表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☀「 セロ 」もしも、マオとセロフィートが退魔師になったら……。  作者: 雪*苺
一一八日目 【 Goto 退魔師試験 】
66/169

✒ 退魔師試験を受けよう 4


──*──*──*── 廃寺院・内部


 手入れをされていて綺麗だった頃の面影の欠片も無い荒れ果てている廃寺院の中をセロと一緒に歩いていると、いくつもの人骨を見付けた。

 かなり時間が経っているのか骨が偏食している。


マオ:厳蒔磨絽

「 ──セロ、これって…… 」


セロ:式神

「 明らかに子供の骨です 」


マオ:厳蒔磨絽

「 子供の骨??

  これ全部かよ?! 」


セロ:式神

「 子供の骨だけではないです。

  大人の骨も混ざっています 」


マオ:厳蒔磨絽

「 …………あっ!

  もしかして、神隠しに遭った人達の骨なんじゃないのか?

  廃寺院に住み着いてる妖魔に連れ去られて、われたんだよ!!

  セロ、妖魔を見付け出して退治しよう!! 」


セロ:式神

「 ──ははぁ、そう言う事ですか。

  マオ、妖魔退治をする必要は無いです 」


マオ:厳蒔磨絽

「 は?

  なにを言い出すんだよ??

  廃寺院に住み着く妖魔を退治しないと試験は合格しないんだぞ! 」


セロ:式神

「 マオ、カレは被害者です 」


マオ:厳蒔磨絽

「 当たり前だろ。

  妖魔にわれたんだから、被害者に決まってるじゃんか 」


セロ:式神

「 妖魔にべられた被害者ではなく、≪ 村落 ≫に暮らしている村人達に捨てられた被害者です 」


マオ:厳蒔磨絽

「 はぁ??

  村人達に捨てられた被害者ぁ??

  どゆことだよ? 」


セロ:式神

カレの骨は骨壺へ納めて持ち帰り、家族の元へ帰します。

  骨の持ち主達の姿を〈 (原質)(みなもと) 〉で構成します。

  カレが廃寺院へ置き去りにされなければならなかった理由が分かります 」


マオ:厳蒔磨絽

「 村人達から置き去りにされた理由?? 」


 セロは〈 (原質)(みなもと) 〉で骨壺を構成すると、骨と一緒に魔法マジカルサークルの中へ吸い込まれてた。

 セロは更に〈 (原質)(みなもと) 〉で骨の持ち主達の肉体を構成した。

 たましいは〈 (原質)(みなもと) 〉で構成を出来ないから抜け殻だけだ。


マオ:厳蒔磨絽

「 これを見てなにが分かるんだよ? 」


セロ:式神

「 マオ、く見てください。

  カレは不具者と障碍者です 」


マオ:厳蒔磨絽

「 不具者や障碍者? 」


セロ:式神

「 産まれた子供のすべてが五体満足な健常者とは限りません。

  五体満足な身体からだでも障碍をかかえて産まれる場合も少なくないです。

  障碍にも先天性と後天性があります。

  不具者も産まれ付きではなく、予期せぬ不慮の事故,病気により不具者となる場合もあります。

  障碍者や不具者となった家族に対して、最後まで世話の出来る家庭ばかりでもないです。

  ほそ(ぼそ)と貧しい生活を送る家庭にとって、看病,介助,介護も大きな負担となります。

  病気になった家族に薬を買う事はむずかしいです 」


マオ:厳蒔磨絽

「 薬って高いもんな… 」


セロ:式神

「 看病,介助,介護…などに負担を感じ、疲れ果てた人間はなにを仕出かすと思います? 」


マオ:厳蒔磨絽

「 …………仕出かす?

  …………息の根をめる──とか?

  寝てるあいだに濡れた布を顔に乗せてれば、窒息死させる事が出来るだろ 」


セロ:式神

わざ(わざ)手をよごして家族を殺す必要は無いですよ 」


マオ:厳蒔磨絽

「 じゃあ、どうするんだよ? 」


セロ:式神

「 ≪ 村落 ≫にはの場所があります 」


マオ:厳蒔磨絽

「 もってこいの場所ぉ?

  だよ 」


セロ:式神

「 この廃寺院です。

  人間はラクな方へ逃げようとしたがる性質があります。

  看病,介助,介護に疲れた果てた家族は、逃げる事を選び易くなります。

  自分で自分の事が出来ない世話と手の掛かる家族は、お荷物になります。

  お荷物となり、負担を掛ける家族を夜な夜な人目を盗んで廃寺院へ運び、置き去りにする事は出来ます 」


マオ:厳蒔磨絽

「 マジかよ……。

  そんな事を身内がするのかよ… 」


セロ:式神

「 自分で動けない者,自分の状況が分からない者は、日にちが経てば餓死してしまいます。

  飢えた野犬やけものますし、自分達が手をくださなくても、野犬やけものに襲われ、べられて勝手に死んでくれます。

  廃寺院は滑降の捨て場になります 」


マオ:厳蒔磨絽

「 だ、だけどさ……、仮にそうだとしてもだよ!

  それと廃寺院に住み着いてる妖魔と、どんな関係があるんだよ? 」


セロ:式神

もと(もと)廃寺院に妖魔は住み着いていませんでした。

  初めは村人達が流した嘘だったのでしょう。

  “ 村人が神隠しに遭い、戻ってなかった ” のは、村人達が廃寺院へ家族を置き去りにしたまま放置していたからです。

  家族に置き去りにされ、死体が増えた廃寺院には濃いよどみが生まれます。

  この≪ しまぐに ≫には実体の無い妖魔,実体を持つあやかし,ようじゅから生まれる妖怪……とさま(ざま)な異形や怪異が存在してます 」


マオ:厳蒔磨絽

「 異形に怪異かぁ……。

  そう…だよな。

  怪物モンスター化け物(ゴースター)とは異なる存在だもんな… 」


セロ:式神

「 この廃寺院には残留思霊体,地縛霊…などと呼ばれる残留思念体が多くとどまっています。

  妖魔,あやかしに取り込まれる事で、新たな異形や怪異が生まれる事もあるでしょう。

  村人達からた情報の “ 天狗 ” も新たに生まれた異形,怪異を指しているのでしょう 」


マオ:厳蒔磨絽

「 …………妖魔を倒す必要ないってのは? 」


セロ:式神

「 原因が判明したのです。

  原因が判明すれば、解決させる事も出来ます。

  退治をする事だけが方法ではないですよ 」


マオ:厳蒔磨絽

「 その方法ってなんだよ? 」


セロ:式神

「 供養です。

  〈 (霊妙な能き)(の主宰者)(、諸天善)(神諸菩薩) 〉へ真心をそなえ、カレの冥福を祈ります。

  〈 (霊妙な能き)(の主宰者)(、諸天善)(神諸菩薩) 〉へかれの冥福を祈り、供養を終えたあと──、廃寺院の敷地もろとも〈 (原質)(みなもと) 〉へ変換し、輪廻の流れへ還します。

  更地になったには慰霊碑を建てます。

  それで試験依頼の妖魔退治は終わります 」


マオ:厳蒔磨絽

「 ………………セロ… 」


セロ:式神

「 マオは見ていればいです。

  今から始めます 」


マオ:厳蒔磨絽

「 お、おぅ…。

  任せるよ、セロ── 」


 オレに出来る事はなにも無いんだろう。

 全部、セロに任せるしかない。

 妖魔を退治しないで依頼を解決させるなんて、前代未聞な気がするぅ~~~~。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ