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第17話

悠希と紀更は、エルシアから渡された地図を手に、最初の守護者「砂の守護者」が待つ遺跡の東に向けて歩き続けていた。街を抜け、しばらく進むと、目の前に広がる砂漠のような風景が二人を迎えた。日差しは強く、風が砂を巻き上げて視界を遮る。


「ここが砂の試練か…。」

悠希が砂地を見渡し、足元を気にしながら言った。彼女の目には、遥か遠くにぼんやりと見える遺跡の跡が映っている。


「砂が舞っていて視界も悪いし、何か仕掛けがありそうだね。」

紀更も周囲を警戒しながら答えた。砂漠のような風景に不安を感じるのは当然だった。


「気をつけて進もう。何が待ち受けているか分からないから。」

悠希は慎重に歩を進めながら、紀更に言った。


二人は砂地を歩きながら、遺跡の入口に到着した。入口には古びた石の門が立っており、その先に広がる暗い通路が続いている。異様な静けさの中、何かが起こる予感が二人の胸を締め付けた。


「ここだね。」

紀更が静かに言うと、悠希はしっかりと頷きながら、入口をくぐった。


遺跡の内部に入ると、すぐに砂の粒子が舞い上がり、視界がさらに悪くなった。壁には古代のエルフ文字が刻まれており、時の流れを感じさせる。しかし、それ以上に気になるのは、空気の重さと静けさだった。


「こんなに静かなのも不気味だな。」

悠希がつぶやくと、紀更も同じように感じていたのだろう。「うん…何か仕掛けがあるに違いない。」


進んでいくと、突如として地面が揺れ、砂嵐のような風が吹き荒れた。二人は防御の体勢を取るが、その瞬間、目の前に巨大な影が現れた。


「ついに来たか。」

悠希が片手剣を構えた。砂の中から現れたのは、巨大な砂の巨人「砂の守護者」だった。その体はまるで砂でできているかのように、透けるような質感を持ちながらも、圧倒的な力を感じさせる存在だった。


「守護者か…」

紀更がレイピアを握りしめて戦闘準備を整える。砂の守護者は、その巨大な腕を振りかぶり、砂を撒き散らしながら悠希と紀更に向かって歩み寄ってきた。


「来るぞ、気をつけて!」

悠希は叫び、すぐにその場を動きながら、片手剣で迎え撃とうとした。


砂の守護者は一撃で周囲の砂を巻き込み、猛攻を仕掛けてきた。その一撃が悠希の目の前で地面を叩き、砂が舞い上がった。悠希はすぐに回避するが、その攻撃力は非常に高く、簡単には避けられない。


「これは…かなり厄介だ!」

悠希はそう感じながらも、素早く 「バーチカル・アーク」 を繰り出し、縦斬り二連撃を行った。その攻撃が砂の巨人にかすめるが、守護者の砂の体がその刃を受け流すように、傷をほとんどつけることができなかった。


「砂の体が硬い…!」

紀更もその強さを感じ取りながら、 「シューティングスター」 で高速突進を試みた。だが、砂の守護者はすぐに足元を変え、紀更をその動きで避けさせる。紀更はそのまま砂嵐に巻き込まれそうになり、急いで飛び退く。


「これだけ動きが早いと、距離を取るのも難しい!」

紀更は苦しげに息をつきながら、レイピアを構え直す。「けど、必ず倒さないといけない。」


悠希はその言葉を受けて、再び剣を構える。「攻撃は通りづらいけど、諦めるわけにはいかない!紀更、準備はいい?」


「うん、今度は決めるよ!」

紀更が笑顔を見せ、再びレイピアを握りしめた。


その時、悠希はふと思い出す。 「シャープネイル!」 のスキルを試す時が来たと。


「これだ!」

悠希は一気に駆け寄り、片手剣を握りしめながら、 「シャープネイル!」 を繰り出した。三連撃の斬り下ろしが砂の守護者に次々とヒットし、その体が揺れる。少しずつ守護者の体にひびが入っていく。


「やった、少し効いてる!」

紀更もその隙をついて 「レムニスケート」 を繰り出し、X字に振り下ろす攻撃を砂の守護者に加える。その一撃がさらに守護者の体に深く食い込み、砂のような体が徐々に崩れ始めた。


砂の守護者がついにその力を失い、砂の塊が崩れるように、光となって爆散した。その後、周囲の砂嵐も静まり、戦闘の終わりを告げるように静けさが広がった。


「倒した…!」

悠希は疲れた表情を浮かべながらも、勝利を噛み締めた。紀更も同様に息をつきながら、レイピアを鞘に戻した。


「これで一つ目の試練クリアだね。」

紀更がにっこりと笑うと、悠希は頷いて答える。「次は岩の守護者か…これからも気を引き締めていこう。」


その時、システムメッセージが二人の耳に届いた。


『試練「砂の守護者」をクリアしました。次の試練へ進む準備が整いました。』


「次も必ず倒す。絶対に勝つよ。」

紀更が力強く言うと、悠希はその言葉に力をもらい、次の試練に向けて決意を新たにした。


これから長編クエストが始まります。


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