手をお触れにならないようにお願い致します。さ、入りなさい」
オーナーに促されて部屋に入ってきたのは少しフリルの付いた薄い貫頭着を着て透き通るような銀髪を腰まで伸ばし瞳は翡翠色、耳はエルフの特徴で笹の葉のように長く尖っていて、18歳ぐらいのそれはもう息を呑むような美少女エルフだった。後出ているとは出てスラリとしている。胸もE後半はあるなあれは……。
「私はエレノア・ターネンベルクと申します。この通りエルフにございます。特技と技能は弓・短剣・調理・裁縫・薬品調合、応急治療、上級治癒魔法などです。メイドの技能も一通り修了しております。そ、それから……わ、私はしょ、処女です!」
何このエルフさん真っ赤になってめっちゃ可愛いんだけど。
「なぁ、リース。聞いているだけでもかなりすごいんだが、普通こんなに技能を持った奴隷っているのか?」
隣りに座るリースにひそひそ話をする。
「いえ、正直ここまでとは思いませんでした。それに処女というのもめずらしいですね……普通はどこかの貴族にすでに散らされていることも多いのですけれど」
顔を真っ赤にしてモジモジする目の前のエルフさんは俺の方をチラチラ見ては俺と目が合い、顔を赤くして俯くという動作を繰り返してる。
「いかがですか?気に入られましたか?」
俺としては既に買いたいと思っている。だが、重要な事が一つある。それはリースは乗り気だがアリシアがどう思っているのかだ。
「アリシア、お前はどう思う?俺は正直買いたいのだが」
「私はヨシヒサさんの妻となるのですよ?奴隷の一人や二人気にしません」
「そう言ってもらえると助かる」
アリシアからOKが出たので値段交渉に入る。
「買いたいと思います。値段はいくらでしょうか?」
「おお!それはようございました。値段のほうですが、奴隷の価格と契約の手数料を含みまして白金貨15枚となります」
あれ?結構安い……?てっきり白金貨を三桁レベルで要求されるのかと思ったが、予想に反して15枚だった。まぁ、それでも日本円に直して1億5千万円なのだが。
「わかりました。それではこの場で一括支払いでも構いませんね?」
そういいながら俺は腰のポーチから白金貨15枚を取り出してオーナーの目の前で数えながら机に並べる。一方オーナーと用心棒のお兄さん、そして買われる本人のエレノアさんは目を丸くしてただ眺めていた。
「14、15枚。ちょうどですね。これでいいですか?」
「あ、はい!白金貨15枚丁度頂きました。それではこれより契約の儀を行います。主人となられる方は人差し指を軽くナイフで切っていただいてよろしいでしょうか」
言われたとおりに腰のニムラバスを抜いて先で軽く右手の人差し指を刺して血を出す。エレノアさんも左手で同じことしている。
「それでは、お互いの傷を合わせてください。手首に青い鎖の紋様が刻まれれば契約の儀は完了となります」
エレノアさんが腕を伸ばしてきたので俺も伸ばし、互いの手を合わせる。すると傷口から青い光の糸が漏れ出して互いの手首に巻き付いた。光が収まり手首を見ると確かに青色の鎖の形をした紋様が刻まれている。
「はい、これで契約の儀は完了です。この度は当奴隷商をご利用いただき、誠にありがとうございます。またのお越しをお待ち申し上げます」
エレノアさんの首輪と手錠を外してもらい奥で着替えてもらう。そして貫頭着と白のローブを着せてオーナーの声を背に店の外に出る。こうして俺は異世界に来て初めて奴隷、しかもエルフの奴隷を手に入れた。
中々書く時間が取れず、お待たせしてしまって申し訳ありません……。
そして前書きでも書きましたが、とうとう累計PV数を1万を超えてしましました……そしてユニークも累計2000を突破!驚きを通り越して唖然としてしまいました。
これほどまでに多くの人に読んでいただき、そして多数の評価やブックマークをしていただき本当にありがとうございます。嬉しさでしばらくにやけ顔になってしまいましたが感謝でいっぱいです。
なるべく早く更新をし、そして面白い作品にするために頑張りたいと思うのでこれからもよろしくお願いします!
ただ、リアルで忙しくなると亀更新になる可能性がありますのでその時は気長がにお待ち下さい。
どうでもいいことですが、ここ2日ほどトレーニングをして右腕に猛烈な筋肉痛が襲うという悲劇が起きました……つらい……。
追記 ナイフを一部変更しました




