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夕焼けの分かれ道
あるところに 若い旅人がいた
旅人は真っ赤な西日に向かい ひとつの分かれ道にやってきた
道ばたにひとりの老人がいたので 旅人はこう尋ねた
右の道はどこへ続いているのですか と
どこへでも 老人はそう答えた
それならば と旅人は続けた
左の道はどこへ続いているのですか
どこへでも 老人はまたそう答えた
旅人は少し考えた後 もう一度老人に尋ねた
もし私がどこへでも行くことができるなら
右の道を選んでも 左の道を選んでも 同じことではありませんか
老人は何も答えなかった そこで旅人は質問を変えた
右の道を行くと 幸せになれるでしょうか
なれることもあるし なれないこともある 老人はそう答えた
では左の道はどうでしょうか
全く同じこと 老人はそう言って口を噤んだ
旅人はしばらく考えて 最後にこう尋ねた
より真理に近いのは どちらの道でしょうか
右だ 老人がそう答えたので 旅人は右の道を選んだ
ある秋の夕暮れのことだった