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第7話

その2


オヴァロンが倒れた後、悠希と紀更は一瞬の静寂に包まれた。周囲に漂う黒い煙が濃くなり、二人は無意識にその煙を警戒しながら、呼吸を整えようとした。


「…何か、まだ終わってない気がする。」

悠希が不安そうに呟くと、紀更も視線を鋭くして頷いた。

「うん、なんか怪しい感じがするよね。」


その瞬間、倒れたオヴァロンの体から黒い炎が噴き出し、空間を歪ませながら上昇していった。その炎が空を覆い、まるで時間が歪んだかのように周囲の景色が変わり始める。


「こ、これは…!?」

悠希はすぐに剣を構え、紀更もレイピアを手に取る。何かが起こる、その直感が二人を包み込んだ。


そして、黒い炎が一気に凝縮され、目の前に現れたのは――オヴァロンの真の姿だった。最初の巨大な姿からさらに膨れ上がり、今度はその目が金色に輝き、口からは黒炎を吐き出す準備を整えていた。


「フロアボス、第二形態…『黒炎竜オヴァロン・改』!」

悠希がその名を呟くと、紀更は歯を食いしばった。

「やっぱり…倒したと思ったら、これだよ…!」


黒炎竜オヴァロン・改は、その鱗が一層強固になり、頭部には鋭い角が生え、さらに凶暴な雰囲気を醸し出していた。火を吹くたびに周囲の空気が熱く、焼け付くような感覚が二人の体を襲った。


「悠希ちゃん、気をつけて!」

紀更が叫びながら、一瞬で竜に駆け寄る。

「リニアー!」

中段から突き出し、竜の肩に斬撃を加えるが、その鱗があまりにも硬すぎて、浅く傷をつけただけだった。


オヴァロン・改はすぐに反応し、その巨大な尾を大きく振り回す。紀更はその尾に巻き込まれないように、素早く後ろに跳ねるが、尾の一部がわずかに紀更をかすめた。


「うっ…!」

紀更は地面に転がりながらも、すぐに立ち上がる。

「まずい、攻撃が通らない…!」


悠希はその光景を見て、焦りながらも冷静に対処する。

「紀更、無理して前に出ないで! このままじゃただの打撃戦だよ。」


紀更は口を開けて反論しようとしたが、その時、オヴァロン・改が巨大な翼を一振りした。強烈な風圧が二人を押しやり、悠希と紀更はその場に倒れ込んだ。


「くそっ…! これじゃ、隙をつけない!」

悠希は何とか立ち上がり、周囲を見渡す。オヴァロン・改は一度空中に浮き上がり、再度その火を吐く準備を始めていた。


紀更もその動きを見て、冷静になった。

「悠希ちゃん、あれを狙おう!」

紀更が指さしたのは、オヴァロン・改の胸元にあるわずかな隙間。鱗の合間に、小さな傷がいくつか見える。それは、おそらく最初の戦いで悠希がつけた傷痕だろう。


「了解!」

悠希はすぐに駆け出し、片手剣を構える。

「バーチカル!」

斜めに切り込んだその剣が、オヴァロン・改の傷ついた部分にかすり、さらに裂け目を広げる。その瞬間、オヴァロン・改が激しく吠え、黒炎を放つ。


「くっ…! こっちに来ないように避けろ!」

悠希は反射的にその場を飛び退き、紀更もすぐに後ろに下がった。


「よし…、今なら!」

紀更はその隙に一気に駆け込む。

「ストリーク!」

上段から突き出したレイピアが、オヴァロン・改の胸部に深く突き刺さった。だが、竜はすぐにその攻撃を振り払おうとし、紀更は力強く踏ん張りながら、さらに力を込める。


「この隙を逃さない!」

悠希が叫び、再度片手剣を振り下ろす。

「スラント!」

縦に斬り込み、オヴァロン・改の胸部を大きく引き裂いた。


その瞬間、オヴァロン・改は力尽きたように空中で揺れ、爆発的に煙を吹き出しながら地面に倒れる。悠希と紀更はその爆風に吹き飛ばされるが、必死に耐え、立ち上がった。


「倒した…?」

紀更は肩で息をしながら確認するが、オヴァロン・改はまだ完全に倒れたわけではないことを悟った。


「まさか、これで終わり…?」

悠希も警戒しながら、剣を握り直す。すると、オヴァロン・改の体が再び震え、巨大な爪が地面を引き裂く音を立てて、再び動き出した。


「…まだだ。」

悠希の目が鋭くなる。

「この戦い、まだ終わってない!」


オヴァロン・改が再び動き出した瞬間、悠希と紀更は息を呑んだ。巨大なドラゴンが、今まさに最期の力を振り絞ろうとするかのように、鋭い目で二人を見据えていた。


「これ、どうする?」

紀更が息を切らしながら、悠希に問いかける。

「すぐに倒さないと、間違いなくもっと危険なことになる!」


悠希はすぐに冷静になり、片手剣を握りしめながら言った。

「やるしかない。紀更、最後の一撃を決めるぞ! 俺が引きつけるから、その隙にお前が攻撃しろ!」


紀更はしばらく迷ったように目を見開くが、すぐに決意を固めた。

「うん! 私、信じてるよ!」

彼女は、力強く頷いてレイピアを構える。


オヴァロン・改が再び巨大な翼を広げ、その鳴き声と共に、周囲の空気が揺れ動く。黒炎が口から漏れ、悠希と紀更の周囲に強い熱が走る。


「来るぞ!」

悠希は一気に駆け出し、オヴァロン・改に接近。

「スラント!」

片手剣で竜の前足を狙って斬りつけるが、その硬い鱗に弾かれ、少しもダメージを与えることができなかった。


オヴァロン・改が反撃しようと、頭を下げて悠希に噛みつこうとする。しかし、悠希はその隙を見逃さず、すぐに後ろに跳ねて回避する。


「今だ!紀更!」

悠希が叫ぶと同時に、紀更が鋭く飛び込んでいった。


「ストリーク!」

上段から強烈に突き出したレイピアが、オヴァロン・改の首元に突き刺さる。だが、竜の体は動かず、紀更の攻撃はさらに深く入り込む。紀更は全身に力を込めて押し込んだ。


その瞬間、悠希が一気に駆け寄り、片手剣をオヴァロン・改の喉元に突き刺す。

「バーチカル!」

斜めに振り抜いた剣が深く突き刺さり、竜の内部で音を立てて裂け目を広げていく。


オヴァロン・改が再度吠え、暴れようとするが、紀更がその隙間にもう一度突き出す。

「リニアー!」

紀更の突きが、オヴァロン・改の心臓に向けて突き刺さる。竜は最後の力を振り絞り、反撃しようとしたが、力尽きて大きく崩れ落ちた。


その瞬間、竜の体が爆発的に煙を吹き上げ、悠希と紀更はその爆風に巻き込まれそうになり、必死に後退した。


「終わった…」

悠希は肩で息をしながら、オヴァロン・改の巨大な体を見つめた。最初は恐れていたフロアボスだったが、今やその死に様を目の前で確認することができた。


紀更も息を整えながら呟いた。

「倒せた…本当に倒せたんだね、私たち。」


その言葉に、悠希は少しだけ笑みを浮かべて言った。

「うん、でも油断はできない。まだ何があるか分からないから。」


その時、空気が変わり、何かが二人の周囲に現れる。煙の中から光る物体が浮かび上がり、それはオヴァロン・改の死により現れた報酬だった。


「お、これは…!」

悠希が目を凝らすと、浮かび上がってきたのは巨大な鱗の一部と、竜の眼から滴るように流れる青い液体だった。


「これは、ユニークアイテム?」

紀更が目を見開き、ゆっくりとそのアイテムに手を伸ばす。二人は自然にそのアイテムを手に入れることができた。


その瞬間、システムメッセージが表示される。


「フロアボス『黒炎竜オヴァロン・改』を討伐しました。」

「経験値を獲得しました。レベルが2上がりました9→11」

「経験値を獲得しました。レベルが2上がりました9→11」

「LAボーナスを獲得しました。」

「ユニークアイテム『竜の鱗』を獲得しました。」


「竜の鱗…? これ、すごく重い。」

紀更がその鱗を手に取ってみると、思った以上にずっしりとした重さが感じられた。


悠希もそのアイテムをじっと見つめながら、少し考え込む。

「これ、後で村に戻ったら、武器や防具に加工できるかもしれないな。」


紀更が嬉しそうに頷く。

「そうだね! この鱗を使って、新しい装備が作れるなら、次の戦いがもっと楽になるかもしれない!」


二人はそのアイテムを持ち帰る決意を固め、戦利品を収めると、再びフロアボスが倒された場所を後にする。


「さて、次は第二層に進む準備だな。」

悠希が振り返り、紀更を見つめながら言った。


紀更もその言葉に頷きながら、笑顔を浮かべた。

「うん、私たちなら大丈夫だよ!」

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