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第18話

第三層のクエストを乗り越えた悠希と紀更は、疲れた体を引きずるように街「ズムフト」の宿屋へと戻った。遺跡でのクエストの後、二人はようやく一息つくことができたが、まだ新たなクエストは待っているという現実が彼女たちを休ませることはなかった。


「これからどうする?」

悠希が部屋で横になりながら言った。まだクエストの疲れが残っているのか、彼女の顔には少し安堵と共に次への覚悟が混じっていた。


紀更は窓から見える外の風景を見つめながら答えた。「次のクエストに進むのはいいけど、私たちが進むべき道はまだ決めてないよね。」


その時、部屋の扉がノックされ、二人は顔を見合わせた。誰かが訪ねてきたようだ。


「入ってもいいか?」

扉の向こうから、神崎凛の声が聞こえた。二人は驚きながらも、「どうぞ」と答え、扉を開ける。


凛は、穏やかな表情を浮かべながら部屋に入ってきた。彼女の後ろには、少し緊張した様子の仲間たちがちらりと見えた。


「ちょっと、話があって来たんだ。」

凛は軽く笑いながら言うと、部屋の真ん中に足を踏み入れた。


「話?」

悠希が少し警戒しながら聞き返す。


「うん、正式に話すことに決めたんだ。私たち、ギルドを作ることにした。」

凛がきっぱりと宣言した。彼女の言葉に、悠希と紀更は少し驚きの表情を浮かべた。


「ギルドを作るって?」

紀更が目を細めながら尋ねると、凛は真剣な顔をして答える。


「私がリーダーになって、みんなでギルドを作る。強い仲間を集めて、協力していけば、これからのデスゲームを乗り越えられると思う。」

凛は言葉を選びながら続けた。「もちろん、全員が協力するからこそ、力を合わせて勝ち抜いていくことが大事だって思ってる。」


「なるほど、でも…」

悠希は腕を組みながら言った。「俺たちはギルドに参加するつもりはないんだ。」


紀更もすぐに答える。「今は、自分たちのペースで進みたいから、ギルドには入らない。」


凛は少し考え込み、しばらく黙っていた。だが、その後、にっこりと笑って言った。「わかってるよ、悠希、紀更。君たちの気持ちはちゃんと理解してる。でも、私たちがギルドを作ることで、今後どうしても協力しなきゃならない局面が出てくるかもしれない。その時は、頼りにさせてもらうからね。」


悠希と紀更は、お互いに顔を見合わせた。今はギルドに参加しないと決めているものの、どこかで協力する場面が来るのだろう。


「それは、わかるけどね。」

悠希が少しだけ曖昧な笑みを浮かべて言った。「でも今は、俺たちのクエストを終わらせることが先だって思ってる。」


凛はうなずき、「それは私も同じだよ。」と答えた。「でも、ギルドを作ったことで、他の仲間たちが少しずつ集まってきている。それが頼もしいと思う。」


「うん、それは良いことだね。」

紀更が穏やかな笑顔を浮かべた。「私たちも応援してるよ。」


その後、凛は一旦、部屋を離れ、ギルドの計画について仲間たちに詳しく説明を始めた。悠希と紀更は再び自分たちのクエストに戻る準備を整えた。


ギルド作成の話が一区切りついた後、悠希と紀更は再び自分たちの超長編クエストに集中することに決めた。彼女たちの次なるクエストは、エルフの遺跡で続く守護者たちとの戦いだ。遺跡の最深部へと続く道を、今度は岩の守護者が待ち構えている。


「次は岩の守護者か…」

悠希が言うと、紀更も頷く。「ああ、これが最後の守護者だ。倒して、魔物の封印を解くために必要なアイテムを手に入れなきゃいけない。」


二人は新たな決意を胸に、再び遺跡の入り口へと向かう。しかし、途中で予想外のことが起こった。


遺跡の中で、二人が進む道を遮るように、凛とそのギルドの仲間たちが現れたのだ。ギルドの仲間たちは、これから守護者に挑戦しようとしているようだった。


「おお、悠希、紀更!ここで会うとはな。」

凛が笑顔で言った。「私達はギルド結成のためのクエストをしているんだ。」


悠希と紀更は驚きながらも、冷静に答える。「それは偶然だね。私たちも次のクエストに挑むところだ。」


凛は一瞬考え込み、そしてにっこりと笑った。「お互いに頑張ろうな、もしまた鉢合わせしたら、その時は協力しよう。」


悠希は軽く笑い、「もちろん。ギルドに入っていないけど、いい協力関係を築けるかもね。」

紀更も同様に微笑みながら言った。「うん、また会ったら、その時はよろしくね。」


その後、二人は再び進み始める。ギルドを作るという新たな試みと、自分たちの道を進むこと、どちらもそれぞれに価値があり、二人はそれぞれの選択を大切にしながら進んでいくのだった。


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