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座敷童の恋  作者: 櫨山黎
第七章
32/93

乱入:You're travelling the wrong way.

※構造上、視点が二つになります。

 登校日になっちゃった。

 八月の第二週の月曜日。

 

 うちの学校は、八月の最初の日曜日を、宗教教育の一環として、平和聖日へいわせいじつのミサをやる、っていう慣例があったらしいんだけど、近年は、先生達が休日出勤になっちゃう、という、ミサなんだか授業の一環なんだか分からない扱いになって議論になったことがあるらしくて、結局、八月の最初の月曜日を登校日にして、戦没者慰霊のミサをやる、という折衷案(せっちゅうあん)が定着したみたい。


 同系列の学校だから、紫苑学院(しおんがくいん)も、今日が登校日かな。


 …行きたくない。

 昨日は、水戸さんとキスしちゃったのに、学校に行くの、変な感じ。


 …結局、初めてのキス、水戸さんになっちゃったな。


 いや、優将か。

 カウントしてなかっただけで。

 何か、五歳くらいの時、「くちのなかのあじってどんなあじ」って言って、口の中を本当になめてきたんだった、あいつ。


 本当に、そんな小さい頃から一緒だったんだ。


 でも、昨日、高良の連絡先を教えてくれるメッセージが来たっきり、全然、優将から、連絡もないし。

 こんなに連絡取り合わないのも、初めてかも。

 朝気付いたから、連絡も返してないし。


 …行きたくない。

 でも、学校に行かないのも、おかしいし。


 『家』が楽しくないのにさ、学校まで楽しくなくなったら…。

 どうしていいか分かんないもんね。


 一人で家にいるよりは、マシかな…。


 ごちゃごちゃ考えながら、結局私は、学校に行く準備をして、家を出た。


 そう、朝起きたら、高良の連絡先が、優将経由で来てたわけなんだけど、優将にすら返信できてないくらいだったから、高良に連絡する時間も全然なかった。


 連絡くれた、ってことは、怖くなったのかな、高良。

 誰かに話して、頼りたくなったのかな。

 高良の心配してる場合じゃないんだけど、心配は心配。


 …でも、ちょっと、楽だな、高良と話すの。

 あんまり、私に対して、要求が無い人なんだよね、高良って。

 『こう振舞わなきゃ』って思わなくていいから、何か、楽。


 でも、だから、頼ってくれるってことは、高良、相当怖いのかな、って思っちゃって。

 学校から帰ったら、連絡してみよう。





 学校に着いたら、教室の前の廊下で、瑠珠(ルージュ)が仁王立ちになっていた。


「来た!茉莉花!」


「あ、瑠珠(ルージュ)。久しぶり」


「『久しぶり』ってねー。もう!ちょっとこっち来て!」


 瑠珠(ルージュ)は、私の腕を引っ張って教室の隅に連れて行った。


 日出(ひづる)玲那(れな)が寄ってきた。


 あ、まずい。瑞月も来た。


「お早う、茉莉花。この前は、ごめんね」


「あ、うん、あの…」


「いいから、先に私と話して!」


 瑞月に、どういう反応をしていいのか迷う暇もなく、瑠珠(ルージュ)が会話を(さえぎ)った。


 ある意味助かったけど。


「ね、茉莉花、水戸さんと付き合ってるの?」


「えっ?」


 瑞月の動きが止まった。


「へー?ホントなの茉莉花?」


「えー、いつからいつから?」


 私は、教室の隅で、興味津々で近寄ってきた日出(ひづる)玲那(れな)瑠珠(ルージュ)に囲まれて、身動きが取れなかった。




 次の瞬間、物凄い勢いで瑞月が走り出した。

 教室から廊下の方に走っていく。

 あまりの勢いに、皆で(しばら)く瑞月の向かった方向を見詰めていた。


「あ、瑞月…」


「ほっとけば?」


 急に、冷たい声で玲那(れな)がそう言った。


 私は、びっくりした。


「もう、この前もあんなして、何にも言わずに急に出て行ったよね。凄い雰囲気悪くなるのに。感じ悪い」


 玲那(れな)が、こんな風に人のことを言うのを初めて聞いた。

 何か、表情が(すさ)んでる。


「あ、ねぇ、私も柴野君と付き合い始めたの」


「…えっ?!」


 私と瑠珠(ルージュ)日出(ひづる)は、同時に聞き返した。

 玲那(れな)は、いつものように女の子らしく、可愛く笑って言った。


「今日この後デートなの」



 ――――――――――



 課題の進み具合やら、休みに行った旅行の話やら。


 土産物のお菓子の御裾分けを貰いながら、久々にこんな人数を相手に会話をするな、などと思った。

 鼓膜が吃驚(びっくり)してるのかもしれない。

 何だか、何処かが痺れたように感じながら、大騒ぎの教室の中にいた。


 茉莉花からは、まだ連絡が来ないが、大勢の中にいると、今日は少し安心した。


 あれから、鏡の中の自分の姿は普通に見えるようになったが、恐怖心は増した。


 解読を進めないと…。




 さて、そんな、登校日の賑やかさの中で、慧の表情が、すこぶる暗かった。

 抜け殻のようにダラリと腕を投げ出して、机に覆い被さっている。

 首だけ、こちらに向けた顔の目が、虚ろだった。

 おいおい、夏休み開始前の、あの状態は何処に行ったんだよ。


 …そして、古い年賀状とやらを確認したが。

 写真入りの年賀状と名前を確認したところ、こいつはどうやら、俺の血縁で間違いないらしかった。

 …どうやって切り出したもんか。

 いや、言う必要もない、か?

 十七年、知らないで生きて来られたんだから、今知らなくても、これからも普通に友達だしな。


 ただ、妙な符号が多いから、更に気持ち悪くなってはいる。

 慧に、御前と俺は又従兄弟(はとこ)同士だよ、と言ったところで、その気持ち悪さが薄れるのか、と言われたら、それは俺にも分からないし、何の解決にもならない気がするのだが。


 …友達、なぁ。

 結局…こう、何だろう、迷惑は掛けられているし。メンタリティも、よく分からないので。

 血縁って言われても、嬉しくも何とも無い、というか…。

 あの合コンの一件以来、俺の中での関係性が微妙になっちまってな。

 それは、心言(みこと)も同じみたいだが。

 思ってた(よう)な奴じゃないのかも、という、違和感のような。

 

 少なくとも、幼なじみの女の子の厚意に甘え過ぎ、と言うか。

 …そこが妙に引っ掛かると言うか。


 どう考えていいか、分からん。


「どうしたの?」


「おーい?」


 絆と心言(みこと)が話し掛けたが、慧は、口の中で何か呟くだけだった。


「慧?」


 俺は、慧の机の傍まで耳を近付けた。


「…英語でふられた」


「はぁ?」


「何々?どーしたの?」


「…いや?意味不明なんだが」


「そーなの?」


 取り敢えず英語でふられたらしい。

 妙にインパクトのある言葉だが、「ふられた」という部分でここまで落ち込んでいるというのは明白だったので、俺は聞こえなかったふりをした。


 …相手は知らんが気の毒に。


 しかし、これまた、こいつのメンタリティが、よく分からなくなるような話を聞いてしまった。

 「ふられた」ということは、誰かにアプローチした、ということであり、そんな気になったことすら無い俺からすると、随分な強心臓(きょうしんぞう)、と言うか、自信家と言うか。

 何処からそんな自信が湧けば、誰かに「ふられた」と言えるほどのアプローチが出来るのかが、理解出来ん。

 おまけに「ふられた」とか、黙っておけば良さそうなものを、口にしてしまう、というのが。


 聞き手に甘えている、と言うか。…そこが妙に引っ掛かると言うか。


 こいつのことを、どう考えていいか、更に分からん。


 俺とは性格が違う、ということは確かだし、完全に、前思っていた(よう)な性格の人間ではないことも、これで確実となった。


 ああ、そういえば、水戸。

 来てないのか?


「おお」


 自分の席で携帯を(いじ)る優将と目が合った。

 こいつの存在に気付かなかった。

 髪色が、また少し変わってるな、UMA(ユーマ)

 いや、もう妖怪の域なんだよな、俺の中で。


「おお、久しぶり。昨日はありがとな」


「んー。びっくりしたけど」


「けど?」


「高良になら教えてもいいと思って」


「ん?そ、そうか?」


 …高良に『なら』教えても『いい』?

 何かそんな、茉莉花の人間関係の選択的透過性(ジャッジ)みたいな話が?


 よく分からんが、ともあれ、小松茉莉花に、何故連絡を取りたいかも聞かないでいてくれるなんて…。

 助かる…。


 あれ?


 珍しいな。優将が慧の近くにいないなんて。


 まぁ、あの状態では、一緒にいたところで会話が成立するか怪しいところだが。


 それにしても、誰かに連絡でもしているのか、そろそろ携帯隠さないと担任が来るぞ。


「あ、優将。水戸を見なかったか?」


「あー、席に鞄はあるよ。もうすぐ来るんじゃない?」


 優将が、廊下の(ほう)を見た。


「あ、ほら」


 その目線の先に、なんだか少し余裕の無い微笑を浮かべて、クラスメイトと久々の再会の挨拶をしながら教室に入ってこようとする背の高い男がいた。


 俺は、何故か、コンビニで会った時の、あの表情を思い出して、少し不安になった。




 これだけのために学校に来させたのかよ、と思うぐらいの短さで、学校が終わった。

 戦没者慰霊と考えると、かなり重要な意味が有るミサだから、昨日長野から戻ってきたというのに、細やかながらも、追悼の意を込めて、サボりもしないで登校したわけだが。

 …何か、もう少し、登校特典、みたいなものが欲しい、と思ってしまう程度には、体が疲れていた。


 昨日、日帰りで長野行って…炎天下で墓参りして?墓場で暴れてる女に会って…。

 新幹線で戻ってきて、駅構内の店の鏡で、霊障を…。


 いやいや、いくら俺が若くても、流石に疲弊したよ。


 でもなー、特典ったって。校章入りのマグカップとか、校舎の写真入りのクリアファイルとかだろうしな。もう持ってるし、マグカップは荷物になるし…。

 何で私立って、やたらグッズ作るんだろうな?


 そんなことを考えている俺の隣で、靴箱へ向かう為に階段を下りながら、絆が水戸に笑顔で話し掛けた。


「ね、水戸っち、茉莉花ちゃんと付き合ってんの?」


「え?」


 前を歩く慧と心言(みこと)が振り返った。

 初耳なのだろう。


「あ、うん」


 水戸が、躊躇(ためら)いながらもそう答えた。


 慧と心言(みこと)の目が真ん丸になった。

 おいおい、危ないから、階段で前を歩いてるくせに立ち止まらないでくれ。


「へー。何で付き合うことになったの?」


 無邪気に聞く絆を、心言(みこと)が口を半開きにして見た。


 そうこうしているうちに、靴箱に着いた。


 慧も心言(みこと)も、慌てて各自の靴箱に向かった。そして、靴を履き替えながらも、絆と水戸の(ほう)を見ていた。


「いや…まぁ、好みだったし」


「あー、可愛いって言ってたもんねー。きっかけとかは?」


 水戸は、何故か優将の(ほう)を見た。


 優将は、とっくに靴を履き替えて携帯を出し、何処かに電話をかけていた。


「いや、…いいじゃん、別に」


 力無く笑って、そう言うと、水戸は校舎から出て行った。


「おーい、照れるなよー」


 絆は楽しげに、それを追い掛けた。


 …照れてるようには見えなかったんだが。


 取り敢えず、俺達も追い掛けた。


 優将はマイペースに、既に水戸より先を歩いていて、実に颯爽(さっそう)と校門に向かっていった。




 ところが、校門まで着いた優将は、こっちをバッ、と振り返った。


 誰かが校門の前にいるのだ。


 水戸と、水戸にじゃれ付いていた絆も、それに気付いたようだった。




 そこには、息を切らして、髪を振り乱した苧干原瑞月(おぼしばらみづき)が立っていた。



 そのあまりの形相にか、夏の制服姿の常緑(じょうりょく)生がいるというのに、下校する生徒が皆、瑞月を避けて通っていった。


 …怖い。


「瑞月…」


 驚いたようにして、水戸は呟いた。


 絆は、俺達の方まで戻って、俺の後ろに隠れた。


「どういうつもり?!」


 そう叫ぶやいなや、瑞月は水戸の腹を殴った。


 平手(パー)ではなく、最初からボディ(グー)か…。

 目の前で何が起こってるんだ、今。

 傷害事件?


 水戸は苦しげに(うめ)いた。


「どういうことよ!何であんたが茉莉花と付き合うのよ!」


 瑞月は、水戸に掴み掛かろうとした。

 怖すぎて本当に体が動かない。止めなければ、とは思うのだが。


「何でまた『お姉ちゃん』を取っちゃうの?!何でよ!知ってるんでしょ、あんたは!」


 飛び掛ってくる瑞月を、どうにか避け、何と、水戸は、そのまま、瑞月を、背中から抱き締めた。


 …えー?


「やっと来てくれた」


 その場にいた全員が固まった。


「離してっ…!」


 我に返った瑞月は必死にもがいたが、こうなると水戸の方が強かった。

 更に強く抱き締めたのである。


 …えー?


 瑞月は、しばらくもがいた後、急に大人しくなった。

 そして、突然、そのまま水戸の腕にしがみ付いて、大声で泣き出した。


 まるで、駄々を捏ねている子供のように。


 墓場での瑞月の様子が思い出された。


 ―――瑞月は、水戸を恨んでいるのではないのだ。

 …『恨みたい』のだ。多分。

 水戸のせいにしたい何かが、多分、あるのだろうと思う。


 何かを憎もうとしてまで守りたいもの。


 ―――『お姉ちゃん』?


 水戸は、瑞月の髪に、愛しげに顔を埋めた。


 …いや、お前。

 ここ、学校。


 呆然と見守っていると、(にわ)かに校舎の方が騒がしくなった。


 見ると、数人の教師が校舎から出てくるところだった。


 ―――まずい。


 どう考えても、学校の校門の前で、泣き叫ぶ他校の女生徒を抱き締めているのを教師に見られるのはまずい。

 内申点もクソもない。


「おい!」


 俺は、慌てて水戸の肩を揺すった。


 水戸は、ふと、我に返ったように、腕の力を緩めた。

 瑞月が、その場にへたりこんだ。

 俺は、瑞月を立たせた。


 どうしよう。

 どうにかして、この場から瑞月を離さないと。


 今言えないけど、そう言えば、こいつの依頼のバイトを俺が結局受けたんだし。

 …あ、あの怖いバイトの依頼主か、こいつ。


 妙に縁があって、もう何か嫌だな、こいつ…。




 そこに、神か悪魔のようなタイミングの良さで、タクシーがやってきた。


 優将が手を上げた。

 タクシーの運転席の窓が開いて、運転手が首を出した。


「柴野様ですか?」


「はい」


 自動的に、後部座席のドアが開いた。


「料金割り勘ね」


 いつもの無表情で、優将は、そのドアを優雅に手で指し示した。




常緑(じょうりょく)学園まで」


 タクシーが発進した。

 俺は、後ろの窓から、校門の(ほう)の様子を見た。


 教師数人に、絆や心言(みこと)が上手く言い訳してるようだった。

 …何だろう、体調不良の親戚の介助、とかかな。校門の防犯カメラに、一部始終が、ばっちり写ってそうだが。

 どう言い訳するのか分からんが、もう、何だか分からんけど、上手くやってくれ。

 呆然と、こっちを見ている慧も見えた。

 ああ、あっちは本当に、俺の親戚なんだった。


 訳が分からん…。

 一体全体、何から気にすればいいんだ…。




 ――――さて。


 どうしてこんな事態になったのか。

 状況が全く分からなかった。


 俺の左隣で、瑞月は、赤い目をして、魂が抜けたような表情で、ぼんやりと座っている。


 助手席から、優将が瑞月に声をかけた。


「学校で良いよね?今日登校日でしょ?平和聖日(へいわせいじつ)名目の」


「ええ…」


「俺もこれから行くところだったから、ラッキーだったね。無茶だよ、制服でタコウランニュウはさぁ」


 瑞月は、黙っていた。


 本当に、何で急にうちの高校に乱入してきたものやら。


 昨日の共同墓地での行動といい、今日といい、なかなかに説明のつかない行動を取ってくれる。

 他人のことだが、こいつのメンタルが心配だ。


「聞いちゃったんだね、水戸っちと茉莉花が付き合ってるって」


 瑞月の手が、急に膝の上で強く握られた。

 瞳に暗い影が落ちる。


「…え、ちょっと待ってくれ。それを聞いただけで、ここまで、こうやって来たのか?苧干原(おぼしばら)さん」


 俺は、瑞月と優将の両方の顔を、交互に見た。


「だって…」


「ね、『ミサさん』ってのが、その『お姉ちゃん』だよね?亡くなったっていう」


 瑞月の目が、カッと見開かれた。


「この前、美術館で聞いちゃったんだ。話してるの」


「うそ…じゃ、茉莉花も…」


「うん。聞いてたよ」


 瑞月は、脱力して、ドサリとシートに寄り掛かった。


「―――お姉ちゃん」


「違うよ。あれは、茉莉花」


 抑揚のない瑞月の呟きは、優将の声に打ち消された。


 一体、何が起きているのだろう。


「嫌…」


 瑞月が俯いた。


「私、このままじゃ、お姉ちゃんのこと、忘れちゃう…」


 掠れた声の語尾は、嗚咽に変わった。


「どんどん忘れていく。一日一日、お姉ちゃんがいなくなっても眠れるようになっていく。声も忘れてきちゃったし。お姉ちゃんのこと忘れるくらいなら、悲しいままの(ほう)が良い」


 こんな声で、こんな言葉を、誰かが言うのを聞いたのは、初めてだった。


 囁くような声なのに、叫んでいるより響いてきた。


 忘却を恐れて、何かを憎もうとしてまで守ろうとするもの。―――母。


 瑞月は恐らく、妄執の塊なのだ。

 悲しい般若の面だ。


 でも、妄執であっても。

 それはやはり、深い何かに繋がっているような気がした。


 瑞月は、愛情も憎悪も、全てが深いのだ。


 そこまでの感情の発露は、俺にはない。

 こんなエネルギーは、俺にはない。

 俺の価値観と、こいつの価値観の間には、深い(みぞ)がありそうだし、こうやって暴れて(あらが)う、こいつの姿は、俺の価値観からすると、この上なく醜悪で、愚かしい姿なのに、不思議と―――少し羨ましかった。


 お母さんが大好きなのだと、体中で叫んでいる。

 お母さんを、忘れたくない、と。

 そういうことを、自分は、一生しない気がする。


 こんなことになった事情は、いまいち分からないが、今、瑞月に語りかけることは出来ない。


 何を俺が言えることがあるというのか。


 ふと、両親のことを思い出した。


 あの人達がいない世界とは、どんな世界なのだろう。


 身の周りのものの全てを、一瞬、酷く愛しく感じた。




「忘れないよ」


 突然、前の席からした声に、俺も瑞月も驚いて顔を上げた。


「忘れたくないなら、忘れないよ」


 前を向いたまま、静かに優将はそう言った。


「何なら、忘れようとしてみたら?」


「え…?」


「忘れる。もう、何をしてても全然気にしなくなるくらいまで。普通に暮らす。それでも、ふと、何かで思い出す。その人の好きだったものとか見たり、言葉を思い出したり」


「思い出す…」


「そう。忘れたと思っててもね。その瞬間、バッとそこまで引き戻される。絶対。その瞬間って多分、最高に愛しいよ」


 愛しいという感覚。

 何気ない日々の中で、ふとそれを思い出すとしたら。

 泣いてしまうことすらあるかもしれない。

 そう思い出せたら、きっと。

 何も忘れてなどいない。


「人間ってね、自分の動きたいようにしか動けないんだってさ」


 優将は言葉を続けた。


 俺は、それを聞きながら、ミラー越しに見える優将の目と、陽光にあたって不思議な輪の形を見せる、茶色い髪の先を見ていた。


「助けたいと思ったから助ける。泣きたいから泣く。人間って、自分の為にしか動けないんだってさ」


 そうか。

 そうなら。

 『誰かの為にすること』など存在しない。

 『人を救う』という行為は幻想。

 人には人は救えない。

 相手が救われたと思った時にのみ成り立つ―――奇跡。

 それ故。

 奇跡であるが故に『救い』は尊い。


 大脳の働き云々を差っ引いても、何故か説得力を感じる論と、その滑らかな口調に、俺は、何かがストン、と落ちてきたような、快い納得の感覚を得た。


「忘れないよ、忘れたくないのに。忘れるんだとしたら、―――忘れたいんだよ、ホントは」


 見ると、瑞月は、泣くのを止めて、食い入るように優将の背中を見ていた。


「ね、苧干原(おぼしばら)さん」


 急に、優将は瑞月の方を見た。

 瑞月は瞬きをした。


「『お姉ちゃん』って、一緒にいてくれた?」


 瑞月は戸惑ったような表情を見せた。

 そして、ゆっくりと頷いた。

 優将は、ゆっくりと前を向いた。


「…いいなぁ」


 何ていう声を出すのか。何て。不意に胸が詰まった。


 瑞月は、また泣き出した。

 今度は、静かに。




 しばらく間をおいて、優将は、また口を開いた。


「ね、もっとさ、『茉莉花』を見てやってよ」


 瑞月は、また、驚いた顔をして、泣くのを止めた。


「茉莉花は、あんたが思ってるより優しいよ」


 瑞月は、泣くのを完全に止めた。


 車内の空気が、急に柔らかくなった気がした。


 事情は、よく知らないが。

 どうでも良いような気がした。


 優将が垂れ流しにする、肯定の言葉の数々。


 それが、車内に差し込む陽光の中で、踊っているような気がした。

 (ほこり)かもしれないけど、そんなことは、どうでも良かった。

 どっちみち、似たようなものなのだろう。

 沈黙の空気が、全く重くなかった。


 優将は、今、多分、『愛しい』存在のことを、思い出している。

 『忘れられない』、思い出す度に、『最高に愛しい』存在のことを。

 『一緒にいたい』、『助けたいと思ったから助ける』、その存在のために動くこと全てが、自分がやりたいこと、と思える程の存在のことを。

 自分が、絶対的に肯定している存在のことを。


 ふと、小さな着物の男の子の姿が、ひょっこりと現れて、瑞月の(ほう)を、驚いた(よう)な顔で見た後、優将の後ろ姿に、収斂(しゅうれん)していった。

 やはり、誰にも見えないようだったが。


 今この瞬間は、それを怖いとは思わなかった。


 よく分からんが。

 『一緒にいたい』存在が、優将にも、いるんだな。


 俺は、どうだろう。


 バチッと、美しい瞳と目が合った。

 振袖姿の女の子が、俺の真ん前に来て、俺の顔を覗き込んでいた。

 近い近い。


 …ああ、()()()


 綺麗な目だな、と思って見ていると、女の子の姿は、また消えてしまった。


 男の子と女の子は、今日も、お互いの存在に気付かなかったらしかった。




「…なぁ、そういえば、何で常緑(じょうりょく)に用事があるんだ?」


 そろそろ目的地に着く頃になって、俺は、ふと、そこが気になった。

 大分落ち着いて、手鏡と櫛で髪の毛を整え、スカートのポケットに財布が入っていることを確認していた瑞月が、俺の(ほう)を見た。


「ああ、待ち合わせ」


「待ち合わせ?」


「そう。デート。千伏さんと」


 俺と瑞月は、思わず顔を見合わせた。


「…この前の相手も、もしかして千伏さんか?」


「そう。もしかしたら気が合うかな、と思って」


 確か、前もそんなことを言ってた気がするが―――いつの間にそういう仲になっていたのやら。


 最早顔を思い出すのも難しくなってきている千伏嬢の、おぼろげな像と、心言(みこと)の顔がセットで出てきた。


 心言(みこと)が聞いたら、仰天するだろうなぁ…。


 いや、今日起きたことの、どれに一番驚いていいか、俺にも、よく分からんから、案外、知ってもスルーするだろうか。

 そして、今気付いたが、今日、心言(みこと)と連絡先を交換するのを忘れた。

 勿論、水戸とも。

 …今日は、何だったんだろう。

 しかし、分かったこともある。

 偶々(たまたま)、登校日に、真面目に登校してしまったせいで、また『ちょうどいい場所にいた奴』になってしまって、何だかタクシー代割り勘で、こんなフォローみたいなことをする羽目(はめ)になったらしいことだ。

 宿命か?




「…あ。いるわよ」


 瑞月の指に指し示された方向には、千伏嬢と思しき人物と、―――瑠珠(ルージュ)、ヒヅル、茉莉花が見えた。



 ――――――――――



 優将が玲那(れな)と付き合ってる。


 短いホームルームの間も、お祈りの最中も、そのことが頭の中を、ぐるぐる回ってた。

 回ってるのに、何だか内容が理解できない。

 法則性のない数字の羅列みたい。


 これまで、優将が私の友達に手を出すなんてことはなかった。


 そして何故か、それを私は妙に信用してた、ってことが分かった。


 『お前さ、その中から慧に彼女出来る可能性とか、考えないわけ?』


 馬鹿だなぁ。

 優将の(ほう)は、もっと可能性を考えてなかったんだ、私。

 優将の(ほう)がモテるのに。


 そう、夏休みの初日から、ずっと優将に会ってなかった。

 私は、ここのところ、自分のことしか考えてなかった。


 自分がショックを受けてることに驚いた。

 全部の感情が、そこでストップしてしまった。




 ずっと一緒だった。助けて、助けられてきた。

 でも、もう違う。

 『友達の彼氏』なんか、『家』に上げるわけにはいかない。


 優将も、『友達の彼女』のところにだから、来なくなったんだろう。


 これからは違う。

 違うのに、全然そんなこと、思い付きもしなかった。


 いや、いつかはこうなるはずだったんだ。


 だって、私だって優将だって、進学して就職して結婚して。


 いつかは離れるはずだったんだ。


 だって、私達、兄弟でもなんでもないんだから。


 恋愛感情もない、ただの幼なじみ。


 慧の時は、薄々それを感じ取ってたのに。


 優将には、そんなの、考えもしなかった。


 馬鹿だ。


 優将が私に、玲那(れな)とのことを言わなかったのだって、別に普通だ。


 普段だって、誰と何をしてるのかなんて、言いもしないんだから。


 私には関係ないんだ。優将が何をしようが、どの道を選ぼうが。


 分かってたはずなのに。

 理解してなかったかも。


 関係ない、という事実が、凄く冷たくて、悲しかった。


 泣けもしない。

 だって、『好き』でもないのに。


 何の寂しさだろう。

 『寂しさ』。

 私は、支えられてたんだと思う。

 『優将』という存在に。気付かないくらいに、強く。

 支えが、いつの間にか外れていたことに気付かなくて、グラグラしながら、均衡(きんこう)を保ってる。

 グラグラして、酔いそう。




 混乱した頭のまま、登校日は終わった。


「ね、瑠珠(ルージュ)


 私は、真っ直ぐ瑠珠(ルージュ)の机に向かっていった。


 瑠珠(ルージュ)は、席を立って、私に向き直った。


「隠してるわけじゃなかったの。水戸さんと付き合ってること」


「―――茉莉花?」


「…言えなかったの」


 だって、あんな始まりで。付き合ってるって。普通の意味とは違う気がして。…隠してるわけじゃなかったけど、…知られたくなくて。


 言えなかったの。


「ごめん、瑠珠(ルージュ)


 泣きそうになった。


 友達に内緒にされるのって、傷付いた?

 私が今、優将にショックを受けたみたいに。


 こんなつもりで、合コンの幹事なんて、したつもりじゃなかった。


 『家』が楽しくないから、友達が大事で。

 誰の『家』にも行けないなら、学校に居場所がなくなっちゃったら、本当に、どうしていいか、分かんなくて。

 でも、何か、こんなことになっちゃって。


 瑞月とだって、普通に話したい。

 誰とも、気まずくなりたくない。

 瑞月が泣いてたら、自然に慰められるくらいの距離にいたい。

 だって、友達だから。


 でも、どうしよう。


 結局、誰のことも大事に出来てない気がする。


 私は本当に、自分のことばっかりだ。


 でも、どうするのが一番良かったのか、どうするのが正解だったのか、分からない。


 良いことをしても、悪いことをしても、私は、叱られもしなくて。

 『家』には、誰もいなくて。


 どうしていいいのか、本当に分かんない。


「あ、…謝らないで」


 戸惑ったような、でも優しい声が、私を抱き締める腕の感触と一緒に降って来た。


「茉莉花は、いつも私に干渉しないで、話だけ聞いてくれるのに、茉莉花が自分の事話してくれないからって怒るなんて、馬鹿だね、私」


 甘い匂いがした。

 長い髪が、頬にかかってくすぐったい。


「言いたくないことなら、聞かないよ。ごめんね、茉莉花。何か、寂しかったんだ」


 私は、瑠珠(ルージュ)を抱き締め返して、泣いた。


 私も寂しい。寂しいよ。


 クラスメイトが数人、慰めの言葉をかけに寄ってきた。

 ますます涙は止まらなかった。


 気に掛けてくれる人が、こんなにいるのに。


 水戸さんと一緒にいても寂しい。

 瑠珠(ルージュ)と話してて楽しくても、一人になると虚しい。


 優将。

 優将といるとね、寂しくはなかったよ。

 長く会わなくても平気だったよ。

 離れてる気がしなかったから。


 何でだったんだろう。


 私達、変だね。




 それから、瑠珠(ルージュ)日出(ひづる)と連れ立って校門から出ようとした時、校門のところに、玲那(れな)が立っているのに気が付いた。


「あ、もう帰るの?」


 玲那(れな)が、私達に気付いて、声をかけてきた。


「デートって、ここで待ち合わせ?」と尋ねた瑠珠(ルージュ)に、玲那(れな)は「うん」と、どこか誇らしげに答えた。




 そこに、急にタクシーがやって来た。




 大胆にも、校門の真ん前に止められたそのタクシーから、三人の人が降りてきた。


「へっ?」


 瑞月に、高良に、…優将だった。

 いつの間に髪の色をアッシュブラウンに変えたんだろう。

 一瞬、誰だか分からなかった。


 ―――何でこの三人?


 そうでなくても目立つ容姿の三人組が、颯爽(さっそう)とタクシーから降りてきたもんだから、もう大分少なくなっているとはいえ、下校中の生徒は、皆チラチラとそっちを見ていく。


 玲那(れな)が、瑞月を睨んだ。

 私の隣で、瑠珠(ルージュ)日出(ひづる)が固まってる。


 ―――役者が揃い過ぎちゃったみたい。


 三人から、もたもたと料金を受け取ったタクシーは、排気ガスの嫌な臭いを残して走り去った。


 あちこちから、携帯のカメラ撮影の音が微かに聞こえてくる。


 ―――写メられてますよ、男性御二方(おふたかた)。ホント、何で揃ってるの?この二人まで。


 玲那(れな)は、瑞月を無視して、優将に駆け寄った。

 何かを二人で話した後、玲那(れな)は優将の腕を取った。


「ね、行こ。じゃあね、皆」


 優将は、私と高良を見て、「じゃあね」と言った。


 腕を組んだ二人は、そのまま駅の方へ歩いていった。




 瑞月は、しばらく二人の行く(ほう)を見ていた後、「あ…。ごめんね。…鞄取りに行かなきゃ」と言って、校舎の方へ向かっていった。

 目が赤かった。


 …もしかして、瑞月、あのまま紫苑高校に?


 何か凄く恐いものを想像してしまったけど、打ち消した。


 …瑞月にだけは知られたくなかったけど。どうしようもない。


 私と水戸さんは付き合ってる。




 それにしても、凄い組み合わせでタクシーに乗ったもんだね。


 取り残された高良と目が合った。




 ――――――――――




 頭一つ分以上の身長差のあるカップルは、実に自然に腕を組んで歩いていった。


 茶色い髪の男の隣りには、柔らかそうな猫っ毛の髪をボブくらいの長さにした女。


 去っていく優将と千伏嬢の後姿を見ながら、俺は、いつか感じた違和感の正体が分かった気がした。


 そうか。


 茉莉花が誰かと付き合うということは――――優将と茉莉花が一緒にいなくなる、ということだ。


 恐らく、俺と絆がするように、時間を共有し合ってきたはずの二人が、その時間を、別の彼氏、彼女と一緒に過ごすようになる、ということだ。


 だから違和感があったのだ。


 俺にとって、『茉莉花』という存在は、…何故だか、優将と切り離せないものだったのだ。


 俺は、茉莉花の(ほう)を見た。

 瑞月が去る(ほう)を見ていた茉莉花が、こちらを見た。


 その近くに、瑠珠(ルージュ)とヒヅルがいた。


 何だか、微妙な組み合わせの面々が残されたものだ。


「ねぇ、もしかして瑞月、…そっちの学校に行った?」


「え…いやいや」


 言葉を濁して誤魔化してみたが、駄目だったようだ。


「行ったんだ」


 溜め息混じりに、茉莉花は、そう言った。

 珊瑚色の唇が、ゆっくりと閉じられた。

 目が少し赤い。


 何とも言えなくて、そのまま、俺は黙っていた。


 夏の太陽の(もと)で見る、茉莉花の漆黒の髪の流れは、胸元の辺りまで続き、艶々としていて、陽光にも透けず、不思議と青く思える程に黒々としていた。


「…じゃあ、取り敢えず、俺、帰る」


 そもそも、成り行きまかせにタクシーに乗ってここまで来てしまったのだ。

 特別に用があるわけではなかった。


 一通り、駅までの道順を瑠珠(ルージュ)が教えてくれた。


 ヒヅル嬢の視線が何故か怖かったが、気にせずに、話し掛けもせずに帰ることにした。

 そんなに怖い顔されても、以前、彼女の行動のとばっちりを食ったのは、こっちだ。


 うう、でも、やっぱり、()()




 ――――――――――




 目立つ男二人組が校門の前から去って、女三人の間に、微妙な沈黙が残った。


 日出(ひづる)が、瑠珠(ルージュ)をじっと見詰めてる。―――まずい。


 この二人は、高良が好きなんだった。

 連絡先知ってるとか知られたら、誰かに刺されそう。

 …やっぱり、高良と連絡取るのは、家に帰ってからが正解だな…。


 瑠珠(ルージュ)が、日出(ひづる)を見詰め返した。


 二人は、そうして見詰め合ったまま、(しばら)く、そこから動かなかった。


 …気不味い。


 先に、瑠珠(ルージュ)が目を逸らした。


 日出(ひづる)は、瑠珠(ルージュ)の視線を追うようにして、瑠珠(ルージュ)の前に出た。


「…ねぇ、瑠珠(ルージュ)降籏(ふるはた)さんのこと、好きなの?」


 瑠珠(ルージュ)が、日出(ひづる)を睨んだ。


「…そんなわけないでしょ」


 …いや、そんなわけないでしょ!瑠珠(ルージュ)の馬鹿!!あんた、絶対、高良のこと好きでしょ!


 あーあ…。駄目だ。瑠珠(ルージュ)が一度こう言ったら、多分、意地でも自分が高良を好きなのを認めない。


「…そうなの?」


「何でそんなこと言われんの?分かんないんだけど」


 (きびす)を返して、瑠珠(ルージュ)は、駅とは逆方向に歩き始めた。


「じゃあ、またね」


 こっちを振り返りもしないで、低い声で瑠珠(ルージュ)は、そう言った。

 姿勢の良い長身が、長い綺麗な足で素早く歩を進めて、私から、追いかける気を失せさせた。


 …瑠珠(ルージュ)の馬鹿。


 多分、日出(ひづる)が高良を好きだってことに、今ので気が付いたんだ。


 これで瑠珠(ルージュ)は、もう二度と高良と駅まで一緒に帰ったりしない。


 あんた、それで良いの?


 意地っ張り。見栄っ張り。プライド高くて―――優しいんだ。


 日出(ひづる)は、瑠珠(ルージュ)の後姿を、じっと見詰めていた。


 日出(ひづる)の馬鹿。


 諦めるって言ってたくせに。そりゃ、口で言ったってなかなか難しいもんだろうけど。


 ―――でも、羨ましい。


 この二人は、ちゃんと高良のことが『好き』なんだ。






(旧約聖書 続編 シラ書[集会の書]6.5―10 誠実な友)

のどの麗しい声は、友人を増やし、

舌のさわやかな語りかけは、

愛想のよい返事を増やす。

多くの人々と親しく挨拶を交わせ。

だが、相談相手は千人のうち一人だけに限れ。

友をつくるときは、試してからにせよ。

すぐに彼を信頼してはいけない。

都合のよいときだけ友となり、

苦難のときには、離れてしまう者がいる。

また、心変わりして敵となる友もいて、争いでお前が吐いた悪口を暴露する。

食事のときだけ友であり、苦難のときには、離れてしまう者がいる。




(新約聖書 マタイによる福音書 7.1―2)

「人を裁くな。あなたがたも裁かれないようにするためである。あなたがたは、自分の裁く裁きで裁かれ、自分の量る秤で量り与えられる。」

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