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第14話


戦闘はさらに激しさを増していた。ボス「ダーヴァン・ザ・ブレストビースト」の猛攻は想像を超えるものだった。悠希と紀更が繰り出す新たなソードスキルは確かに強力だが、それでもボスの防御と攻撃力には圧倒的な差があった。


ボスの鋭い爪が地面を引き裂き、巨大な角が悠希に迫る。これまでにない速さで繰り出された攻撃に、悠希は一瞬の隙を見せてしまった。


「悠希ちゃん!」

紀更が叫ぶ。しかし、ボスの爪が悠希の肩をかすめ、深い傷を負わせる。血が噴き出す感覚が体を貫いた。悠希は一瞬よろけ、足元がふらつくが、すぐに気を引き締めて立ち上がる。


「大丈夫だ。まだいける!」

悠希は自らに言い聞かせるように、剣を握り直す。だが、その時、後ろから一人の仲間が声を上げた。


「くそっ、こんなところで――!」


颯斗の声が響き渡る。その言葉に続けて、何人かの攻略組メンバーが一斉にボスに突っ込んだ。だが、ボスの怒りの一撃が、彼らの一部を無残に打ち倒した。


「颯斗!」

悠希が叫びながら振り返ると、颯斗が倒れた。仲間たちが必死に颯斗を守ろうとするが、ボスの爪が次々とその身に降り注ぎ、無情にも命を奪っていき、光のガラスの破片となって消えていった。


「みんな、下がれ!」

紀更が叫び、レイピアを振りかぶって敵の攻撃を迎撃する。彼女の目に、怒りと恐怖が交じり合った表情が浮かぶ。


「そんな…こんな…!」

颯斗が死んだことに、他の仲間たちは目を見開き、動揺する。しかし、戦闘は待ってくれない。ボスの攻撃は止むことなく続き、メンバーの一人が盾を構えたが、その盾をあっさりと引き裂かれ、命を落とす。


「死ぬな!死ぬんじゃない!」

悠希は必死に声を上げ、近くの仲間に声をかける。だが、その間にも他のメンバーが倒れていった。倒れる音、絶叫、そして死を迎える仲間たち。悠希の胸は張り裂けそうだった。


紀更は悠希の側に駆け寄り、震えた手で彼女を支えようとする。しかし、その目にも涙が浮かんでいる。


「悠希ちゃん、逃げよう!これ以上、誰も死なせたくない!」

紀更の言葉に、悠希は無言で首を横に振った。彼女の決意は固い。逃げることなんてできない。仲間たちを見捨てて戦うことなんてできない。


「この戦いは、俺たちで終わらせるんだ!」

悠希が強く言い放った。その目は以前のような冷静さを失い、ただ怒りと悲しみが込められていた。しかし、それでもなお、彼女は前を向き、剣を構える。


ボスの攻撃が激しさを増す中、悠希と紀更は、ついに新しいソードスキルを駆使して攻撃に転じた。紀更のシューティングスターがボスに突き進むが、ボスはそのスピードに反応し、鋭い爪で迎撃する。


紀更の攻撃はかろうじてボスの防御を打破し、その隙間を突く。しかし、その直後にボスの角が紀更を狙い、一瞬で彼女を吹き飛ばした。


「紀更!」

悠希は叫び、急いで紀更の元へ駆け寄ろうとするが、ボスがその動きを見逃さない。悠希の目の前で、再び爪が舞い、仲間たちを無情に刈り取っていった。


戦闘が激しさを増す中、悠希と紀更はひとときの隙間も見逃さず、攻撃を加えていった。ダーヴァン・ザ・ブレストビーストはその巨大な体で周囲を振り回し、爪で鋭い一撃を放つ。周囲の攻略組のメンバーたちも必死に戦い続け、少しずつボスの体力を削り取っていった。


死んだ仲間は、消え去るように光となって爆散し、死体は残らない。あまりにも速すぎる死の瞬間に、悠希は言葉を失った。


「みんな、必ず倒す…!」


悠希は自分に言い聞かせるように言い、片手剣を握りしめた。戦闘中、数回のソードスキルでボスにダメージを与えていたが、ボスはなかなか倒れない。だが、その姿勢に変化が現れた。何度も繰り出してきた攻撃の威力が次第に鈍くなり、ボスの動きが遅れてきていた。


「いける!」

悠希は心の中でそう叫び、紀更のほうをちらりと見た。紀更は傷だらけになりながらも、必死に戦い続けていた。彼女の顔には汗と血が混じっていたが、それでも彼女の眼差しは真剣そのもので、何度もダーヴァン・ザ・ブレストビーストに攻撃を仕掛けていた。


「バーチカル・アーク!」


悠希は剣を高く振り上げ、上から下、下から上へと二度斬り込んだ。強烈な衝撃がボスの体に伝わり、ボスは一瞬よろめく。その隙をついて、悠希は続けて次のソードスキルを放つ。


「ホリゾンタル・アーク!」


左右に素早く剣を振るい、ボスの背後に往復する斬撃がヒットした。ボスは後ろに弾かれ、体力がさらに削られていった。


「悠希ちゃん、もう少しだよ!」


紀更が声を上げると、悠希はその声を力に変え、再びソードスキルを放った。


「ソニックリープ!」


悠希は上空へと跳躍し、そのまま片手剣をかざしてボスの顔面を狙う。上段から突き降ろすように剣を振ると、強烈な一撃がボスの頭部にヒットし、ボスの体がグラついた。


その瞬間、ボスはよろめき、そしてついに足元が崩れ落ちていった。


「これで…終わりだ!」


悠希は勢いよく再度剣を振り下ろし、ボスの体を真っ二つに切り裂いた。その瞬間、ダーヴァン・ザ・ブレストビーストは爆発するように光となり、消え去った。


周囲は一瞬の静寂に包まれる。だが、すぐにシステムアナウンスが響き渡った。


『ダーヴァン・ザ・ブレストビーストを討伐しました。』


その瞬間、戦場に静けさが戻った。倒れた仲間たちはすでに光となり、消えていた。その光景を見た悠希は、どこか空虚な気持ちに囚われていた。仲間たちの死に、戦った意味を見出すことができなかった。


紀更がそっと悠希に近づき、優しく声をかける。


「悠希ちゃん…ありがとう。」

紀更のその声に、悠希は軽くうなずきながらも、無言で周囲を見渡す。


その瞬間、システムメッセージが表示される。


『プレイヤー「悠希」のレベルが2上がりました。レベル13に到達しました。』

『プレイヤー「紀更」のレベルが1上がりました。レベル12に到達しました。』


レベルアップのメッセージが流れた。悠希は少しだけ安堵の表情を浮かべ、片手剣を握りしめた。強くなったと感じる瞬間は、いつも戦いの後だった。


その後、システムからさらにメッセージが流れる。


その瞬間、システムが新たに表示する。


『プレイヤー「悠希」へのLAボーナス:ユニークアイテム「クリムゾン・ブレイド」』


悠希はその通知を見て、一瞬だけ目を見開いた。ユニークアイテム、それは間違いなく強力な武器であるに違いない。


「これが…LAボーナスか。」


悠希はしばらくそのアイテムを見つめ、心の中で誓った。ボス戦を経て、彼女は自分の強さに少しだけ自信を持ち、次なる戦いへの準備を心に刻んだ。


紀更が横に立ち、にっこりと微笑みながら言った。


「悠希ちゃん、すごいね!やっぱりあなたが最後の一撃を決めたんだね。」


悠希はその言葉を受けて、少しだけ笑顔を見せる。


「うん、でもこれからも戦いは続く。強くならないと…」


悠希は強い決意を胸に、次の戦いに備えるのであった。


ボスがついに息絶え、戦闘が終わった後の静けさが広がる。


「どうして、どうしてこんなことに…」

紀更は涙をこぼしながら、倒れた仲間たちを思う。


「俺たちが、もっと早く…」

悠希はその場に膝をつき、静かに呟く。彼女の顔にも涙が滲んでいたが、目は無感情で冷たく光っていた。


その時、二人は改めて実感する。デスゲームで生き残るために、これから何が必要なのか。その覚悟が。


ボスの死後、その場に遺されたものはただの破壊と死だった。しかし、悠希と紀更は、今後さらに過酷な戦いが待っていることを知りつつも、進まざるを得なかった。


死ぬシーンをちょっと変更しました


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