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プロローグ2

ひつまぶし

俺の目の前には傷だらけの大きな背中が。


その先には真っ二つになった、もっと大きくて青い怪物が。

つい先ほど袈裟斬りにされて、ずるずると上半分が滑り落ちて来ている。


下半分からちっちゃいのが出てきて慌てて逃げて行った。


目の前の大きな背中は剣を投げつけ、

剣は放物線を描いてそいつに吸い込まれるように落ちて行った。


見事にそいつを仕留めた剣は、はたまたさっきの軌道をなぞるように持ち主の手に戻ってくる。


なんとも摩訶不思議な光景に周りの者達も驚きを隠せ……


あれ?そんなに驚いてないの?え?マジで?


周りの冒険者達が俺の前にいるじいさんにわらわらと集まってくる。

俺は冒険者どもの波にあれよあれよと流され、すっかり賞賛と感動の輪から追い出されちまった。


こうして見るとじいさん頭一つ以上デカいなー。

いや、頭一つどころじゃねぇな。

背一つ?

とりあえず周りの冒険者どもの1.5倍はある。体格は例えるなら、槍投げの選手の様な、見事な逆三角形で、それでいて2m強はあろう巨躯。そんな厳ついボデーだ。


手に持つ得物は大昔の大国とかの剣闘士とかが使っていそうな、グラディウスとかいったっけな?刃渡りだいたい60cm位で、両刃で肉厚な剣だ。

そんないいガタイしてんだからでっかくて太っとい大剣、バスターブレードでも振り回せば?って言ったものだけど、じいさん曰く、

「こんぐらいの方が己の力が乗りやすい」

……だそうで。


バスターブレードいいと思うんだけどなぁ。浪漫だよなぁ。


……ってぼやいてたら、浪漫より命だそうで。ごもっともでござんすなぁ。


そうこうしているうちにあの大きな背中の、大きなじいさんがやって来た。

「おう、そこに居ったのか。さて、帰るとしようかの、トータローよ」


俺の横を通りつつ、そういった。

歩幅の大きいじいさんに追いつこうと俺もその背中を追った。


じいさんに追いついて、横に並んで歩く。

「のう、トータローよ。お前を拾ってから早、三年になるか。にしてもちと育ち過ぎじゃないかの?」

「なにが?」

「ほーんの少し前まではこんくらいだったろ?」


じいさんは人差し指と親指で10cm程の大きさを示す。


「じじい、いくら何でも小さすぎだろ、そりゃ」

「そうかのぅ?んにしても、言葉が乱暴じゃのう。ちと前までは父上〜父上〜と可憐な声で呼んでおったのにのぅ。いとおかし。いとおかし。」

意味わかってんのかこのジジイ……


何にせよ確かにジジイの言う通り、俺は育ち過ぎだ。たった三年前に拾われた赤ん坊が、今や170cmはあろう大きさに。言語に文字に、処世術、何でもござれの3歳児とありゃぁ、異常極まりない。


まぁ、もっとも2m強の外見年齢30台のムキムキダンディーオジサマが、実年齢90ちょいの腰痛持ちのジジイだって事も、負けず劣らず異常なんだけどさ。







目を覚ませまばそこはまな板の上。

材質、ざらざらの木のまな板の上。材質人肌のまな板ならまだ許せたものの、木である。挙句の果てに頭上には包丁掲げた、しわくちゃの爺さん。死神ですか?

もしかして人生オワタ?


とか思ってたら爺さんは包丁を掲げたその姿勢で後ろに倒れた。目をカッと開いたまん丸おめ目のまんまで。


恐ろしい表情をした死神爺さんが視界から消えたのに安心して気が緩んだのか急な睡魔が襲ってきた。


死神って包丁持った爺さんなの?バンカイしないの?和服じゃないのー……


とか凄く楽天的な事を考えながらも、視界は暗転して行った。

赤ん坊は気迫(?)で死神(?)を倒した!

赤ん坊は睡魔に勝負を仕掛けられた!

睡魔のこうげき!

赤ん坊はすいみんにかかった!



睡魔最強説。

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