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キスをねだられ嫉妬が生まれ  作者: アルランド
32/82

過去に出来た傷とハグする思い

二人はベットに座り沈黙が続く

「何か様があるから来たんじゃないのか」俺は沈黙に耐え兼ね夢に聞く。

もじもじして結っていた長い黒髪を全部下したしなやかな後ろ髪を左右に小刻みに振っている。

どうしたものかと思っていたが沈黙を破り夢が話し出した。

「由樹兎君・・その左太ももの傷覚えてる?」夢は下を向いたまま呟く

「いや・・・どこかの山で滑落してしまって付けた傷だとか母親が言ってたが」

「それ、私のせいでついた傷なんだよ。」


私達がまだ小学3年生の時夏休みが終わりかけていて別れるのが嫌だった私が裏山に二人で行こうと誘ったの。

少し険しい所を上っててね。私がバランスを崩してかなりの急斜面から落ちそうになったんだ。

その時に私を助けようとして支えるようにして一緒に斜面を落ちて、枝か何かで大きく切っちゃたんだよ。

転落が止まる前に私をかばって頭うっちゃって由樹兎君気絶しちゃったんだよ。

俺の親から聞いた話は独りで山に登っていて滑落したと聞いていたのだが、そのあたりの記憶が曖昧で思い出せない。

確かにあと三日程で別れるという前に何処かで思い出作りしたいとかどちらかが言って山へ行ったような気もする。

しかしそんな衝撃的な事がまるっと記憶から抜け落ちるだろうか。

「私はその時、身を呈して守ってもらったおかげでかすり傷だけだった。

気を失ってる由樹兎君を助けてもらうために上に上がり私は大人のいる山の下まで走ったんだよ。

由樹兎が死んじゃうんじゃないかと本当に怖かった」夢は少し涙目になりながら震えている。

「そうだったのか・・・」俺は夢の方を見て言った。

「でね、病院で起きた由樹兎君を見て私は泣きじゃくってすがりついたんだよ。

覚えてないかな。

あの時私の王子様とか恋心に気づいたというか・・色々考えちゃった。小学三年生なのにね」

そう言ってやっと夢がこちらを向く。

少し涙を浮かべている表情でこちらを見ている。

「そんなに気にしなくていいさ。命に別条があったわけじゃないし。この通りピンピンしている。

頭にも足にも後遺症が出たりもしていないので問題は無い」

俺は立って夢の頭を撫でる。

すると夢まで立って俺に抱き着く

「こら約束は」おれが緩い口調で抗議する。

「いや」収まる処か余計に俺の胸に顔をこすりつけつつぎゅっと抱き着く力を強める。

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