漫才【頼み】
ツッコミ「どうもよろしくお願いします」
ボケ 「よろしくお願いします」
ツッコミ「お願いします」
ボケ 「します」
ツッコミ「聞いて」
ボケ 「何?」
ツッコミ「頼みがあるんだけどさ」
ボケ 「はあ。あのさ、ちょっと」
ツッコミ「えっ、何?」
ボケ 「頼み方が良くないよ」
ツッコミ「そんな変な頼み方してないよね?」
ボケ 「僕が雪男だったら、凍りづけになってたよ」
ツッコミ「えっでも、雪男じゃないでしょ?」
ボケ 「まあ」
ツッコミ「僕の頼みを聞いてもらってもいい?」
ボケ 「いいよ」
ツッコミ「じゃあ、頼みを言うね。告白の練習に付き合ってくれない?」
ボケ 「じゃあ、っていう言葉遣いも良くないよ」
ツッコミ「別に良いでしょ。それくらい」
ボケ 「【じゃあ】がバカヤローって意味の国で、【じゃあ】って言ったら、軽く睨まれてるよ」
ツッコミ「軽く睨まれる程度なんかい」
ボケ 「ちょっと。そのトーンだと、僕が鼓膜最弱男だったら破れてるよ」
ツッコミ「あのさ、、、どうせ鼓膜最弱男じゃないんでしょ」
ボケ 「間が長いよ。この世が早口優遇世界だったら死んでるよ」
ツッコミ「なななななななにそれ?」
ボケ 「もし7連続で『な』って言ったときに感知して、勝手に起動しちゃうヒーターが近くにあったらどうしたの?」
ツッコミ「あのさ、はやくお願いを聞いてよ」
ボケ 「はやくって、今の僕が料理の盛りつけが終わって、お盆で運んでいる最中だったら、手が滑って全てぶちまけてるよ」
ツッコミ「そのカタチ、なんか背筋震えてきちゃった。それでさ、頼みは変わるんだけど、女の人紹介してくれない?」
ボケ 「芸能人が結婚相手と知り合ったきっかけを語るとき、友達の紹介で知り合いましたという言葉が、すり減るくらい、かなりこすられている未来だったら、ため息増えすぎて二酸化炭素増えまくってるよ」
ツッコミ「ため息くらいで、二酸化炭素が増えまくる未来は、たぶんないから。ねえ、誰でもいいから、紹介してくれるでしょ? してくれるよね?」
ボケ 「今が縄文時代だったら、煙たがられるよ(背を向ける)」
ツッコミ「今の時代でも煙たがられてるよ。ねえ、こっち向いてよ」
ボケ 「真剣に頼んでないでしょ? 僕の後頭部に目があったら、真剣じゃない顔、見られてるよ」
ツッコミ「真剣だから。よし分かった。じゃんけんで勝負して勝ったら、黙ってお願いを聞いてもらうっていうのはどう?」
ボケ 「いいよ。いいけど、僕の手がカニの爪化を始めた後だったら、どんなじゃんけんでも負け確定だよ」
ツッコミ「カニの爪化した場合はね。でも、してないから勝てるよ(肩に手を置く)」
ボケ 「痛いよ。僕の肩が鋼鉄製だったら、右手の中指の付け根あたりにある骨が、折れてるよ」
ツッコミ「その変な喩えやめてくれ。はやく、じゃんけんしてよ(頭を軽く叩く)」
ボケ 「大丈夫? 僕の髪の毛がヤマアラシみたいに硬かったら、ケガしてるよ」
ツッコミ「そっちが大丈夫?」
ボケ 「大丈夫っていう漢字が、全て線対称だったら、大丈夫っていう言葉が、もっと染みていたんだけどな」
ツッコミ「もういいよ(背を向ける)」
ボケ 「待ってよ。ねえ、待ってよ」
ツッコミ「反省した?」
ボケ 「僕の心がウサギだったら、寂しくなっちゃっていたよ」
ツッコミ「じゃあ、寂しくもなくて、元気ってことかよ」
ボケ 「うん」
ツッコミ「もういいよ」
ボケ 「ありがとうございました」
ツッコミ「どうもありがとうございました」