⭕ 久し振りの再会 2
マオは嬉しそうに笑顔で右手を振りながら駆け寄って来る。
マオは走るが、セロフィートは走らない。
走るマオを見ながら歩いて近付いて来ている。
マオ:厳蒔磨絽
「 弓弦さ~~ん!
玄武さ~~!
オレ──、退魔師試験に合格出来たよ!!
晴れて退魔師になれたよ! 」
厳蒔弓弦
「 そうか──、おめでとう。
良かったな 」
絲腥玄武
「 セロが居るんだ。
不合格になるとは思ってなかったぞ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 えへへ(////)
魔具を作ってもらえる事になったよ!
『 2週間後に来い 』って言われたよ 」
厳蒔弓弦
「 そうか、それは良かった。
どんな魔具を頼んだんだ? 」
厳蒔磨絽
「 うん、刀だよ。
本当は双刀が良かったんだけど──、魔具職人から『 欲張るな! 』って怒られちゃったよ… 」
厳蒔弓弦
「 ははは──、そうか。
魔具職人はマオの強さを知らないからな。
退魔師の階級が上がれば、魔具職人も考えを変えて作ってくれる。
落ち込む事はない 」
厳蒔磨絽
「 うん…。
有り難う、弓弦さん(////)」
弓弦に励まされたマオは嬉しそうに笑顔を見せる。
マオよ、弓弦との会話が弾むのは良い事だと思うが──、セロフィートの事を忘れてやしないか??
弓弦も普段ならば見せないような笑顔をマオに向けているように見える。
傍から見れば仲の良い兄弟に見えなくもない。
悪い事ではないが……、セロフィートの存在を忘れてはいけないぞ、弓弦よ。
セロフィートが近付いて来ている事を弓弦に教える為、我は弓弦の傍に立ち、然り気無く咳払いをしてみるが、弓弦はマオしか目に入っていないのか我の咳払いには気付かぬようだ。
セロ:式神
「 おや、初めましての方が居ますね。
何方でしょう? 」
弓弦へ直行したマオよりも先にセロフィートが挧氤に気付いたようだ。
紹介をしなければならないな。
絲腥玄武
「 セロ、彼は挧氤だ。
此処にある八角堂の中で出逢った。
気功術を扱う気孔師だ 」
セロ:式神
「 気功術?
気功師…です? 」
セロフィートは初めて聞く単語に首を傾げている。
我の不安が的中したのか──、セロフィートは挧氤に対して興味を持ちそうだ。
挧氤
「 初めまして、ですね。
気功師の挧氤 黐音と言います。
私の事は気軽に “ 挧氤 ” と呼んでいただきたい 」
セロ:式神
「 ………………ふふふ。
此方こそ初めまして、挧氤さん。
ワタシは厳蒔磨絽の式神をしているセロです。
ワタシの事も気軽に “ セロ ” と呼んでください 」
セロフィートの間と「 ふふふ 」笑いが気になる……。
挧氤よ、セロフィートには重々気を付けろよ?
まぁ……無理だと思うがな……。
挧氤 黐音
「 セロ殿ですね。
宜しくお願いします。
セロ殿は神々しい御方ですね 」
セロ:式神
「 ワタシが “ 神々しい ” です?
挧氤さんは中々気配には敏感で鋭い御方のようですね 」
挧氤 黐音
「 私は盲目な分、他の能力が発達しているんです。
その影響だと思います 」
セロ:式神
「 そうですか。
マオ、初めましての挧氤さんへ挨拶してください 」
マオ:厳蒔磨絽
「 え?
初めましての人って?? 」
厳蒔弓弦
「 そうだったな。
紹介するのが遅れて済まない、挧氤。
マオ、彼は挧氤と言ってな、其処の八角堂の中で逢った気功師だ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 気功師??
──初めまして、挧氤さん。
オレは陰陽師で今日、退魔師になれたばかりの厳蒔磨絽です!
弓弦さん──、兄さんの弟だよ。
宜しく!
オレの事は “ マオ ” で良いよ 」
挧氤 黐音
「 初めまして、磨絽殿。
気功師の挧氤 黐音と言います。
私の事も気軽に “ 挧氤 ” と呼んでください 」
マオ:厳蒔磨絽
「 うん!
挧氤さんは両目が見えてないんだね。
セロなら見えるように出来るよ。
だよな、セロ 」
セロ:式神
「 先天性の障碍でなければ治せますけど、必ずしも見える事が良い事とは限りませんよ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 どゆことだよ? 」
挧氤 黐音
「 有り難い申し出ではありますが、私は現状の状態で良いのです。
慣れてしまっているので、今更両目が見える様になったとしても戸惑うだけですので…… 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そうなんだ…。
ところで、気功師って初めて聞くね。
挧氤さんも退魔師なの? 」
挧氤 黐音
「 そうです。
《 北地区 》にある退魔仲介所本部に登録しています 」
マオ:厳蒔磨絽
「 へぇ、そうなんだ?
オレも兄さんと同じ《 北地区 》の退魔仲介所に登録してもらったんだ! 」
絲腥玄武
「 同業者が3人も集まると賑やかだな 」
セロ:式神
「 弓弦さんと玄武さんは依頼中です? 」
厳蒔弓弦
「 いや、依頼は解決済みだ。
報告する為に退魔仲介所へ戻る所だな 」
マオ:厳蒔磨絽
「 じゃあさ、セロの── 」
セロ:式神
「 同伴しましょう。
此処から何時間ぐらいです? 」
厳蒔弓弦
「 妖魔を相手にするからな──。
片道3時間程だな 」
セロ:式神
「 日が暮れる前には下山出来そうですね 」
マオ:厳蒔磨絽
「{ セロ──、何で転移魔法を使わないんだよ?
転移魔法を使えば直ぐだろ }」
セロ:式神
「{ マオのお馬鹿さん。
挧氤さんが居るでしょうに。
転移魔法は当分、使いません }」
マオ:厳蒔磨絽
「{ あ……そっか。
でもさ、挧氤さんは目が見えないんだし、別に良いんじゃないのか? }」
セロ:式神
「{ ふふふ…。
マオも未々ですね♪ }」
マオ:厳蒔磨絽
「{ 何で嬉しそうなんだよ! }」
セロフィートとマオが2人で内緒話をしているようだが、マオは表情が豊過ぎるな。
何をセロフィートと話しているのか知らぬが、見ていて微笑ましい限りだ。
弓弦も表情がコロコロと変わるマオを見て、可笑しそうに笑っている。
マオと仲が良過ぎるセロフィートに対して嫉妬はしていないようだ。
──*──*──*── 山中・野営
日が暮れる前に下山が出来なかった事もあり、山中で野営をする事となった。
セロフィートが周囲を見張り、キノコン,弓弦,マオが夕食の料理を作った。
今は焚き火を囲んで楽しい食事中だ。
マオとセロフィートが居ると食事が賑やかになるな。
マオ:厳蒔磨絽
「 セロぉ~~!
セロはオレの式神だろ!
挧氤さんに世話焼き過ぎじゃないか? 」
セロ:式神
「 世話なんて焼いてません。
ワタシは純粋に挧氤さんと仲良くなりたいだけです 」
マオ:厳蒔磨絽
「 仲良くぅ?
良く言うよ!
気功師だの気功術が気になって、スイッチが入っちゃってるだけだろ!
挧氤さんに近過ぎるよ! 」
厳蒔弓弦
「 セロ、マオをからかい過ぎではないか? 」
セロ:式神
「 おや、そんな風に見えます?
心外です♪ 」
はぁ……。
セロフィートは明らかにマオをからかって面白がっているな。
マオも大変だな。
賑やかで楽しい食事は良い。
キノコンは率先して後片付けを始めている。
セロフィートが居るからか、心無しか嬉しそうだ。
うむ、どんなに見てもキノコンの可愛いさには飽きないな! ←─ カオスな現状から現実逃避中
◎ 自称「 弓弦の妻 」を名乗るミカトのライバル的な存在として挧氤を登場させてみたのですが、ミカトと絡む事があるのか……。
絡めれるように頑張ろうと思います。
◎ 訂正しました。
気孔 ─→ 気功




