前触れ No,3
何事も無く学校が終わり、家に帰ろうと歩き出した瞬間、誰かに呼び止められる。
「おい、海斗!」
振り返ると同級生が興奮した顔で走ってくる。
正直、気持ち悪かった。
「何だよ、き・・・」
『キモいな・・・』と言おうとしたが止めた。
「今から、みんなで見に行くんだけど、お前も行く?」
大体察しは付いた。
授業中、クラスの噂好きな奴等が話していた。
この近くでクレーター事件があったとは・・・
「え・・・面倒臭い」
「こないつもりか?じゃぁお前が学校の窓割ったこと校長に話すぞ?ん?ん?」
それだけはご勘弁だった。
俺が割ったガラスはかなりでかい。そして高い。
出来れば知られたくない。
「わかった。分かったから絶対言うな」
「何か、焦げ臭いな」
同級生が鼻を押さえながら言う。
クレーターに近付くにつれ、焦げくさい匂いが強くなってきた。
既に野次馬が増えているらしく、車や自転車がそこら中にとめてあった。
人込みが見えてくる。
「お、あそこだ!」
同級生が走り出す。
俺は普通に歩く。
人込みを掻き分けながら、見えるところに移動する。
「うわぁ・・・」
思わず声が漏れた。
テレビで見た時よりも遥かに大きかった。
「でかいなぁ・・・」
同級生が口をぽっかりあけながら感嘆の声を漏らす。
―――ピシィッ
何かに亀裂が入ったような音がする。
「おい、何か聞こえなかったか?」
俺は同級生に返答を求める。
「え?何が?」
―――ピシィッ
「いや、だから・・・」―――ピシィッ
また音が聞こえた。
―――ビキッ
音が変わった。
―――ビキビキッ
―――バシィッ
「うわぁ!!?」
突如野次馬が何かに吹き飛ばされる。
当然、俺も同じ目に遭う。
尻餅をついて何が起こったか理解しようとする。
「空間裂傷が終わった」
後ろで声がする。
「次は、ゲートを開くぞ」
後ろを見るとローブを着た男が2人、立っていた。
最後部分が4人の男になっていたので(4人いられると矛盾が出るので)2人に修正しました^^;