✒ 寺子屋が大変だぁ 5
マオ
「 …………セロ、どういう事だろう?
堡畄川さんは偽名を使っていたのかな? 」
セロフィート
「 さて、どうでしょう。
死体安置所に安置はされてなかったですし、何処かで生きているかも知れません 」
マオ
「 陰陽師の実技試験の時は、紹介者として応援してくれてたのに……。
筆記試験に備えて『 勉強を手伝う 』って言ってくれるたのに……。
初対面のオレに親切にしてくれたの嬉しかったのに…。
何で偽名を使う理由があったのかな?? 」
セロフィート
「 キノコン達にも探させましょう。
折角ですし、陰陽師の筆記試験の事も陰陽師の方に確認してもらいましょう 」
マオ
「 うん… 」
セロフィート
「 マオ、落ち込まないでください。
“ 堡畄川さん ” を見付けたら、ワタシがしばいてあげます 」
マオ
「 セロ…… 」
セロフィート
「 ワタシのマオを悲しませたのです。
報いは受けてもらいます。
良いですね? 」
マオ
「 …………分かったよ。
自白剤を使う時は、鼻から入れるなよ 」
セロフィート
「 何故です? 」
マオ
「 鼻が痛くなるだろろ!
口から入れてやってよ… 」
セロフィート
「 “ 堡畄川さん ” の態度次第です 」
こりゃ、駄目だぁ~~~~。
多分、セロは “ 堡畄川さん ” を見付けたら、“ しばく ” なんて生温い事はしないと思う。
オレにはセロを止められないから、セロに捕まった “ 堡畄川さん ” は無事では済まないだろう。
………………うん、仕方無い……よな?
マオ
「 ──いいや。
“ 堡畄川さん ” の事は、セロに任せるよ!
実験の実験台にしたり、〈 合成獣 〉の玩具にしたり、〈 合成獣 〉の餌にするのは駄目だからな! 」
セロフィート
「 マオ、注文が多いです 」
マオ
「 偽名だったとしても、“ 堡畄川さん ” のお蔭で、“ 陰陽師の実技試験を受けれた ” って恩はあるんだからな! 」
セロフィート
「 はいはい。
分かりました 」
マオ
「 セロ、訓練場に行って敷地内の地図をキノコンから貰うのか? 」
セロフィート
「 態々行く必要ないです。
キノコンに持って来させれば良いですし 」
マオ
「 セロはキノコン達をコキ使い過ぎじゃないか? 」
セロフィート
「 『 コキ使う 』なんて──。
“ 頼っている ” と言ってください 」
マオ
「 無理があるぅ~~。
──えぇと、陰陽師の筆記試験の事だよな。
誰に聞こうか? 」
セロフィート
「 その事ならキノコンに調べさせてます。
弓弦さんと玄武さんの元へ戻りましょう 」
マオ
「 キノコンにスパイ紛いな事をさせるのか… 」
セロフィート
「 その為のキノコンです。
寺子屋や陰陽院に恩を着せるには “ 弱味 ” が必要です。
相手の弱味は知っていて損はないです 」
マオ
「 ………………セロぉ… 」
セロフィート
「 ほらほら、戻りましょう 」
訓練場にも寄らず、陰陽師の人にも筆記試験の事を尋ねる事もしないで、セロに促されながら、弓弦さんと玄武さんが居るだろう場所へ戻った。
マオ
「 弓弦さん,玄武さん── 」
絲腥玄武
「 マオとセロか──。
どうした?
堡畄川とは会えなかったのか? 」
マオ
「 うん……。
堡畄川さんは居なかったんだ…。
陰陽院か別の寺子屋に居るのかも──って言われたから戻って来たよ… 」
絲腥玄武
「 そうか。
それは残念だったな 」
マオ
「 弓弦さんの具合は──、どんな感じ?
大丈夫? 」
絲腥玄武
「 うむ、ミカトが離れたからな。
今は落ち着いている 」
マオ
「 良かった~~ 」
絲腥玄武
「 キノコンが炊き出しで配っている料理を持って来てくれてな。
食欲は有るから安心しろ 」
マオ
「 うん 」
絲腥玄武
「 料理の他に地図も持って来ていた。
セロに『 渡してほしい 』と言われて預かった 」
マオ
「 もしかして、敷地内の地図かな? 」
絲腥玄武
「 そう言っていたな 」
玄武さんはキノコンから預かっていた敷地内の地図を手渡してくれた。
マオ
「 有り難う、玄武さん 」
玄武さんから敷地内の地図を受け取ったら、セロに手渡した。
セロフィート
「 有り難う、マオ。
──マオ、キノコンからの報告です。
筆記試験は中止になったようです 」
マオ
「 えっ──、中止!?
折角、セロが〈 器人形 〉とキノコンを呼び出して、被害を最小限に抑えてくれたのに?
オレ、陰陽師になれないの?! 」
セロフィート
「 マオ、話は最後まで聞いてください。
筆記試験は中止になりましたけど、実技試験を合格した者を陰陽師とするそうです。
陰陽院へ陰陽師の証を貰いに行く必要があります。
持参する物は無いですから、今から行きましょう 」
マオ
「 今から?
今から陰陽院に行くと夕方になっちゃわないか? 」
セロフィート
「 転移すれば直ぐです。
試験場にも仮設テントが張られてます。
向こうのキノコンに、1つ転移用に仮設テントを張らせます。
張り終えたら連絡させますから転移しましょう 」
マオ
「 うん…、分かった。
実技試験を合格してるお蔭で、筆記試験を受けなくても陰陽師になれるんだな!
良かった~~ 」
セロフィート
「 筆記試験を受ける必要がなくなりますから、寺子屋に泊まり込む必要もなくなりましたね。
寝泊まりする場所を用意しましょう 」
マオ
「 また宿屋を探さないとだな… 」
セロフィート
「 廃屋が多い地区へ行きましょう 」
マオ
「 其処って確か──、『 “ 妖かし ” が出る 』って言われてて、呪われてる地区だっけ?
鬼門とか霊道とかが交わる不吉な場所で有名だとか??
祟られる事を恐れて、強力な式神を使役する陰陽師も立ち寄らない地区だって弓弦さんが言ってたよな? 」
絲腥玄武
「 また凄い地区を選んだものだな。
買い取る手続きは済んでるのか? 」
マオ
「 そう言えば……。
確か──、帝に申請するんだっけ?
帝が許可してくれたら、地区一帯を買い取れて、自由に出来るんだったよな 」
セロフィート
「 申請はしてますし、帝の許可も既に得てます。
厳蒔弓弦と厳蒔磨絽の連盟で土地を買い取れました。
今回の “ 厳蒔磨絽 ” の功績を認められ、即認可してもらえました♪ 」
マオ
「 …………もしかして、狙ってたのか? 」
セロフィート
「 ふふふ。
転移しましょう 」
セロは古代魔法の転移魔法を発動させる。
弓弦さん,玄武さん,セロとオレの足下に魔法陣が浮かび上がった。
マオ
「 セロ、ミカトさんは? 」
セロフィート
「 ミカトさんも一緒に転移させます 」
転移魔法陣が光ると、一瞬で場所が変わった。




