✒ 不眠の呪いを掛けた妖魔 1
──*──*──*── 集落
セロの転移魔法で≪ 集落 ≫に到着した。
≪ 集落 ≫へ入って、先ずは退魔仲介所へ向かう。
キノコン達が情報収集をして纏めてくれた資料によると、不眠に悩んでいる集落民は1ヵ所に集められているそうだ。
暴れたり、幻覚が見えていたり、幻聴が聞こえているらしく、隔離されているらしい。
重症じゃんな!
──*──*──*── 退魔仲介所
退魔仲介所に入ったら以下略────。
受付人に依頼書へスタンプを押してもらったら、不眠者達が隔離されている屋敷を教えてもらえた。
受付人の話では、依頼を受けた退魔師が何人も居るらしい。
妖魔退治に失敗して不眠者として一緒に隔離されているらしく、退魔仲介所は人手不足で困っているみたいだ。
不眠の呪いを掛けた妖魔を倒して、退魔師も助けてほしいと頼まれた。
断る理由はないから引き受ける事にしたんだけど──、セロは「 タダでは駄目です 」と言って、受付人の弱味に漬け込んで条件を出した。
セロの出した条件は、【 キノコンを退魔仲介所に住み込ませて御手伝いをさせる 】事だった。
人手不足で困っていた受付人は、猫の手も借りたい状態だったのか──、秒で条件を受け入れてくれた。
“ 厳蒔磨絽の式神 ” として1体のキノコンを退魔仲介所に残して、セロと一緒に退魔仲介所を出た。
──*──*──*── 隔離屋敷
集落民達から痛々しい視線を向けられながら、受付人に教えてもらった屋敷へ歩く。
退魔師が何人も屋敷へ向かってから、誰1人も出て来ないから「 また犠牲者が来たよ… 」って呆れられている感じなのかも知れないな。
屋敷に到着して、屋敷の中へ入って、とある部屋に案内される。
部屋の中には依頼主が居て、立派な座布団に座っていた。
マオ:厳蒔磨絽
「{ 平安貴族っぽい格好してるけど、この人が依頼人かな? }」
セロ:式神
「{ キノコンの資料に似顔絵が描いてありました。
間違いないです。
隔離屋敷の間取りも描かれてました。
地下室へ通じる秘密通路があります }」
マオ:厳蒔磨絽
「{ えぇ~~。
事件臭がプンプンするじゃんかよ! }」
依頼主
「 ──どうされたのですかな? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 あっと──、失礼しました。
退魔仲介所の依頼を受けて来ました陰陽師の厳蒔磨絽と言います。
此方はオレの式神のセロです 」
依頼主
「 陰陽師の厳蒔様ですね。
ようこそ御越しくださいました。
どうぞ、お座りください 」
マオ:厳蒔磨絽
「 失礼します 」
オレとセロは畳の上に正座をする。
自分だけ座布団の上に座りやがって!
セロとオレは客人なんだから、座布団ぐらい用意してほしいと思う。
これはオレの我が儘なのか?
マオ:厳蒔磨絽
「 妖魔を倒して不眠の呪いを解いて、不眠者を助けてほしい──って依頼でしたよね?
集落民や退魔師に不眠の呪いを掛けた妖魔は何処に居るんですか? 」
依頼主
「 妖魔は既に捕らえております。
地下に居るので退治してください 」
マオ:厳蒔磨絽
「 捕らえてる??
妖魔は実体がないから捕まえられない筈だけど… 」
セロ:式神
「 先ずは妖魔が捕らわれている地下へ行くとしましょう 」
マオ:厳蒔磨絽
「 それもそうだな 」
依頼主
「 妖魔の歌声にお気を付けください。
妖魔の歌声を聴くと様子がおかしくなるのです 」
マオ:厳蒔磨絽
「 歌声?
歌声を聴いたから眠れなくなったのかな?
歌えないように喉を潰したら良いんじゃないかな? 」
セロ:式神
「 試してみましょう 」
マオ:厳蒔磨絽
「 依頼主さん、早速だけど、地下室に通じる秘密通路へ案内してくれる?
妖魔を見たいからさ 」
依頼主
「 秘密通路…ですかな? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 あれ──、違うの?
ある筈だよね?
その為の秘密通路なんだろ? 」
セロ:式神
「 もしかしたら、依頼主さんは秘密通路の存在を存じないのかも知れませんね 」
マオ:厳蒔磨絽
「 あ~~それはあるかもな。
地下へ通じる秘密通路は此方で探してみるよ。
セロ、行こう 」
セロ:式神
「 先ずは右へ進んでみましょうか 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そだな 」
依頼主
「 おっ──御待ちください!
勝手に屋敷の中を歩き回らないで頂きたい! 」
マオ:厳蒔磨絽
「 依頼主さんが直々に地下室へ案内してくれるって事? 」
依頼主
「 そ…それは……。
と、取り敢えず──、お茶をどうぞ!
茶菓子もありますので── 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そんな悠長にしてて良いの?
妖魔を倒して退治してほしいんだよね?
お茶なんて暢気に飲んでる場合じゃないと思うけど? 」
セロ:式神
「 マオ、良いではないですか。
折角です、頂きましょう。
ワタシは式神ですから、マオが食べてください 」
マオ:厳蒔磨絽
「 セロ──。
{ 何で急に?
オレは別に── }」
セロ:式神
「{ おや、マオは怪しいと思いません?
妖魔退治を依頼しておきながら、地下室へ案内するどころか、お茶と茶菓子を薦めるなんて── }」
マオ:厳蒔磨絽
「{ そう言われてみれば……。
確かに変かも…だよな! }
折角だし、御馳走になります!
実は喉が渇いていたし、お腹も空いてたんです。
有り難く頂きます! 」
依頼主
「 そうでなければね!
どうぞ──、御召し上がりください! 」
オレがお茶と茶菓子を御馳走になると分かると、依頼主は嬉しそうに笑顔を見せてくれる。
何でそんなに嬉しいんだか?
う~~ん、やっぱり怪しい??
オレは出されたお茶を飲みながら、茶菓子を食べる。
平民には決して手の出せない高級茶と茶菓子だって分かる。
まぁ──、キノコンが作ってくれる和菓子には敵わないけどな~~!
セロ:式神
「 美味しいです? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 うん、まぁな!
{ セロ──、お茶と茶菓子から変な味がするんだけどさ…………これって……。
セロ、この依頼主って黒って事かな? }」
セロ:式神
「{ マオ、演技出来ます? }」
マオ:厳蒔磨絽
「{ 演技って? }」
セロ:式神
「{ 狸寝入り寝入りです。
睡眠薬が混入されてます。
眠りに就いたら、地下室へ運んで貰えるかも知れませんよ }」
マオ:厳蒔磨絽
「 えぇっ!? 」
依頼主
「 ど──どうか、されましたかな? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 えっ、あ…………おっ美味しいなぁ~~って!
思わず驚いちゃうぐらい美味しいですよね!
あはははは~~~~…… 」
笑って誤魔化しているマオを横目に、セロフィートはコッソリと睡眠魔法をマオに掛けた。
強力な睡魔に襲われたマオの身体は、左右にフラフラと大きく揺れ始める。
セロ:式神
「 マオ、どうしま── 」
言い終わる前に、セロフィートの身体が透けて消えた。
マオは畳の上に横たわり、スヤスヤと寝息を立てて眠っている。
依頼主
「 ………………はぁ~~。
やっと効いたか……。
それにしても、このガキは随分と飲んで食べやがったな。
他の退魔師は一口飲んで効果が出たってのに……。
陰陽師だからか??
…………まぁ兎に角、睡眠薬が効いて安心た。
──おい、アシュカ!
ボケッとしてないて、さっさとコイツも地下室へ運んどけ! 」
アシュカ
「 御意 」
アシュカと呼ばれた式神は爆睡して眠り呆けているマオを軽々と持ち上げると部屋から出て行った。
依頼主
「 退魔師が来ると思っていたのに、陰陽師とはな……。
然も、人型の式神を使役しているとは──。
ガキのくせに……。
後で、ガキの式神を奪ってやるとするか! 」
依頼主は「 あははははっ! 」と高笑いをすると、畳の上にゴロンと寝転がり居眠りを始めた。




