MP?いえいえ、恐怖です。
魔法…
RPGの世界なんかではよくある便利な能力?である。炎を出し、空気を凍らし、ものを宙に浮かせる。
ファンタジーの世界だけの設定だと思っていたが流石魔界とだけあって、魔法が存在するらしい…だがその使用に消費するのが…
「人間の恐怖…って人間の恐怖。便利すぎるだろ!!」
セバステンによると、人間の恐怖は魔物の空腹を満たし、貯めることもでき、魔法の使用のさいに消費し、そして…
「魔界における通貨にもなっているのです。そうですね…あなたの今までの恐怖が1フィアーくらいですかね…あっ、フィアーとは魔界での通貨単位です。」
セバステンが背筋とピンっとたてて説明する。横ではザムさんが拍手をしている。
いやいやザムさん、地面から手を出して拍手は相当シュールな絵面ですよ…
「それで、転生魔法というのを使えば俺は帰れると?」
「はい!そうです!」
セリナがにこやかに身体を揺らしながら、俺の質問に答える。それと同時に尻尾が小刻みに揺れる。正直可愛い…
「拓也殿…」
セバステンがジト目で見ている。
こほん
少し咳払いをして、セバステンに質問をする。
「それで、どうすれば転生魔法ってのを使えるんだ?」
「………」
セバステンは無言で目をそらす。
???
疑問に思いながらもセリナの方を向く。
「………」
セリナも目を伏せている。
そのまま、ザムさんの方に目をやる。
「………」
まるで洋画の外人がするような、さっぱりのポーズをしていた。
ザムさん、だからその絵面はシュールだよ…
俺が困っていると、セリナが口を開く。
「い……く…」
「えっ?なに?」
セリナの声はつぶやくようで、小さく、よく聞こえない。
「いち…く」
???
「えーと、もう少し大きな声で!」
「一億フィアー必要なんです…」