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第12話


第二層 主街区。街の広場は賑やかで、次々と集まるプレイヤーたちがボス討伐の準備に忙しい。街の空気は、これから待ち受ける戦いに対する緊張感と興奮が入り混じっている。


悠希は広場を見渡し、既にいくつかのパーティーが集結しているのを確認する。各々が装備を整え、準備を整えながら、ボス戦に向けて気を引き締めている。


紀更が横に立ちながら、「うん、やっぱり緊張するね。第一層のボスとはわけが違う。」と、少し不安そうな顔をして言った。


悠希は頷き、紀更の手を軽く握り返して「大丈夫、二人で協力すれば必ず勝てるよ。」と優しく言った。


紀更はその言葉に少し安心した様子を見せる。だが、少し笑顔を見せつつも「だとしても、しっかり準備しておかないとね。」と気を引き締める。


二人はまず、近くの武器店に向かうことにした。ウルバスの武器店には、剣や槍、弓など、さまざまな武器が並んでいる。店内は金属の音が響き、店主が剣の手入れをしている姿が見える。


「いらっしゃいませ。」店主が顔を上げ、二人に笑顔を向けてくる。「今日はどうした?」


「武器のメンテナンスをお願いしたいんです。」悠希が答えると、店主は頷いて、「ちょっと待っててくれ。」といって、悠希の片手剣を受け取った。


紀更は店内を見回しながら、「うーん、やっぱりレイピアも手入れしてもらおうかな。」と言って、自分のレイピアを手に取る。


「こっちの剣も少し錆びついてるけど、すぐに直せるから心配いらないよ。」店主は悠希の片手剣を丁寧に手入れしながら言った。


「ありがとう。」悠希は感謝の言葉を告げると、紀更とともに店内で待ちながら、他の武器を見ている。


紀更がふと目を留めたのは、光沢を放つ一振りのレイピアだった。「このレイピア、かっこいいね…」とつぶやくと、店主が「それはちょっと特殊な一品だ。だが、ちょっと高いからな。」と教えてくれる。


「それは次の機会にね。」紀更は軽く笑い、今はメンテナンスを優先することにした。


店主の手際よく進む作業で、しばらくしてから、二人の武器がピカピカに磨き上げられた。


「これでいい感じだ。」悠希は片手剣を鞘に納め、試しに振ってみると、心地よい手応えが伝わってきた。


紀更もレイピアを手に取って、軽く振るとその切れ味に満足げにうなずいた。


「これで、準備万端だね。」紀更が満足そうに言うと、悠希も頷く。「うん、後はポーションを少し補充して、準備は完了だ。」


武器のメンテナンスが終わった後、二人は街の宿屋に向かうことにした。戦いの前に少しでもリラックスしておこうという気持ちからだ。


宿屋に到着すると、女主人がにこやかに迎えてくれた。「お二人さん、どうぞごゆっくり。」


「ありがとうございます。」悠希が礼を言い、紀更も軽く頷いて「お世話になります。」と答えた。


部屋に案内された二人は、まず荷物を置いてからお風呂に向かう。宿屋のお風呂は広く、清潔に保たれている。戦闘前に体をリフレッシュできるのは、何よりもありがたいことだ。


「お湯、気持ちよさそうだね。」紀更が湯気の立つお風呂を見つめ、嬉しそうに言う。


「うん、今日の戦いに備えて、しっかり体を温めておこう。」悠希が答え、二人は浴衣を脱ぎ、お風呂に入ることにした。


温かいお湯が二人の体を包み込み、戦闘の緊張感が少しずつほぐれていく。悠希はゆっくりと湯船に浸かりながら、紀更と一緒に過ごす時間を心地よく感じていた。


紀更は悠希の隣に座り、少し照れたように言った。「ねえ、悠希ちゃん…。ボス戦、ちょっと不安だけど、きっと大丈夫だよね?」


悠希は穏やかな笑顔で答える。「もちろん。私たち二人で力を合わせれば、どんな敵でも倒せるさ。」


紀更は嬉しそうに微笑み、肩を寄せるように悠希に近づいた。「うん、そうだね。」


二人はお湯に浸かりながら、戦いに向けて気持ちを落ち着けていった。戦闘前のこのひとときは、二人にとって何よりも大切な時間だった。


お風呂を終えた後、二人は宿屋の部屋に戻り、ボス討伐に向けて最後の準備を整える。


「もうすぐだな。」悠希は深呼吸をして言うと、紀更も静かに頷いた。「うん、きっと大丈夫。私たち、しっかり準備できたし。」


「うん。」悠希は微笑み、紀更の手をしっかりと握りしめた。「行こうか。」


二人は宿屋を後にし、広場に戻ると、他のメンバーたちが集まり、いよいよボス討伐の出発の時が迫っていた。


ボス討伐の準備が整うと、いよいよ集まったプレイヤーたちが会話を始め、最終確認を行う。


「さて、みんな準備はいいか?」青年が声を上げると、周囲のプレイヤーたちがそれぞれ返事をする。


その中で、悠希と紀更が最初に声をかけられたのは、スラッとした体格の女性だった。彼女は鋭い目つきをしており、どこか頼りがいのある雰囲気を持っていた。


「あなたたちも参加するのか?ちゃんと準備できているか?」その女性は、悠希と紀更に視線を向け、冷静に尋ねた。


悠希はしっかりと頷いて答える。「もちろん。準備は整っている。」


紀更も続けて、「私たち、しっかりサポートするから、安心してほしい。」と笑顔を見せた。


その言葉に、女性は軽く笑い、「なら、頼りにしているよ。」と頷いた。


さらに、青年が再び話しかけてきた。「俺の名前は颯斗(はやと)だ。よろしく!今日みんなに集まってもらったのは、ほかでもない第二層のフロアボスを攻略するためだ。第一層はそこの悠希さんたちに遅れを取ってしまったが、俺達もこのデスゲームから抜け出すために戦わなければならない。そして、一層や二層で待っているみんなに伝えなければならないんだ。このデスゲームをいつかクリアできるってことを。」


「よっ、待ってました。」「いいぞいいぞ。」などと歓声がかかる。


「さて、ボス戦の作戦を立てるぞ。まず、悠希さんがバルザ・ザ・アイアンビーストの特徴を把握しているようだ」


悠希は「実は、俺がβテストの時にこいつと戦ったことがあるんだ。」と、みんなの注目を集めた。


「べ、βテスト?」周囲がざわざわとする


悠希は軽く笑いながら、「実際、こいつは攻撃力が非常に高いけど、動きは遅い。重要なのはその隙間をどうつくるかだ。」と、βテストでの経験を基に、ボスの戦い方をみんなに伝え始めた。

リーダーの名前を颯斗に変更しました

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