✒ 不眠の呪いを掛けた妖魔 3
セロ:式神
「 ──マオ、起きてください 」
マオに掛けていた睡眠魔法を解いたセロフィートは、眠りが浅くなったマオの身体を優しく揺する。
何度か揺るられて、マオは漸く目を覚ました。
マオ:厳蒔磨絽
「 ──うぅん…………セロぉ~~?? 」
セロ:式神
「 はい。
マオだけのセロフィートは此処に居ます 」
マオ:厳蒔磨絽
「 …………セロ……オレは…………どうしてたんだ……?? 」
セロ:式神
「 見事な狸寝入りでしたよ。
眠ってしまわなければ──ですけど 」
マオ:厳蒔磨絽
「 えぇっ?!
オレ、本当に寝てたのか?? 」
セロ:式神
「 それはもう、ぐっすりと──。
欲張って茶菓子を食べ過ぎるからです 」
マオ:厳蒔磨絽
「 だってさ、残すの勿体無かったし!
セロだって『 ワタシの分もどうぞ 』ってくれたじゃんか。
出されたら食べ切るのは礼儀だろ~~ 」
セロ:式神
「 はいはい…。
兎に角、起きてください 」
マオ:厳蒔磨絽
「 うん……。
此処は── 」
セロ:式神
「 マオは依頼主の式神に担がれて地下室へ運ばれました。
周りを見てください。
屋敷に隔離されていた集落民達と屋敷へ入ったきり出て来なかった退魔師達です 」
マオ:厳蒔磨絽
「 本当だ!
こんなにも居たんだな…。
──って言うか、寝てんじゃんか!
皆不眠で大変な状態だったんじゃなかったのかよ? 」
セロ:式神
「 不眠だったのは状態異常に掛かっていた所為です。
ワタシが状態異常を解いた為、気を失っている状態です。
目を覚ませば自力で屋敷から出て行きますよ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そっか……。
無事だ何よりだよ。
セロ、有り難な! 」
セロ:式神
「 どう致しまして。
死人が出てなくて幸いでした。
マオの評価に響き兼ねませんし 」
マオ:厳蒔磨絽
「 オレの評価に響くって酷くないかな? 」
セロ:式神
「 マオ、捕らわれている妖魔を探しに行きましょう 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そだな。
退治しないといけないもんな。
でもさ、妖魔は実体が無いから捕まえるなんて出来ないじゃんか。
妖魔じゃないんだろうな。
妖怪とか妖かしの類いなんじゃないのかな? 」
セロ:式神
「 確かめてみましょう 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そだな!
── “ 呪いだ ” って思われてたのが、“ 状態異常だった ” って事だし、一寸安心だな~~。
抑さ、妖魔って呪いを掛けれたりするもんなのか? 」
セロ:式神
「 キノコンですら未だに妖魔を捕らえる事が出来てません。
残念ですけど、調べようがないですね 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そっか。
キノコンは未だ諦めてないんだな~~ 」
セロと一緒にだだっ広い部屋を出て、地下室を歩いていると部屋を見付けた。
マオ:厳蒔磨絽
「 セロ──、此処、入れるんじゃないかな! 」
セロ:式神
「 入ってみます? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 当然! 」
オレはドアの付いていない部屋の中へ入った。
──*──*──*── 空き部屋
かなり広い部屋みたいだけど、ガラン──としている。
誰も居ないみた────い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛?!
マオ:厳蒔磨絽
「 セ、セロぉ~~!!
たったたたたっ──大変だよっ!!
人が──いや、人じゃないのか?
兎に角、鎖に繋がれてるよ!! 」
セロ:式神
「 依頼主が言っていた “ 妖魔 ” です? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 分かんないよ。
でも──、もしかしたら……そうかも…。
セロ、助けてあげよう! 」
セロ:式神
「 はいはい。
そうは言っても警戒はしてください。
状態異常を与える能力を持っているようですし 」
マオ:厳蒔磨絽
「 あっ……そうだよな。
オレは近付かない方が良いかな? 」
セロ:式神
「 こういう時、陰陽師は式神を盾にするものです 」
マオ:厳蒔磨絽
「 セロを壁にして近付くって事か? 」
セロ:式神
「 そうです。
さっ、近付きますよ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 うん…… 」
セロの後ろに隠れて、鎖に繋がれている人──いや、人の姿をしているけど、人じゃないのは見て分かる。
両手は鳥の翼になっていて、鎖が幾つも打ち込まれている。
逃げれないように壁に打ち付けられているように見える。
赤紫色の血が滲んでいて、綺麗な翼が台無しだ。
容姿だけじゃなくて、血の色からしても人間とは異なる生物だって分かる。
それにしたって、随分と太くて丈夫そうな釘が刺されていると思う。
釘の数も多いし……酷い事しやがる。
左右の腕は鳥の翼をしているけど、上半身は人間と同じだ。
胸はデカい。
ミカトさんの胸には敵わないけど、豊満な方だと思う。
乳首は無いみたいだ。
人間じゃないから──かな??
上半身も傷だらけで赤紫色の血が滲んでいる。
所々、肉が削がれていて痛々しい。
上半身にはストローみたいなのが突き刺されていて、器の中には血が溜まっている。
どうやら血液を抜く為にブッ刺されているみたいだ。
酷ぇ事しやがるっ!!
下半身は魚みたいになっていて、人魚みたいになっている。
乾いても人間の足にはならないみたいだ。
綺麗な光沢の鱗が剥が乱暴に剥がされていて血が滲んでいる。
骨が見えるぐらいに肉も削がれている。
近くには痛め付ける為に使われているらしい道具が作業台の上に置かれていて、血が付着していて生々しい。
作業台の上には、くり抜かれた眼球と抜き取られたのか切り取られたのか──、舌も置かれている。
本当に酷い有り様だ。
人間は此処まで酷い仕打ちが出来るのかよ!!
オレも元人間だけど!
怒りが込み上げて来る。
マオ:厳蒔磨絽
「 ……これは…………あの依頼主がしたのか?
何で……こんな酷い…… 」
絞り出したオレの声は震えていた。
痛々しくて何時までも見ていられない。
セロ:式神
「 依頼主が式神にさせた線もあります。
暴行も受けていたようですね。
身体の彼此に痣が出来てます 」
マオ:厳蒔磨絽
「 …………言わなくていいよ… 」
セロ:式神
「 ──喉も潰されてますね。
これでは歌う事は出来ません。
依頼主は嘘の証言をした事になります 」
マオ:厳蒔磨絽
「 何で嘘なんて吐く必要があるんだよ… 」
セロ:式神
「 睡眠薬入りのお茶や茶菓子を食べさせて地下へ運ばせるぐらいです。
嘘ぐらい平気で吐くでしょう 」
マオ:厳蒔磨絽
「 確かに……。
眠ってたら歌声なんて聴こえないもんな… 」
セロ:式神
「 彼女はセイレーンですね。
迷子にでもなって迷い込んだのかも知れません 」
マオ:厳蒔磨絽
「 セイレーン?
海を泳いでる人魚と違うのか? 」
セロ:式神
「 セイレーンと言っても≪ 大陸 ≫に寄って姿は違います。
彼女が何処の≪ 大陸 ≫から来たのか分かりませんけど、この≪ 島国 ≫に近い≪ 大陸 ≫の可能性は大きいですね。
弓弦さんは海が荒れる大嵐の後には渡り人が浜に打ち上げられる事が多い──とも言ってましたし、怪物が浜に打ち上げられる事も稀にあるかも知れません 」
マオ:厳蒔磨絽
「 有り得そうかも。
巨漢の鮫や鯨が打ち上げられたりする事だってあるんだもんな。
可能性は低いかも知れないけど、0とは断言は出来ないよな…。
じゃあ、このセイレーンは災難に遭ったんだな。
運が悪かった──って事なのかな… 」
セロ:式神
「 この≪ 集落 ≫は海から遠いですから、売られて来たのかも知れませんね。
移動する見世物小屋もありますし 」
マオ:厳蒔磨絽
「 …………怪物なんて見慣れてないし珍しいから、変わった妖魔だって思われていたのかも知れないな…。
セロ、怪物って丈夫なんだし、未だ生きてたりしないのか?
生きてるなら助けたいよ 」
セロ:式神
「 残念ですけど、息をしてません。
血を大量に抜かれてますし、此処を見てください。
此処から心臓や臓物を取り出した痕もあります。
死んでますよ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 ………………心臓や臓物まで抜かれてるのかよ?!
血液と肉と鱗だけじゃないのかよ! 」
セロ:式神
「 羽根もむしり取られてます。
既に亡くなってますし、倒す必要はないですね。
集落民達も退魔師達も解放しましたし、依頼は解決です 」
マオ:厳蒔磨絽
「 うん……。
セロ──、セイレーンを弔ってやろうよ。
このままにしとくのは流石に…… 」
セロ:式神
「 素材だけ残して〈 テフ 〉へ変換します。
良
マオ:厳蒔磨絽
「 こんな状態のセイレーンから素材を取るのかよ…。
セロはセイレーンの状態を見ても微動だにしないぐらいだもんな… 」
セロ:式神
「 拷問された死体など見飽きてますからね 」
マオ:厳蒔磨絽
「 言わなくていいってば……。
セロは拷問する側だもんな!
──で、依頼主と式神は、どうすんだよ? 」
セロ:式神
「 それなら戦闘用〈 器
屋敷には依頼主と式神しか居
マオ:厳蒔磨絽
「 そうなんだ…。
悪い奴なのは分かったけどさ、どうするんだ? 」
セロ:式神
「 丁度、陰陽師が欲しかった所です。
実験に使います♪ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 あ~~~うん……。
そだな~~。
…………保護した子供達がセロの実験台
悪行三
セロ:式神
「 マオ公認ですね♪ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そ、そうなっちゃうな~~……。
セロ、依頼主と式神の事は片付いたとしてさ、この屋敷はどうするんだ? 」
セロ:式神
「 旅館に改装して〈 器
マオ:厳蒔磨絽
「 旅館? 」
セロ:式神
「 天然温泉を売りにします。
セイレーンの素材を使い、反
旅館で提供する料理はキノコンに作らせます 」
マオ:厳蒔磨絽
「 美
受け入れられるのかな? 」
セロ:式神
「 温泉を知らなかった弓
浸透する迄は退魔仲介所に来
退魔師は彼
マオ:厳蒔磨絽
「 退魔師を対象にするのか。
今迄、宿泊して来
セロに任せるよ! 」
セロ:式神
「 退魔仲介所へ戻りましょうか 」
マオ:厳蒔磨絽
「 うん! 」
セロはセイレーンから素材だけ残して〈 テ
地下室を出て、隔離屋敷から出る。
この立派な屋敷が旅館に改装されるのか。
開業したらオレも利用したいもんだな。
セロに頼んで連れて来
◎ 訂正しました。
生きをしてません ─→ 息をしてません




