唐突な旅立ち No,3
自分の体を包む炎。
美由は思わず目を瞑る。
―――死なせない。
頭の中に声が響く。
「え?」
次の瞬間、体を包んでいたはずの炎が消え去った。
「な・・・・!?」
キザルが目を丸くする。
「サムシール、お前・・・何で魔法を止めた・・・?」
サムシールと呼ばれた男が首を振る。
「止めたんじゃない。止められた。分かるだろ?その違い」
「・・・まぁいいや」
「もうさっさと殺った方がいいね」
サムシールが再び炎を出す。
また美由の体を炎が包む。
―――無駄。
またしても炎がかき消される。
「僕、魔法間違えた?」
「いや、あってるぜ」
美由も何が起きたか分からなかった。
「ふむ・・・」
さっきからただ見てるだけだった男が前に出る。
むき出しになっている腕は筋肉以外何も付いていないのではないかと疑うほどだ。
「リュウゼン、俺がやる」
「サイカン、お前に出来るのか?」
「力でねじ伏せる」
「お前らしい考えだ」
リュウゼンと呼ばれた男は鎌のような腕を引っ込め、後ろに下がる。
サイカンと呼ばれた男が近付いてくる。
「粉砕、完璧で最善な殺し方だ」
そう言うとフックのように横から殴りつけてくる。
海斗はよけようと思ったが間に合わない。
頭蓋骨が砕ける。
そう思った瞬間、再び何かによって妨げられる。
「むっ!?」
またしても数センチの所で止められる。
「サイカン、もうやめだ。きりが無い」
「見逃すのか?」
「そうは言ってない。ゲートを使うぞ」
「・・・わかった」
「しつこい・・・」
サムシールは何回も炎を出現させ、美由に振り落とす。
だが何度やってもかき消される。
「・・・サムシール、ゲートの準備だ」
キザルが手をかざす。
「リュウゼンたちもギブアップかい?」
「そうらしいな」
「準備動作はいらないよな?」
「一気に吸い込もう」
サムシールも手をかざす。
そして声が重なる。
『ゲート!』