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ホラー?いえいえ、コメディーです。

「あのぉ…大丈夫ですか?」


真っ暗な意識の闇の奥から声がする。


「えぇーと、起きないよ…どうしよぉ…えーと、えい!!」


突如頰に冷たさを感じる。


「ひやぁっ!」


自分でも驚くような声が出て目がさめる。


ペタッ………


俺の顔の上からこんにゃくが落ちる。


困惑しながらも周りを見ると、さっき墓場の奥の方に見かけたような洋館の一室に俺はいた。


部屋の奥には暖炉があり、壁に着いているランタンが部屋を赤々と照らしている。そしてその部屋の中心。まぁ、いわゆる俺の隣に、さっき見た髪の長い女が座っていた。


「ひっ………」


一瞬悲鳴を上げそうになるが彼女の顔を見て声を抑える。


「大丈夫ですか?」


彼女はとても可愛い顔をしていた。さっきまで不気味さを醸し出していた黒く長い髪は艶やかに彼女の背中に垂れ、先の方で赤い小さなリボンでまとめられていた。白く細い腕もとてもしなやかで艶やかにうつる。頰は薄っすらと赤づき、透明な目が俺を見ていた。


「えーと、私の顔に何か付いていますか?」


彼女が問う。あまりの美しさに気を取られていたが、はっと意識が戻る。


「あっ、いや大丈夫だ。えーと、ここは何処?君は誰?」


とりあえず、当たり障りのない質問、まぁ実際に一番聞きたいことなのだが…を聞いてみる。彼女は幽霊なのだろうか?


「えーとここは……何処だろ?いやえーとね、何処なのかは私、分かってるんだよ。でも…人間さんになんて説明したらいいかー…?」


彼女は首をくいっと傾けて俺の顔を覗き込んでくる。咄嗟に目をそらす…しょうがないだろ、こんなに可愛い子に顔をまじまじと見られたことなんてないんだから……


「失礼ですがお嬢様。普通にゲームの中で構わないと思いますよ。」


後ろから少し低めの男性の声が聞こえる。後ろを振り向くとさっき胴体のなかった男の顔……



とそれがくっついた体がそこにはあった。執事のような格好とお嬢様様というセリフはばっちりとその姿に似合っている。


「えーと、そうなのですか?えーとじゃあここはゲームの中です。」


っと、そんなことを考えているうちに説明が進んでいく。なるほど…ゲームの中かー…


「って、いきなり言われて信じられるか!!!」


「きゃっ…」


「お嬢様になんてことを!」


思わず叫んでしまった俺の声に驚いた彼女は悲鳴をあげてしまい、後ろから執事に制せられてしまった。


「あっいや、ごめんよ。でも、いきなりゲームの中って言われても…なぁ?」


そう言って彼女の方を見ると…


「うぅ…ヒック………ヒック……」


泣いていた…


「えっ、いやごめん。そんなに驚いの。大丈夫か?」


女の子を泣かしてしまったという事実に俺は少し戸惑う。


「あぁー…お嬢様…おいたわしや…うちのお嬢様は他の人に比べて怖がりなのです。いきなり大きな声を出すようなことは慎んでいただかないと…」


怒られてしまった…先ほどあんなに驚かされたことを思うと少し理不尽な気がしたが、泣いている彼女を見ると申し訳なさでいっぱいになる。


「なぁ、もう大きな声出さないから。ごめんな。泣き止んでくれよ。」


そう言って彼女の頭を撫でる。


彼女は首をコクンと小さく振るとその白く細長い手で涙を拭うと


「うん、ごめんなさい。急に泣いちゃって…私 セリナっていうの。今からちゃんと説明しますね…」


「私めはセリナ様の執事を務めさせていただいております。セバステンと申します。よろしくお願いします。」


さっきまでは気付かなかったが、セバステンの足元はに、俺の足を掴んだ手首が二つ並んでいた。


お辞儀をするように両の手のヒラを俺の方へたれてくる。何故かその動きには優雅さというか、カッコ良さを感じた。


「こちらは、ザムさんです。すこしシャイで普段は手しか地面から出しません。」


セバステンが説明してくれる。いや、すこしシャイどころではないと思うが…


「あっ、えーと、鳴上(なるかみ) 拓也(たくや)と言います。よろしく?」


自己紹介をされてたので釣られて俺も自己紹介をする。


最後少し疑問系になったのは普段することのない自己紹介に少し戸惑ったからだ…


とりあえず俺は彼女…いや、セリナの話を聞いてみることにした。


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