⭕ この橋、渡るべからず! 1
──*──*──*── 閻渡碼街道
──*──*──*── 大橋の前
マオ:厳蒔磨絽
「 此処が依頼書に書かれてる閻渡碼街道にある大橋か…。
なんて……デカくて長くて立派なんだ… 」
厳蒔弓弦
「 マオ……言い方には気を付けた方が良いぞ? 」
絲腥玄武
「 横幅が広いな。
この大橋を渡らなければ向こう岸へは行けないようだ 」
セロ:式神
「 今は妖魔が出る事で、渡舟を利用し、向こう岸へは渡っているようですね 」
挧氤 黐音
「 …………妖魔の気配はしませんね…。
本当に妖魔が出るのでしょうか? 」
絲腥玄武
「 うむ、確かに妖魔の気配は感じんな。
昼間だから──という訳でもあるまい 」
セロ:式神
「 さて──、妖魔は何処に隠れているでしょう 」
厳蒔弓弦
「 隠れている──か。
隠れる場所と言えば、大橋の下ぐらいか 」
絲腥玄武
「 大橋の下には居そうに無いな。
川の中に潜んでいる可能性はないか? 」
厳蒔弓弦
「 大橋を利用する通行人に尋ねた情報を纏めると、“ 大橋を渡ろうとした者の姿が忽然と消える ” というのが殆どだ。
奇妙な現象が大橋で起こるの間違いないのだろう 」
挧氤 黐音
「 目撃者も多いみたいですし、疑いようはないかと思います 」
絲腥玄武
「 此方からも彼方からも大橋を渡れぬように通行禁止になっているな。
妖魔を炙り出すには、どうするべきか… 」
マオ:厳蒔磨絽
「 分かった! 」
セロ:式神
「 はい?
マオ、何が分かりました? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 ふっふ~~ん!
これは、アレだよ! 」
挧氤 黐音
「 磨絽殿、“ あれ ” とは何ですか? 」
絲腥玄武
「 我も “ あれ ” とやらが気になる 」
マオ:厳蒔磨絽
「 一休さんだよ! 」
厳蒔弓弦
「 いっきゅうさん…??
マオ、いっきゅうさん…とは何だ? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 これは、頓知なんだよ! 」
絲腥玄武
「 とんち…?? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そうなんだ。
これは、一休さんの頓知と似た原理──、妖魔から利用者達への問い掛けなんだよ! 」
絲腥玄武
「 ………………妖魔は人間に問い掛けないと思うが? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 これは──そう、一休さんで有名な【 この橋、渡るべからず事件 】と酷似してるんだ!!
『 この橋、渡るべからず 』ってのは、『 橋を渡るな! 』って意味じゃなくて、『 左右の端を渡るな 』って意味なんだよ!
だから、大橋の利用者達は、堂々と大橋の真ん中を歩いて渡れば良いんだ! 」
セロ:式神
「 マオ、話を聞いてました?
大橋を渡ると姿が忽然と消える怪奇現象が起きます。
被害者が出ぬよう、現在は通行禁止になってます 」
マオ:厳蒔磨絽
「 えっ?
そうなのか??
駄目じゃん 」
セロ:式神
「 駄目ですね 」
マオ:厳蒔磨絽
「 折角、オレなりに推理してみたのに…… 」
セロ:式神
「 マオの迷推理は健在ですね 」
マオ:厳蒔磨絽
「 渡ろうとしたら姿が消える──か。
神隠しかな?
………………一応、確認しときたい──。
{ この事件にセロは関与してないんだよな? }」
セロ:式神
「 はい?
{ 何故ワタシを疑います? }」
マオ:厳蒔磨絽
「{ 新しい実験台の確保とか〈 合成獣 〉の餌を補充するとか、理由はあるだろ?
セロなら転移魔法を大橋に仕掛けるなんてのは朝飯まえじゃんか! }」
セロ:式神
「{ 確かにワタシになら出来ますけど、こんな御粗末なやり方はしません。
騒ぎにならないよう上手くやります }」
マオ:厳蒔磨絽
「{ じゃあ、セロは完全に無関係なんだな? }」
セロ:式神
「 当然です 」
厳蒔弓弦
「 ──セロ、どうした?
何が『 当然 』なんだ?
何か分かったのか? 」
セロ:式神
「 奇妙な怪奇現象が起こる原因を考えてました 」
厳蒔弓弦
「 そうか。
何か分かったのか? 」
セロ:式神
「 弓弦さんに矢を射ってほしいです 」
厳蒔弓弦
「 矢を射るのか?
構わないが… 」
挧氤 黐音
「 セロ殿、何の為に矢を? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そうだよ。
射った矢で何が分かるんだ? 」
セロ:式神
「 弓弦さんに射ってもらうのは、特殊な矢です。
特殊な紐を結び付けた矢です。
先ずは紐を皆さんの腰に結び付けます 」
そう言ったセロは、矢に結んである高価そうな金色の紐をオレの腰に結び付ける。
1mの間隔を開けて、セロは自分の腰に金色の紐を結び付けた。
3番目は弓弦さんの腰、4番目は玄武さんの腰、5番目は挧氤さんの腰に結び付けると、紐の先を再び矢に結び付けた。
矢に結ばれている紐は、輪のようになった。
マオ:厳蒔磨絽
「 セロ、何だよ、これ。
何で、こんな事する必要があるんだ? 」
セロ:式神
「 はぐれない為です。
弓弦さんが矢を射れば分かります 」
セロは弓と金色の紐を結び付けてある矢を弓弦さんへ手渡した。
セロから弓矢を受け取った弓弦さんは、弓矢を構えると、セロが指示する方向──大橋の方へ向けて矢を射った。
弓弦さんの射った矢は、大橋へ向かって飛んだ筈なのに消えた。
腰に結び付けた金色の紐が物凄い力で引っ張られている。
オレ達の身体は、金色の紐に引っ張られて大橋の方へ動いた。
──*──*──*── 何処か
気が付いたら、見知らぬ場所に居た。
あった筈の大橋が無い。
あるのは白い骸骨だけだ。
マオ:厳蒔磨絽
「 何処だよ、此処は── 」
セロ:式神
「 此処は妖魔の領域のようです。
白骨は大橋へ踏み入れた被害者達の成れの果てです 」
絲腥玄武
「 妖魔に喰われたか… 」
挧氤 黐音
「 ──妖魔の気配がしませんね。
此処に妖魔が居るのですか? 」
厳蒔弓弦
「 領域を展開する妖魔が存在するとは初耳だな。
どうしたら出られるんだ? 」
セロ:式神
「 領域を展開している主を倒すしかないです。
妖魔も進化しているようです 」
絲腥玄武
「 セロ、この紐はどうするんだ?
付けたままが良いのか? 」
セロ:式神
「 外して問題ないです 」
そう言ったセロは、金色の紐を〈 テフ 〉に変換した。
金色の紐を結び付けられた矢も〈 テ
セロ:式神
「 妖魔が現れたら、マオは囮
妖魔の気を引くように 」
マオ:厳蒔磨絽
「 はぁ?!
またオレが囮
セロ:式神
「 魔
マオにしか出来ない役目です。
確
マオ:厳蒔磨絽
「 分かったよ……。
オレに道化
セロ:式神
「 お願いします。
マオの頑張りに掛かってます。
玄
絲腥玄武
「 うむ。
妖魔の動きを封じるのは任せると良
セロ:式神
「 弓
マオ:厳蒔磨絽
「 セロは何
セロ:式神
「 ワタシです?
ワタシは妖魔の防御力,素早さ,攻撃力,命中率を低下させます。
弓
絲腥玄武
「 マオが前方,弓
セロ:式神
「 餌を撒いて妖魔を誘き出します 」
挧氤 黐音
「 餌を撒く…ですか?
セロ殿、何
セロ:式神
「 挧
そう言ったセロは転移魔法を発動させる。
魔法
もしかして、〈 合成獣
セロ──、やるなぁ!
突如、大勢の真
産まれた時
挧
大量の人間を妖魔の領域
空気が変わったんだ。
挧氤 黐音
「 ──妖魔の気配がします!! 」
厳蒔弓弦
「 戦闘態勢に入った方が良
絲腥玄武
「 陣形を組もう。
マオ、行けるか? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 オレは何
オレは腰に下げてる愛
オレの背後に立つのは、右から挧
玄
セロは詩
オレに詩
だけどさ──、1度ぐらいはオレにも詩
いや、それよりもだ、オレ達は大事な事を忘れている!!
キノコンが居
キノコンに妖魔へ目掛けてキノコン砲
態
そうだよ、最前線に立つのはオレじゃなくても良
セロに頼んでキノコンと交代してもらおう!
キノコンの放つキノコン砲
オレ、冴えてるじゃん!!
──というわけで、オレはセロへ直談判する事にした。




