✒ 新居へお引っ越し 3
──*──*──*── 居間
居間へ戻るとキノコンが囲炉裏に火を着けて鍋で何かを煮込んでいるみたいだ。
マオ
「 良い匂いだな~~♪ 」
絲腥玄武
「 何を作っているんだ? 」
分身体:キノコン
「 お帰りなさいませエリ。
引っ越し祝いとして、今夜はスキヤキを御馳走させていただきますエリ 」
厳蒔弓弦
「 すきやき…??
聞いた事のない名前だな?
鍋料理みたいだが… 」
マオ
「 スキヤキなんて豪勢だな~~!
奮発してくれたんだ♪ 」
分身体:キノコン
「 甘辛い出し汁で野菜や茸,薄切り肉を煮込んだ料理ですエリ。
溶き卵に付けて食べていただきますエリ 」
天女:ミカト
「 溶き卵ぉ?? 」
キノコン
「 ミカト様、この卵をお碗に割り入れて溶きますエリ 」
天女:ミカト
「 この白いのが卵なの?? 」
マオ
「 ミカトさん、卵を見た事ないの? 」
天女:ミカト
「 無いわね。
キーノ、やって 」
キーノ
「 はいですエリ 」
“ キーノ ” と呼ばれたキノコンは胸元に赤色の宝石の勲章を付けている。
ミカトさんの護衛と御世話係りを任されたへ別のキノコンかな。
分身体:キノコン
「 もう直ぐ出来ますエリ。
座って御待ちくださいませエリ 」
オレ達は畳の上に置かれている座布団の上に腰を下ろして座った。
掘り炬燵だから、足が痺れる事もないし、楽に座れる。
座り心地の良い座布団だから、お尻が痛くなる事もないしな!
セロがオレのお碗に卵を割り入れて溶き解してくれる。
マオ
「 有り難な、セロ。
自分でするのに… 」
セロフィート
「 おや、卵の殻が入った溶き卵に付けて食べるつもりでした? 」
マオ
「 うぐ…… 」
そうなんだよな……。
昔は上手く卵も割れていたのに、最近は何故か卵を割る時の力加減が難しくなって来ちゃってるんだよな~~。
理由は分からないけど、不便で仕方無いったらありゃしない。
弓弦さんの分の卵は、キノコンが割って溶いている。
玄武さんは魔喰らいの弓を依り代にして実体化しているから、スキヤキは食べれない。
物珍しそうにキノコンが作っているスキヤキを見ている。
分身体:キノコン
「 ──出来上がりましたエリ。
自慢のスキヤキですエリ。
皆様、御賞味くださいませエリ 」
セロがオレの分をお椀に入れてくれる。
ミカトさんの分はキーノが入れているし、弓弦さんの分はキノコンが入れている。
天女:ミカト
「 確かに肉ね…。
こんなに薄く切れるもんなの? 」
キーノ
「 薄いと味が染み込み易くなりますエリ。
食べ易いですエリ。
野菜と茸も美味しいですエリ 」
天女:ミカト
「 ………………うまっ!!
確かに甘辛い味付けだけど、美味しいわ!!
肉も柔らか~~い♥️
こんなに柔らかくて美味しい肉は初めて食べたわ!!
………………確かに野菜と茸にも味が染み込んでて美味しいわ~~♪♪ 」
マオ
「 ──うん、安定の美味さだ!
流石、マオキノだな! 」
分身体:キノコン
「 有り難う御座いますエリ(////)」
厳蒔弓弦
「 …………本当に御馳走だな。
かなり高級な肉ではないのか? 」
分身体:キノコン
「 そんな事ありますエリ!
スキヤキに合うお肉を厳選しましたエリ。
遠慮せず、沢山食べてくださいませエリ 」
マオ
「 セロ──、野菜と茸ばっか、入れないで肉も入れてくれよぉ~~ 」
セロフィート
「 3切れも食べたでしょう。
これを食べたらお肉を入れてあげます 」
マオ
「 …………オレ、自分で入れたい… 」
セロフィート
「 マオ、身の回りの事は式神にさせるものです。
{ 退魔師試験に合格する迄です。
練習しないと肝心な時にボロが出てしまいます }」
マオ
「 うぅ~~~~。
それは確かにそうかも知れないけど…… 」
分身体:キノコン
「 お肉やハムを使ったお寿司も御用意してますエリ。
御賞味くださいませエリ 」
マオ
「 お肉やハムで寿司…だと?!
刺身を使った寿司は食べた事あるけど、肉やハムを乗せて握るのか? 」
分身体:キノコン
「 人数分、御用意させていただきましたエリ 」
マオキノの分身体が言うと、別の分身体達が皿を持って運んで来る。
皿の上には魚じゃなくて確かに肉やハムを使って作られたお寿司が6種類もある。
肉で3種類,ハムで3種類だ。
マオ
「 マオキノ、ナイス! 」
分身体:キノコン
「 スキヤキとは違う肉を使ってますエリ 」
天女:ミカト
「 こんなの初めて食べるわ…。
帝だって食べた事のない料理ばかりよ!
何れも美味しいわ(////)
これって、夢じゃないわよね?
覚めたりしないわよねぇ? 」
キーノ
「 ミカト様、御安心くださいませエリ。
現実ですエリ 」
絲腥玄武
「 食べれないのが残念でならないな。
間違いなく帝が食している料理より新鮮な食材がふんだんに使われていて贅沢な料理だな 」
厳蒔弓弦
「 こんなに美味い料理をこれからは毎日食べられるのか…。
罰でも当たりそうだな… 」
天女:ミカト
「 ──おかわりが欲しいわ!
もっと持って来て! 」
マオ
「 ちょっ──ミカトさん!
幾らなんでも食べ過ぎじゃない?
オレだって、未だそんなに肉を食べれてないのに!
あんまり食べると天女も太るんじゃないの? 」
天女:ミカト
「 残念でしたぁ~~!!
天女は幾ら食べても太らないのよぉ~~! 」
マオ
「 くぅ~~!
そんなにムチムチした体型してるくせに “ 太ってない ” って言うのかよ? 」
天女:ミカト
「 はぁ?
誰が “ ムチムチ ” ですってぇ?
下品な言い方しないでほしいわね!
“ 程好く肉付きが良い ” と言いなさいよ!
ガリガリの天女なんて居ないのよ! 」
キーノ
「 ミカト様、おかわりですエリ 」
天女:ミカト
「 有り難ね、キーノ。
ところで、キーノやキノコンはスキヤキを食べないの? 」
キーノ
「 食べませんエリ。
キノコンの餌は臓物や脳ミソですエリ。
特に人間は御馳走ですエリ。
御褒美として、セロ様から頂けますエリ 」
天女:ミカト
「 は……?
臓物……脳ミソぉ?
人間が御馳走?? 」
マオ
「 キノコンは見た目が可愛くて、声も可愛くて、仕草も可愛くて──、全てにおいて可愛くて、癒しを与えてくれる存在だけど──、肉食なんだよ 」
天女:ミカト
「 は……??
肉食?? 」
マオ
「 無害そうに見えるけど、オレより強いからな!
剣術の稽古に付き合ってもらってるけど、勝てた試しないからさ! 」
天女:ミカト
「 キーノ……アンタ……本当に肉食なの? 」
キーノ
「 はいですエリ。
キノコンは怪物ですエリ。
どんな怪物も肉食ですエリ。
ミカト様はセロ様とマオ様の御客様ですエリ。
天女のミカト様を喰べたりしませんエリ。
安心してくださいませエリ 」
天女:ミカト
「 ………………そ、そう… 」
ミカトさんは顔を引き吊らせている。
完全に可愛くて癒し系のキノコンが実は肉食だって知って、ショックを受けているみたいだ。
まぁね、オレもショックを受けたからね、ミカトさんの気持ちも分かるよ……。
因みに弓弦さんは手を止めて話を聞いていたし、玄武さんは複雑そうな表情で弓弦さんを見詰めている。
分身体:キノコン
「 弓弦様はマオ様の恩人ですエリ。
喰べたりしませんエリ。
御安心くださいませエリ 」
厳蒔弓弦
「 そ……そうか…… 」
マオ
「 …………余計な事を話しちゃったね… 」
厳蒔弓弦
「 いや……大丈夫だ。
身の安全が保障されているなら大丈夫だ… 」
マオ
「 弓弦さん… 」
そんな事を言ってる弓弦さんだけど──、スキヤキを食べる手が僅かに震えているんだよぉ~~。
キノコンが肉食の怪物だって知って、恐いんだろうな……。
今も何食わぬ顔で美味しいスキヤキを作ってくれているキノコンが──、「 人間は餌で御馳走ですエリ☆ 」って、可愛く満面の笑顔でカミングアウトしたんだから……。
あっ──、オレの所為でもあるのか……。
反省ぇ~~~~。




