✒ 尻小玉を抜く妖かしの正体 1
──*──*──*── とある里
──*──*──*── 退魔仲介所
≪ 里 ≫に到着したら忘れずに退魔仲介所へ立ち寄って以下略────。
マオ:厳蒔磨絽
「 よぉ~~し、退魔仲介所で依頼書にスタンプを押してもらえたし、問題の池へ行ってみよう! 」
セロ:式神
「 情報収集も忘れずにしましょう 」
マオ:厳蒔磨絽
「 えっ──、嫌だよ。
情報を得る為でも手伝いとかさせられたり、頼まれ事をされたりで、疲れるだけじゃんか!
情報を得る迄にコキ使われ捲るんだぞ!
情報収集なんかしたくない!
池に住み着いた妖かしを退治すれば良いだけだろ! 」
セロ:式神
「 依頼書に書かれている事だけが全てではない筈です。
確かに情報を得る迄には手間も時間も掛かります。
ですが、情報収集でしか入手の出来ない貴重な情報もあります。
情報収集を疎かにしない事です 」
マオ:厳蒔磨絽
「 だったら──、〈 器人形 〉とかキノコンにでもさせてくれよぉ~~!
オレは嫌だぁ~~!! 」
セロ:式神
「 はいはい。
式神に情報収集をさせるのも1つの手ですね。
情報収集に長けたキノコンにさせましょう 」
セロは転移魔法を発動させると魔法陣からキノコンが現れた。
キノコン
「 呼ばれて飛び出てキノコンですエリ☆ 」
可愛いキノコンが、可愛いポーズを決めて、可愛い声で言う。
ウインクするキノコンも可愛いぃ~~(////)
気持ちが癒やされて浄化するぅ~~~~(////)
セロ:式神
「 マオの代わりに妖かしが住み着く池に関する情報を里人達から収集しなさい 」
キノコン
「 畏まりましたエリ!
分裂して情報収集を始めますエリ 」
キノコンはセロに向かってビシッと敬礼をすると、元気に体を上下に動かしながらピストン運動を繰り返して分裂を始めた。
30体程に分裂したキノコン達は、セロがコピーした依頼書を持つと情報収集をする為に張り切って散って行った。
セロ:式神
「 これで良いです? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 うん、有り難な 」
情報収集は確かに重要な作業だとオレも思う。
疎かにしたり手抜きしたりしないで、ちゃんと情報収集はした方が良いに決まっている。
だけど、面倒な情報収集を態々自分から直々にする必要なんか無い筈だ。
使えるものを駆使して楽に情報収集をしたって良いと思うんだよ。
オレにはセロが居てくれる。
セロは〈 器人形 〉やキノコンに命令や指示を出して動かす事が出来る。
オレは楽して情報収集が出来る立場に居るわけだ。
利用出来るものを利用して悪い事なんて無い筈だ!
「 陰陽師は雑用を式神にさせて楽するものだ 」って、弓弦さんも言ってた!
だから、これで良いんだよ!
多分な~~。
──*──*──*── 池
マオ:厳蒔磨絽
「 此処が池かぁ……。
濁ってて汚なくて臭いな~~。
こんな汚ない水が張ってる池に住み着いてる妖かしって…………気持ち悪いな… 」
セロ:式神
「 魚は泳いでますね 」
マオ:厳蒔磨絽
「 こんな汚ない池の中でも生きれる魚って凄いな…。
セロ、こんなに汚ない水じゃあ、妖かしが居ても見えないよ。
飲めるぐらい綺麗な水に変えれないかな? 」
セロ:式神
「 はいはい。
浄化魔法を使います 」
マオ:厳蒔磨絽
「 掃除魔法の1つだな!
あっ──でもさ、急に水が綺麗になったら魚が吃驚するんじゃ…… 」
セロ:式神
「 大丈夫です。
魚も一緒に浄化されます。
綺麗な水に驚いたりしません 」
マオ:厳蒔磨絽
「 良かった。
じゃあ、頼むよ 」
セロ:式神
「 はいはい 」
セロは掃除魔法の中にある浄化魔法を発動して、汚なくて臭い池の水を綺麗にしてくれた。
魔法を使うと「 あっ! 」と言う間に汚なく濁っていた池の水が生まれ変わったかのように綺麗になった。
透き通るように透明になった池の水からは、臭い臭いはしなくなった。
池の底も見えるぐらい綺麗で──、本当についさっき迄の汚ない池なのか信じられない。
マオ:厳蒔磨絽
「 見違えたなぁ~~!
心無しか、魚も喜んでるように見えるよ 」
セロ:式神
「 序でに池の水が今後、濁ったり汚れないようにしときました。
雨が降っても濁ったりしません。
魚だけでなく、水草も生き生きしてます 」
マオ:厳蒔磨絽
「 やっぱりさ、池の水は綺麗じゃないとな!
飲めるようになったのか? 」
セロ:式神
「 綺麗な水でしか生きられない魚が元気に泳いでます。
安心して飲めますよ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 さてと──、これで池に住み着いた妖かしを探し易くなったな!
何処に居るんだろう… 」
セロ:式神
「 マオ、あれを見てください。
葉っぱの上に丸い物が幾つも乗ってます 」
マオ:厳蒔磨絽
「 何だろうな?
白っぽい……。
御供えの団子かな? 」
セロ:式神
「 もしかして、子供達から抜き取られた尻小玉…とやらではないです? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 え゛っ!?
あれが尻小玉??
名前からして、ばっちそうなアレ? 」
セロ:式神
「 池の水を綺麗にした事で──、抜き取った尻小玉とやらを妖かしが返してくれたのかも知れませんね 」
マオ:厳蒔磨絽
「 池の水を綺麗にしたから……。
う~ん……池の水を汚されたから、妖かしが怒っていた──って事かな?
“ 綺麗だった池の水に戻せ! ” って意味で子供達を襲っていたのかな?? 」
セロ:式神
「 さて、それは尻小玉とやらを抜き取った妖かしに聞いてみなければ、真相は分かりません。
理由はどうあれ、抜き取られた尻小玉とやらを回収する事は出来ました。
これで子供達が助かれば、池に住み着いた妖かしを退治する必要はないでしょう。
抜き取った尻小玉とやらを態々返してくれたのです。
悪い妖かしでもないのでしょう 」
マオ:厳蒔磨絽
「 じゃあ、尻小玉を里長に渡してたら依頼は解決かな? 」
セロ:式神
「 子供達が目を覚ませば──、ですよ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そだな 」
オレとセロは尻小玉を持って池から離れると里長の長屋へ向かって歩いた。
──*──*──*── 里長の長屋
里長
「 ──おぉっ、これは……正しく池に住み着いた妖かしに抜き取られた尻小玉です!
あぁぁぁぁ……取り返してくださったのですねぇ!!
有り難う御座いましたぁ~~、陰陽師様ぁ!! 」
マオ:厳蒔磨絽
「 どう致しまして──と言いたい所だけど、先ずは本当に尻小玉なのか確かめないと。
尻小玉を抜かれたっていう子供達に返してみてよ。
子供達が目を覚ましたら依頼は解決だよ 」
里長
「 た、確かに陰陽師様の仰有る通りですな!
では早速、尻小玉を抜かれた子供達の長屋へ向かいましょう 」
オレはセロと一緒に里長の背中を追って、里長の長屋を出る。
妖かしの被害に遭った子供達の長屋へ向かう事にした。




