第十話 城塞商業都市ギルノディア、勧誘と冒険者ギルド
お待たせしました。更新が遅れて申し訳ありません。
そしてPV累計7684、ユニークアクセス数累計1343……本当にありがとうございます!自分が初めて書いたこの作品が多くの方に読んでいただき、そして評価してもらえると思うと本当に嬉しくて狂喜乱舞してしまいました。
これからも本作品をよろしくお願いします!それで本編をどうぞ!
ハンヴィーで走ること3時間、途中休憩も加えながら街道を走り続けていると、突然森が開け広大な平原と城壁が見えてきた。あそこが目的地である城塞商業都市ギルノディアだ。
そろそろ都市の入り口である門に到着するので無用のトラブルを避けるために一旦ハンヴィーは門から2kmほど手前の草むらで停車してゴーレムを倒した際に取得できた思われるスキルの一つ『格納庫』にしまう。
因みに、武器や乗り物を『インベントリ』や『弾薬庫』、『格納庫』に収納する際には視界の一部にAR表示される収納のタブをタップして収納する対象を更にタップするだけだ。銃などはすぐに消えるが、大型の兵器だと光の粒子となって消える。場所によっては目立つので注意が必要となる。
「おい二人共! そろそろ車は仕舞うから屋根から降りて荷物を持ってくれ!」
俺が声をかけると二人は若干不満そうだが素直に従ってくれた。
「ヨシヒサ、ここからは徒歩ですね?」
荷物(と言ってもナップザック程度)を背負ったリースがMP7のマガジンを抜いてもう一度グリップに入れるという確認作業をしながら聞いてくる。
「ああそうだ。中には入れたらまずは宿の確保、その後は冒険者ギルドで身分証明書の発行だな」
工程の確認を終えると俺達三人はのんびり街道を歩く。さながらピクニックのようだなぁ……。
と言うか平和。
歩き始めて30分ほどで門に着いた。
「よし、次の人」
門では衛兵と思われる人が都市へ入る人の身分証と馬車の中をチェックしてる。
なお、リースによるとちゃんとした理由さえあれば銀貨3枚を支払いここでも活躍中の魔眼石のチェックを受け、問題なければ3日程度の滞在許可書が発行されその間に身分証を再発行もしくは新しく交付してもらうのだという。
「よし、次の人」
どうやら俺達の順番が来たようだ。
「身分証を提示してください」
これは想定通り、二人は身分証明書を持っているので問題なく通過している。リースはアステリア王国王城発行の身分証明書(外用らしく名前の一部が偽名)を出したのでかなり驚かれたが。
そして俺は事前に考えていたセリフをスラスラとしゃべる。
「すみません……私は今まで山奥の集落で過ごしていて身分証を持ってないのです」
少し不安そうな感情を込めて嘘っぱちを言うと、衛兵のおっさんは。
「おお、そうか……遠いところからよく来たなボウズ。そういうことなら向こうの詰め所で滞在許可書を発行してもらうといい。料金は銀貨3枚だが大丈夫か?」
「大丈夫です。母にお金はたくさん頂いたので大丈夫です」
俺がそう告げるとおっさんは木造のプレハブのような詰め所に案内してくれてそこで紙に名前、歳、種族、職業などを書いてカウンターに居るヒョロッとした丸メガネのお兄さんに渡す。
「はい、不備はありませんね。それでは規則で賞罰とステータスの確認が義務付けられているので魔眼石で確認させていただきます。こちらへどうぞ」
お兄さんに案内されるまま部屋の奥に通され、王城で見たきりである魔眼石が置いてある部屋に入った。
そして、魔眼石に右手で触れると一瞬光った後、王城では表示されなかった様々なものが表示された。
名前 ヨシヒサ・ムライ
歳 18
職業 魔導剣士
レベル 21(88)
スキル
三属性初級魔法
万物結界
三属性中級魔法
三属性上級魔法
初級剣術
中級剣術
上級剣術
上級戦闘体術
上級錬金薬師
賞罰 なし
と、表示されお兄さんや衛兵のおっさんは少し驚いた顔をしていたが、故郷の師匠に小さな頃から徹底的に訓練を受けたと説明すると納得してもらえた。
そんなこんなで無事に滞在許可書を発行してもらい、なんとかギルノディアに入ることができた。
門の近くは出入りする人で常にごった返しているので人を見つけるのには苦労するのだが、今回はかなり楽だった。なぜなら二人の周りに人だかりができていたからだ。
「二人共待たせてごめん」
人垣を越え、なんとか二人の元に到着すると二人はイケメンやマッチョな人、果ては女の子からパーティーに入らないかと勧誘を受けている。うちの子達は渡さんぞ!
「あ!ヨシヒサ!待ってましたよ!」
「あ、ヨシヒサさん。随分時間がかかったようですけど大丈夫でしたか?」
二人が俺に気が付き、声をかけてくれる。すると取り囲んでいた連中……特にパーティー勧誘を行っていた人たちがすごい形相で俺を睨んでくる。
「二人共行こうか。時間は有効に使わないと」
俺が二人の手を引いて行こうとすると、イケメン、マッチョ、女の子が目の前に立ちふさがる。
邪魔だ……。
「すいません、どいてもらえますか?」
トラブルを避けるべく丁寧にお願いしてみたのだが……。
「君は彼女たちの何なのかな?」
はい、それはごもっともです。という訳で自己紹介。
「俺は彼女たちとパーティーを組んでいる。そして俺はそのパーティーのリーダーをしている」
「君は彼女たちのパーティーのリーダーには相応しく無い。すぐにパーティーを解散したまえ。そして二人共僕がリーダーを務めるパーティー、ヤマユリに入りたまえ! 君たちのようなお嬢さん達は大歓迎だよ!」
他のマッチョ、女の子も似たような事をしきりに喚いている。
何言ってんだこいつ?いきなりパーティーを解散しろだリーダーの目の前で引き抜こうとするわで無茶苦茶だ。
二人はかなり面倒くさそうな顔をしてなるべく言葉を選んでお断りをしているが、勧誘攻撃は止まない。ここは強硬手段で突破するしかないようだな。
二人には合図をしたら目を閉じて耳を塞ぐように指示をして俺は腰のポーチから200Ml缶程度の大きさのM84スタングレネードを取り出して二人に合図を出す。
二人がいきなり目を閉じて両手で耳を塞ぐのをみて全員キョトンとした顔になり、彼らの足元には安全ピンとレバーが外れたスタングレネードが転がる。
キュガガガガガッ! と耳をつんざくような強烈な音と閃光が周辺を包み、俺達はなんとか人垣を抜けて脱出することができた。
「二人共大丈夫か? 怪我や気分が悪くなったりしてないか?」
「はい……少しびっくりしましたけど大丈夫ですよヨシヒサ」
「私も一瞬大きな音がしてびっくりしましたけど問題は特に無いですね」
良かった。二人共大丈夫そうだな。さて、少し時間が遅れてしまったが、今回のメインイベントの一つ、宿の確保だ。
「で、ここがそうなのか?」
「ええ、衛兵の方にオススメだと教えていただいたのがここです」
門から15分程度歩いた大通りに面した月と影が描かれた看板がぶら下がっている宿、月影亭の前に俺達は居る。
「それじゃあ入るか」
俺は宿の扉を開け、近くにあるフロントに向かう。
「すみません。宿泊をしたいのですが」
フロントに居るのは20歳ぐらいの青色の髪をしたポニーテールのお姉さんだ。
「いらっしゃいませ、ようこそ月影亭へ。ご宿泊でしたら個室は1部屋大銀貨1枚、複数人の方が泊まられる大部屋でしたら銀貨4枚でご利用が可能となります。お風呂とご飯に関しましては別途銀貨3枚が必要となります」
「それでは個室を3部屋お願い――」
「「いえ、個室を1部屋で」」
えっ……何いってんのこの子たちは!?
「ちょっ、何勝手に」
「「ヨシヒサ(さん)は黙ってて」」
二人に怒られた……お姉さんも若干苦笑いしてるし……多分勘違いされているだろうなぁ……。というかお姉さん、シーツの替えは無料ですとか余計なこと言わないで! 二人共なに赤面してるの!
多少のトラブルはあったものの、三人分の料金を支払い、ボーイに部屋まで案内してもらう。
部屋は割と広く、2LDKぐらいはあるんじゃないだろうか、流石大銀貨1枚。
「ヨシヒサ! ベッドが! ベッドが!」
リース大興奮である。ここのところ寝袋だったのでやはり柔らかいベットが嬉しいのだろう。
最近、リースが王女様だということを忘れそうになる。だってたくましいんだもん。
部屋の確認をした後、俺達はすぐに宿を出て本日のメインイベントその2である冒険者ギルドへ向かうことにした。
冒険者ギルドは街の中心部にあるらしく、徒歩での移動だと少し時間がかかるそうだ。その間に俺はリースにギルドに関してのあれこれを教えてもらう。
ギルドは主にその職業や分野を管理・依頼などの仲介などを行う。冒険者ギルドの他に商人などが所属する商業ギルド、建築関係の人が所属する建築ギルド、魔法使いが多く所属する魔法ギルド、錬金術師が所属しポーションなどを販売する錬金術ギルドなど職業や分野の数だけギルドが存在する。
ギルドに加入するにはまず、登録が必要で登録の際にも簡単なその分野に関する試験が課せられる。
つまり、適性が無い者が登録するのを避けるためだ。ただ、複数の適性がある人は掛け持ちすることも可能である。国によってはそれがステータスになることも。
リースから教えてもらっているうちに目的の冒険者ギルドの建物についた。建物はレンガ造りでがっしりしており、中は人で溢れかえっている。
俺は扉を開けて二人を先に入れる。レディーファーストだ。
そして左奥の登録受付と書かれた看板がぶら下がっているカウンターに行く。
「すみません、冒険者ギルドに登録をしたいのですが」
カウンターでぼーっとしてたウサ耳のお姉さんに声をかけると、お姉さんはおっとりした感じで対応してくれる。
「はぁ~い。登録希望の方ですかぁ~? ではぁこの用紙に必要事項を記入してくださぁ~い」
三人分の用紙をもらい、門の詰め所で書いた時と同じように名前、年齢、種族、職業などを書いていく。
女神様からもらった言語スキルのおかげでスラスラ書ける。
「これでいいですか?」
またぼーっとしていたお姉さんに用紙を出すと、お姉さんは素早くチェックし、判子を押した。
「はぁ~い。それでは今からあなた達には冒険者ギルド加入試験をうけてもらいまぁ~す。ついてきてくださいねぇ~」
お姉さんに先導されながら俺達三人は奥の通路に通され、屋外の訓練場に案内された。
いやぁ、流石にこんなに多くの方に読んでいただいているとは思いもよりませんでした。改めてありがとうございます。
最初に累計数を見た時には四度見をして顔を洗ってもう一度見るという動作を2回ぐらいしてしまいました。
これからも読者の方に面白いと感じていただける作品を目指しますので拙い文ですがよろしくお願いします。でも、更新速度はなんとかしたい……(´・ω・`)




