3話〜疑いの眼差し〜
僕は2人を見送った後、保健室へ行った。
ガラガラ…
僕「失礼します。
あの、またお腹が痛いので痛み止めだけでも頂けませんか?」
そう、さっき2人に蹴られたところがまだ痛かった。
叩きつけられた時にできたおでこの傷は、何とか髪の毛で隠せれる。
せっかく友達になれたんだ、心配かけないようにしなきゃ。
保健室の先生「あら、君は昨日の陽真くんだったわね。
まぁ昨日の今日だから仕方ないけど、
あまりあげられないから今日は特別よ」
と薬箱から痛み止めを出してもらった。
僕「ありがとうございます。では失礼します。」
僕は保健室を後にし、体育を受けるべく着替えないといけないため、
教室へ向かった。
ガラガラ
僕が教室に入ると、着替え中の男子が何人かいた。
だが、僕を見ると気まずそうにしていた。
あぁ、昨日のことや今朝の落書き、さっき呼び出されたからまたいじめられたと思ってるのか…。
仕方ないな。
僕は自分の席へ行き、着替え始めた。
体育の授業。
今日は男女共に体育館で授業だった。
体育館を半分に分け、男女別々でバスケットだった。
チーム分けは先生が適当に分けていた。
各チームで練習していたが、どうにも気まづい。
パスの時は『陽真』と行って渡してくれるが、あとは他の4人で楽しくやってた。
やっぱりあの2人以外は友達作れないのかな。と心配していた。
試合を行う。
僕は運動が苦手という訳ではないので、そこそこ動いて点を取った。
クラスメイトA「陽真、お前すごいな。」
クラスメイトB「意外と動けるんだな。」
など、声はかけてくれるがやっぱりみんなの言葉が冷たく聞こえる。
試合の合間、壁際で休んでると桃園さんと青森さんのチームが試合していた。
2人とも体育シューズをキュッキュ鳴らしながら、
桃園「C子!こっちパス!……ナイス!」
青森「しおり、こっち!」
と他のチームメイトにも声をかけてる。
昼休みのご飯前と比べ、すごく楽しそうにしてる。
でもほかの女子は…
クラスメイトD子「なにあれ、陽真くんいじめてスッキリしたからあんなに楽しそうにして…」
クラスメイトE子「ねー、自分たち何やってるか分かってるのかしら」
と怪訝な目で見られてる。
2人の試合が終わると、僕を見つけてこちらにやってきた。
桃園「やっほー陽真!試合見てくれてた?」
青森「私たちこれでも元運動部なの」
僕はびっくりした。
桃園さんは活発で運動部って聞かれても納得はするけど、
青森さんはどちらかというと文化系の部活に入ってそうなイメージだ。
僕「そうなんですか!?
桃園さんは活発なので、わかるんですけど青森さんは文化部ぽかったんで…。
すみませんなんか勝手に」
青森「謝らなくていいよ、よく言われる。
ギャップがすごいって」
と微笑んでくれた。
桃園「陽真…その昨日と今日、すまなかったな。
蹴ったり落書きしたり…。」
青森「私もごめん。髪痛くなかった?おでこ怪我してない?」
と青森さんが僕の方に近づき前髪をあげようとした。
やべっ怪我してんのバレる!?
と思い、咄嗟に避けてしまった。
僕「だ、大丈夫です!怪我しててもこんなのかすり傷なので!」
と誤魔化してしまった。
2人は本気で謝って心配してくれてるのに何やってるんだろ。
2人は申し訳なさそうに俯いてしまった。
僕「もう、この話はやめにしませんか?
僕は大丈夫ですし、僕ら友達になったじゃないですか。
だからそんなに気を落とさないでください。」
と2人に微笑んだ。
そう、本当に気にしてない。気にする必要が無いからだ。
クラスメイトA「おい、あいつら見ろよ…またいじめてんじゃないか?」
クラスメイトB「懲りないやつらだな…」
クラスメイトC子「陽真くん、可哀想。」
クラスメイトD子「またあーやって表では良い子にして、
裏ではいじめてるよきっと」
クラスメイトE子「私もそう思う。けど、言ったら今度は私たちがいじめられちゃうよ…」
クラスメイトの言葉が僕の方にも聞こえる。
多分2人も聞こえてるけど、聞いてないふりしてるんだと思う。
桃園さんが少し困った顔でこちらを向いてきた。
何か言いたそうな顔。
桃園「ありがとうね。そう言ってくれて…友達だもんね」
青森「うん、友達。だけど謝らせて欲しかったの」
青森さんもすごく反省してるようだった。
クラスメイトが何言おうが、僕には関係ない。
2人は反省して改心して、そして友達になった。
それだけでいい。
キーンコーンカーンコーン
授業が終わり、僕らはそれぞれ着替えに戻った。
僕は汗ばんだシャツを変えるため、一旦上裸になった。
クラスメイトF「おい、あれ見ろよ…あざじゃね?」
クラスメイトG「うわ…ほんとだ。まぁ昨日勢いよく蹴られてたしな…」
男子のヒソヒソ話が普通に聞こえる。
もう少し小さく話せれないのだろうか。
僕は気にせず着替えを終わらせた。
女子が戻ってきた。
けど、2人はまだ元気がなくなんだか心ここに在らずという感じだった。
何か他の女子に言われたのだろうか。
見て見ぬふりして、自分たちが有利になれば悪口いって…。
いじめと変わんねーじゃん。
キーンコーンカーンコーン
女子が戻ってきてすぐ、6限が始まった。
6限は英語だったが、体育の後のこともあり何人か寝てる人はいた。
僕も眠気と戦っていたが、気づいたら授業は終わっていた。
HRになり、GWの過ごし方を言われた。
『生徒たちだけで、旅行やお泊まりは控える事』
『各教科から宿題が出てると思うがきちんとやって連休明けに提出する事』
『ハメを外して周りに迷惑をかけないこと』
そう先生言ってHRを終わらせた。
あっそっか、明日からGWか。2人はどう過ごすんだろうか。
僕は帰る支度し、昇降口へ向かった。
ブブッとスマホが震えた。
なんだろと見ると2人からグループRAINが入ってた。
3人のグループRAIN
桃園『陽真、お疲れ様!明日からのGWはどう過ごす?』
青森『私たちは出かける予定無いから、3人で遊んだりしない?』
すごく嬉しかった。すぐに返信しようとした時。
後ろから桃園さん達が声をかけてくれた。
桃園「いたいた!陽真!ちょっと待って!」
青森「話があるから、聞いて欲しい。」
と僕を見つけると駆け寄ってくれたみたいだ。
少し息を整え2人は続けた。
桃園「あのー私たち陽真と友達になったじゃん?
それで体育の後、女子には誤解といておこうと思って話したんだけど…」
目線で青森さんの方に向ける。
青森さんは目線を受け取ると続けて話してくれた。
青森「私がそう言わせてるじゃないかって、
信じられないってみんな疑ってて。
ねぇ陽真!お願い!みんなの誤解を解いて欲しいの…」
2人は本気だ…本気で反省して相談してくれている。
それなら素直に相談に乗るしかないよな。
僕「わかった。まだみんなは教室にいる?」
と2人はすごく嬉しそうに明るくなった。
桃園「うん、まだいるけど何人かは部活行っちゃって…」
僕「それじゃ、今いる人だけでも誤解といておきましょう。
あとは都度対応していけば問題ないですよね?」
青森「うん、それなら。大丈夫だと思うけど。」
僕らは教室へと戻った。
ガラガラと教室に戻ると、10数人は残っていた。
桃園「みんな聞いて欲しい!
女子には体育の後話したけど、私たち友達になったの。
もういじめはやめたの!」
青森「そう。だから陽真に証明してもらおうと、連れてきたの。
お願いだから信じて!」
2人の話を聞いたクラスメイトは誰も返事せずシーンとしていた。
するとある生徒が口を開いた。
クラスメイトA「んな、信じれるわけないだろ。
お前ら2人、中学からこんな事やってたんだろ?噂になってたぜ。」
クラスメイトC子「そうよ、それに証明して貰うって言ったって、
また、脅してそう言わせてるんでしょ?」
クラスが2人に対して攻撃的になってきた。
2人はぐうの音も言えずに、涙目になっていた。
すごく胸が痛い。なんでここまで2人が…。
もういじめはしないって言ってるのに。どうして…。
僕は我慢にならず口を開いた。
僕「じゃぁ君たちは、なぜ止めなかったんですか!
なぜ見て見ぬフリをした!
そんなに嫌で、迷惑してるなら28対2で止めれば良かったじゃないですか!
どうせ自分たちが次はいじめられるとか、とばっちり食らったら嫌だからとか
そんなしょーもない理由で放置してたんでしょうが!
」
僕は少し冷静になるように深呼吸した。
僕「最初は僕だって、許せなかった。
どうして普通に暮らしてるだけなのに、蹴られるんだとか。
悪いことしてないのに落書きされるんだろうとか…
そう思ってました、今日までは。
2人は寂しかったんです!
だけどどうやって接していいか分からなくて誰かをいじめることで寂しさを埋めてたんじゃないかと思ってます。
そう思って僕は、自分自身で解決しなきゃと思ってたんです。
だから友達になって2人を止めなきゃと思ったんです。
そんなに疑うなら、疑ってもいい。だけど2人が困るようなことはやめてください。」
僕はもう必死で訴えた。
護って貰えなかった事、2人が寂しかった事、友達になって助けようと思った事。
全て話した。けどまだクラスメイトは心を開けないままでいた。
クラスメイトB「陽真の気持ちはわかった。
仮に本当だとしても俺たちはまだ、信じられない。」
クラスメイトE子「そうだね。
授業の時は普通に接するけど、まだ疑ってるから。」
そう、これでいい…これだったら2人はまだ過ごしやすくなる。
2人の方に僕は振り返った。2人はまた、泣きそうな顔になってた。
けどそれは悲しくて、悔しいくて、怖い涙じゃなく嬉し泣きだった。
桃園「ありがとう…陽真。みんなにはまだ理解されなくても大丈夫。陽真がいるから…。」
青森「そう…私たちがやった事は本当に許されることじゃないけど、陽真がそう言ってくれて嬉しい。」
僕は2人に近づき、すごく焦りながら2人の手を掴んだ。
僕「な、泣かないでくださいよ。僕はそんな当然なことしたまでなので…」
僕はクラスメイトの方に顔を向けた。
僕「皆さん話聞いて頂いてありがとうございました。
僕たちは帰るので、それじゃ」と言い2人のカバンを取りに行き昇降口へ向かった。
桃園「本当にありがとう。陽真。
私たちを信じてくれて。」
青森「ありがとう。
時間はかかるけどクラスメイトの誤解を解くように頑張る。」
2人には笑顔が戻ってきてくれてた。
すごく嬉しそうに僕に微笑んでくれた。
僕「理解して貰えるよう頑張りましょう。」
青森「ところで陽真。今日時間ある?一緒に帰りたい。」
桃園「あ!良いね!陽真一緒に帰ろう!」
僕は耳を疑った。一緒に帰る?友達と?
初めて出来た友達と一緒に帰る?
僕はその言葉を理解するのに時間がかかった。
僕「ぜひ!一緒に帰りましょう!」
僕はものすごく目を輝かせてた。本当に嬉しいんだ。
桃園「プフっ…陽真喜びすぎ。」
青森「友達だから、一緒に帰るの当然。」
2人はそう言ってくれたけど、やっぱり嬉しかった。
僕らは仲良く下校した。
その光景を校舎の廊下から誰かがみていた。
???「あれはしおりとりほ?…チッ…
なんで、いじめてるやつと帰ってんだよ…クソガ。」




